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「ふつう」を考える

 昨日、久しぶりに世田谷区奥沢のD&DEPARTMENTに行ってきた。ロングライフデザインのプロダクトを主に扱っている、ナガオカケンメイ氏のお店だ。ナガオカ氏の本も好きでたまに読む。久しぶりに行ったら1階のインテリアが変わっていた。正直、ソファが置いてあった前のほうが好きだなと思った。

 それはいいとして、面白い本を見つけた。大御所デザイナー、深澤直人氏の「ふつう」というエッセイ集だ。よく見ると今月出たばかりだ。

 普段仕事でデザインをしているとぶつかる「普通であってはいけない」、「普通のデザインでクライアントをがっかりさせたくない」という思いと、「良いデザインはそういうものではないよな・・」という相反する思いが交錯するもやもやする部分で、これはこの機会にしっかり考えてみたいと思った。とてもありがたい。

 【抜粋】: 「人はデザインに「ふつう」を期待していないのがふつうである。だから「ふつう」のデザインをすると、「なんだ、ふつうじゃん」と言われてしまう。それは期待外れの時にはっせられることばではあるが、最近私はそのことばの響きがきらいでない」・・・いつも「ちょっといいふつう」をつくりたいと思っている。・・・などなど私たちの普通にまつわる深層心理を探求している。

 大御所でない人が「ふつう」のデザインをすると、才能がないを思われそうでこれはこれで恐怖だが、実際私たちが日常で長く付き合える物たちは、この「ちょっといいふつう」に違いないとも思う。

 結局、言い古された言い方だが、商業主義と見栄に私たちの思考は汚染されているかもしれない。雑誌などを見ていると、「ふつう」にしてください、と住宅のオーダーをするクライアントさんもいるらしい。オーバーアクションのデザインに嫌気がさした健全な人々なのだろう。出会ってみたい半面、自分が「ちょっといいふつう」を実践するのが先なのだ。面白いデザインも好きだが、それ以前のデザインの根本に立ち戻らないと、と思うこの頃です。


https://www.d-department.com/ext/shop/tokyo.html



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