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魂を損なわないように

 友人から、高校生の娘の愚痴を聞くことがある。
   娘が言うことを聞かない。勉強でも何でも適当に手を抜いて努力しない。嫌なことから逃げるような子になってほしくないのに。云々…
 娘は口ごたえも激しく、母娘で罵りあいも珍しくないそうだ。もちろん彼女は娘のことが可愛くないわけではないのだけれど。
 親は、子どもは自分より長生きする前提で、子どもの将来を心配するのが普通だ。そして、将来困らないように、苦労しないように…とつい口うるさくなるものだ。
 しかし、私は知ってしまった。命は儚く脆いもの。いつ、どんな状況で命の炎が消えるのかは、誰にも予測できないということを。
 大事なのは「いま、ここ」なのだと痛感する。未来の心配よりも、いま、目の前で「あなたのことを大切におもっているよ」と伝えるべきなのだ。
 また「魂」のレベルでは、親も子も、年長も年少もないのではないか。次男の魂は、親である私を守ってくれているのを感じるし、また私を教えて導く存在だとも感じる。
 だから親が子に対して「この子を躾けるのは私だ」などと考えるのは不遜なことかもしれない。子どもの「魂」が求めるものを注意深く見守り、決して損なわないように、丁寧に扱わなければいけない。
   そんなことに気がついたのも、次男の導きがあるからだ。我が家で一番善良で、でも不器用で、いつも家族をハラハラさせていた次男が、今、家族を守り支えている。


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