【週間レポート】2024.10.07~12
◉週間相場動向の振り返り
7日月曜
・ドル円は4日ぶりに反落。前週末の米雇用統計の結果を受けて、米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退する中、アジア市場では一時149.13円と8月16日の高値を付けた。
ただ、欧米市場では利益確定目的の売りなどが優勢となり、じり安の展開となった。8月16日の高値149.35円や15日の高値149.39円がレジスタンスとして意識された面もあり、23時前に一時147.86円と日通し安値を更新した。
もっとも、米長期金利の上昇に伴うドル買いも入ったため、一本調子で下落する展開にはならなかった。米長期金利の指標となる米10年債利回りは一時4.0314%前後と8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を記録した。
・ユーロドルは7日ぶりに小反発。前週末に8月15日以来約1カ月半ぶりの安値1.0951ドルを付けたあとだけにポジション調整目的のユーロ買い・ドル売りが入ると、2時30分過ぎに1.0987ドルと日通し高値を更新した。
ただ、米長期金利の上昇や欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が相場の上値を抑えた。対オセアニア通貨中心にリスク・オフのドル買いが入ると、ユーロに対してもドル買いが入り一時1.0966ドル付近まで下押しした。
・オセアニア通貨は軟調だった。ダウ平均が一時520ドル超下落するなど、米株式相場が軟調に推移するとリスクセンチメントに敏感なオセアニア通貨に売りが出た。豪ドル米ドルは一時0.6743米ドル、NZドル米ドルは0.6113米ドルまで値を下げた。また、豪ドル円は99.84円、NZドル円は90.49円と日通し安値を更新した。
・ユーロ円は4日ぶりに反落。ドル円の下落や米国株安に伴う円買い・ユーロ売りが入ると、23時前に一時162.30円と日通し安値を付けた。その後の戻りも162.74円付近にとどまった。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落。米長期金利の指標となる米10年債利回りが8月以来の4%台に乗せたことで、株式の相対的な割高感が意識された。中東の地政学リスクも相場の重しとなり、一時520ドル超下げた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反落。電気自動車(EV)のテスラが下落した一方、半導体大手のエヌビディアが上昇した。
・米国債券相場で長期ゾーンは4日続落。前週末の米雇用統計の結果を受けて、米大幅利下げ観測が後退する中、この日も債券売りが続いた。利回りは一時4.0314%前後と8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を付けた。
・原油先物相場は5日続伸。引き続き中東情勢の緊迫化による供給不安が相場の支えとなった。また、米国立ハリケーンセンター(NHC)がハリケーン「ミルトン」がカテゴリー5に発達したと発表したことも買いを後押した。
・金先物相場は続落。米10年債利回りが8月以来の4%台まで上昇基調を強め、金利を生まない金は上値の重い動きとなった。
8日火曜
・ドル円は小反発。米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.0549%前後と8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を記録すると円売り・ドル買いが優勢となった。米10年債利回りが低下に転じると伸び悩んだものの、下押しは限定的。ナイト・セッションの日経平均先物が堅調に推移したことなどが相場の支援材料となり、4時過ぎに一時148.38円と日通し高値を付けた。
ただ、NY時間に限れば大きな方向感は出なかった。明日9日に公表される米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月17日-18日分)の内容や、10日の9月米消費者物価指数(CPI)の結果を見極めたいとの雰囲気もあり、積極的な売買は手控えられた。
・ユーロドルは小幅ながら続伸。ユーロポンドなどユーロクロスの上昇につれた買いが入ると、欧州市場では1.0997ドルと日通し高値を付けたが、NY市場に入ると一転下落した。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが優勢になり、0時30分過ぎには一時1.0961ドルと本日安値を付けた。
ただ、前日の安値1.0954ドルや4日の安値1.0951ドルが目先サポートと意識されると下げ渋った。米長期金利が低下に転じたことも相場の下支え要因。
