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オンライン就活が激増する中で変わること変わらないこと(2)~世の中変えられると思えなくてプレゼンなんかできないっていう話

私は園児から学生まで授業をする仕事をしています。
今年で5年目となる大学での前期の講義が終わったので、ふりかえりを書いています。


「世界は意外と変わっている」


一般的なプレゼンも、就活もそう。
最初の第一歩は「世の中は変えられると気付くことだ」と私は伝えています。
「自己効力感」と言いかえることもできるでしょう。
今年の授業も、世の中がどれだけ変わって来たか?をみんなにクイズを出しながら気付いてもらうところから始まりました。
メディアは不幸なニュースに偏りがちだけど、実は世の中、良い方に変わっていることがたくさんあるのよ!と叫びながら。

「変えてみよう」と言い出したちょっと変わった人がいて、
その言い出しっぺの言葉に心を動かされた人がいて、
そして少しずつ、時には急に、世の中は変わっていく。

世の中は変化するもの、変えられることができるもの、と考えられるか。変化を受け身で恐れるか、あるいはチャンスをきちんと受け止められるか?
物事のとらえ方で人生は変わってくるんだよね、と学生たちと話しました。


国や社会は変えられない?

にもかかわらず・・・
「国や社会は変えられるか?」
ーこの質問に対する「YES」の回答が著しく低いのが日本の若者です。
日本財団が2019年に行った「18歳意識調査」で、各国と日本の17~19歳各1,000人を対象に国や社会に対する意識を聞いたものがあります。
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2019/20191130-38555.html

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「自分を大人だと思う」、「自分は責任ある社会の一員だと思う」、「将来の夢を持っている」、のYESの少なさもショックですが、
「社会を変えられると思う」、「社会課題を解決したい」という回答が少なく、「社会課題について周囲と話したことがない」という人の多さに衝撃を受けます。
これは真っ先に私たち大人が取り組まないといけない「課題」だと思う調査でした。
これを見せて学生さんたちにはブレイクアウトして話し合ってもらいました。


人生がうまくいかないのは不運で不公平だから?


さらに、ビジネス特化型SNSであるLinkedInが世界22か国を対象とした「仕事で実現したい機会に対する意識調査」では、日本の大人の意識もまた世界平均と異なることが分かりました。仕事や成功への自信という項目では22か国中最下位😢

そしてこれまた衝撃だったのは、人生で成功するためには何が必要か?の答えとして、「一生懸命働く」というのは全世界と認識が一緒なものの、その次に来るのが日本人は「幸運」や「機会均等」。

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「変化を喜んで許容する」や「ふさわしい人とのつながりを持つ」、という世界の平均とは一線を画します。
人生でうまくいくのは運だのみと考えている人が多く、仮にうまくいかなかったら不運か世の中が不公平だからだ、と考えているということです。

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こんな考えを持ちながら、いくらプレゼンテーションの練習なんてしても、自分を主語にした、世の中に自分の思いを訴える力強い話なんてできるわけはないのよね。
6年前に子ども・若者のプレゼン力を鍛える社団を立ち上げた時から、この国の「話す力」の壁がどこにあるかをヒシヒシと感じるのです。

負け続けた日本

ここ30年、右肩下がりの日本の経済。
上記の若者やビジネスマンの考え方の統計を見せる前に、日本経済が負け続けた各種の数字をこれまたクイズにして見せながら、「その理由は何なんだろう?」と学生たちと話しました。
もちろん理由はたくさんあるのだけれど、
私は「変えられる」と思う人がいるかいないか、自分の考えを伝え、人を巻き込み、何かを変えようとする人がいるかいないか、が大きな違いだと思っています。
ちなみに企業研修でも使っている「日本の現況を知るクイズ」は、年配のビジネスマンには「え!そんなことになってるんだっけ?!」と驚かれますが、今の子どもたちからは逆に「え?日本て昔そんなすごい国だったの?」という声が聞かれてズッコケます。
停滞が普通だと思う人が増える前になんとかしないと、と焦ることが増えてきました。

希望を持てた前期の最終回授業


今年の授業はこんな始まり方でしたが、おととい終わった前期最後の授業では、宿題だった「世の中が変わっている例」を調べてきてくれた学生たち。
そして内省の場を持ち、ある企業の理念を調べながら、自分が共感できることは何かについても話し合ってもらいました。

コロナで機会は著しく減っているだろうけど、ぜひ夏は体験の場だから、自分の経験値を広げてほしい、という話で前期は締めくくりました。
後期は、実際にプレゼンスライドを作って、自分の考えをみんなの前で表現するところまで行きます。


毎年、就活が終わると「うまくいきました!」という成果報告の多いここ数年でした。今年の3年生はどうなるか・・・
彼らの就活が本格化するまでに何とか事態が改善してくれ、いやいや、運だのみはいけないんだった、彼らにできるだけのパワーを授けなければ、だ。
そんなことを思いながら必死に手を振り、ZOOMから退席しました。


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Aska
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