・ユーロ円は小幅ながら反発。ユーロドルの下落につれた売りが出た半面、ドル円の上昇につれた買いが入った。米国株や日経平均先物の上昇に伴う買いも入り、23時過ぎに一時162.82円と本日高値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発。中東情勢を巡る懸念は根強いものの、WTI原油先物相場が大幅に下落すると投資家心理が改善し主力株中心に買い戻しが入った。前日に下げが目立ったアップルやアマゾン・ドット・コムなどハイテク株が買われ、相場を下支えした。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発した。
・米国債券相場で長期ゾーンは5日ぶりに反発。米大幅利下げ観測が後退する中、売りが先行すると、利回りは一時4.0549%前後と8月1日以来およそ2カ月ぶりの高水準を付けた。ただ、10日の9月米CPIを前にポジション調整目的の買いが入ると持ち直した。
・原油先物相場は6日ぶり大幅反落。中東の地政学リスクを背景に前日まで5連騰と約1カ月ぶりの高値水準まで急ピッチで上昇したこともあり、この日は高値警戒感も出るなか利益確定売りが優勢となった。
・金先物相場は3日続落。先週末の米雇用統計を通過した後、米長期金利の上昇傾向が続いており、金利を生まない金は売り圧力が継続。為替相場で全般ドルが堅調な動きになっていることも、ドル建ての金の割高感につながり売りを後押した。
9日水曜
・ドル円は続伸。米利下げペースが緩やかになるとの見方が広がる中、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.0765%前後と7月31日以来の高水準を記録すると円売り・ドル買いが先行。中国の財政政策に対する期待感や米国株高を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ドル買いが活発化し、7日の高値149.13円を上抜けて一時149.36円と8月15日以来の高値を更新した。
なお、米連邦準備理事会(FRB)が公表した9月17日-18日分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では「大多数の当局者が0.50%の利下げを支持」「一部の当局者が0.25%の利下げを支持した」ことが分かった。会合ではボウマンFRB理事が0.25%の利下げを主張し反対票を投じたものの、慎重な意見は1人だけでなく複数の参加者からあがっていたことが明らかになった。
・ユーロドルは3日ぶりに反落。ユーロ圏景気への懸念から、欧州中央銀行(ECB)が17日の定例理事会で追加利下げを決めるとの観測が引き続きユーロの重し。米長期金利の上昇を背景にドル買いが優勢になると、3時過ぎに一時1.0936ドルと8月13日以来の安値を更新した。
なお、ローガン米ダラス連銀総裁はこの日、「インフレの上振れリスクが依然現実的で経済見通しを巡りかなりの不確実性がある中、今後はより緩やかな利下げが適切」との見解を示したと伝わった。
・ユーロ円は続伸。ドル円の上昇につれた買いが入ったほか、米国株高を背景にリスク・オンの円売り・ユーロ買いが出た。1時前には163.46円と日通し高値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、史上最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。中東情勢を巡る懸念は根強いものの、WTI原油先物相場が続落すると投資家心理が改善し主力株中心に買いが入った。中国当局が12日に財政政策関連で記者会見を開くと伝わり、追加政策への期待から買いが入った面もある。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も続伸し、7月16日以来約2カ月半ぶりの高値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米大幅利下げ観測が後退する中、売りが優勢になると、利回りは一時4.0765%前後と7月31日以来の高水準を付けた。なお、9月17日-18日分のFOMC議事要旨では「一部の当局者は0.25%の利下げが望ましいとの考えを示していた」ことが分かったものの、相場の反応は限定的だった。
・原油先物相場は続落。米石油協会(API)が発表した米原油在庫が予想より大幅に増加したことや米エネルギー情報局(EIA)が2025年の世界の石油需要見通しを引き下げたことを背景に売りが先行した。
EIAが発表した週間在庫統計では原油在庫が予想以上に増加したものの、ガソリンとディスティレート(留出油)は予想以上に減少し、発表後に下げ幅を縮小する場面が見られた。
・金先物相場は4日続落。10日に9月米消費者物価指数(CPI)、11日に9月米卸売物価指数(PPI)の発表を控え、積極的な取引は控えられたが、為替相場でドル高が進んだことや米長期金利の上昇を重しに売りに押された。
10日木曜
・ドル円は3日ぶりに反落。この日発表の米経済指標の結果が伝わると、売買が交錯し上下に大きく振れる場面があった。9月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回ると全般ドル買いが先行し一時149.53円付近まで値を上げたものの、アジア時間に日通し高値149.55円が目先レジスタンスとして働くと失速。前週分の米新規失業保険申請件数が予想より弱い内容だったことが意識され、一時148.30円と日通し安値を付けた。
そのあとも方向感に乏しい展開が続いた。グールズビー米シカゴ連銀総裁は米CPIが予想を上回ったことについて「過度に懸念していない」と話したほか、ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁は「インフレ圧力の緩和が続く中、米連邦準備理事会(FRB)は一段の利下げを実施していくと予想される」などと発言。市場関係者からは「CPI予想上振れもFRBによる追加利下げを阻むほどではない」「総合、コアともに伸びは依然として減速傾向にあり、最新の数字はこのトレンドを否定するものではない」との声が聞かれる中、引けにかけては米長期金利の低下とともに上値が重くなった。
一方、ボスティック米アトランタ連銀総裁は「最新のインフレ、労働市場データにより、FRBは忍耐強くなれる」「11月の金利据え置きについて、私は間違いなくオープン」「今年の利下げをスキップしても全く問題ない」と述べ、11月金利据え置きの可能性を示唆。2時過ぎに一時149.08円付近まで強含む場面があった。
・ユーロドルは小幅ながら続落。米経済指標が強弱入り混じる内容だったことから売買が交錯。相場は方向感が出なかった。
NY午後に入り、ボスティック米アトランタ連銀総裁が11月金利据え置きの可能性を示唆したと伝わると、米長期金利の指標となる米10年債利回りが一時4.1158%前後と7月31日以来の高水準を記録。米金利上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが出て一時1.0900ドルと8月8日以来約2カ月ぶりの安値を更新した。ただ、米10年債利回りが低下に転じると買い戻しが優勢となり、1.0938ドル付近まで下げ渋った。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。アジア時間に一時163.61円と日通し高値を付けたあとは、欧米株安を受けて円買い・ユーロ売りが進んだ。1時30分過ぎには162.18円と日通し安値を更新した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日ぶりに小反落。9月米CPIが予想を上回った一方、前週分の米新規失業保険申請件数は予想より弱い内容となると、投資家心理が悪化し売りが出た。前日に史上最高値を更新したあとだけに、高値警戒感や短期的な過熱感も意識され、利益確定目的の売りなども出た。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も3日ぶりに小反落。
・米国債券相場で長期ゾーンは小反発。ボスティック米アトランタ連銀総裁が11月金利据え置きの可能性を示唆すると売りが進行し、利回りは一時4.1158%前後と7月31日以来の高水準を付けた。ただ、30年債入札が「好調」だったことが分かると買い戻しが優勢となり、上げに転じた。
・原油先物相場は3日ぶりに反発。大型ハリケーンの米上陸を手がかりに買いが優勢となった。大型ハリケーン「ミルトン」は「カテゴリー3」の勢力を保って米南部フロリダ州に上陸し、大規模な停電や建物損壊などの被害が報告されるなか、燃料需要が急増した。また、中東情勢の緊迫化に伴う供給不安も相場の支えとなった。
・金先物相場は5日ぶりに反発。9月米CPIは予想を上回った一方で、新規失業保険申請件数は予想より悪化し、強弱まちまちの結果を金先物は上下に大きく振れたが、FRBの利下げサイクルに大きな変化はないと受け止められるなか徐々に買い戻しが優勢となった。
11日金曜
・ドル円は反発。米長期金利の高止まりなどを手掛かりに円売り・ドル買いが先行。米国株相場や日経平均先物の上昇も相場の支援材料となった。前日のボスティック米アトランタ連銀総裁のタカ派的な発言を受けて付けたNY午後の高値149.08円を上抜けると、一時本日高値となる149.28円まで値を上げた。ただ、9月米消費者物価指数(CPI)発表直後に付けた149.53円やその日の高値149.55円がレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。
なお、米労働省が発表した9月米卸売物価指数(PPI)は前月比で予想を下回った一方、前年比で予想を上回った。食品とエネルギーを除くコア指数は前月比が市場予想と一致し、前年比が予想を上回った。また、10月米ミシガン大学消費者態度指数速報値は予想を下回った一方、同時に発表された1年先の期待インフレ率は予想を上回るなど、米経済指標はまちまちの内容となった。
市場では「米連邦準備理事会(FRB)が11月も利下げを継続するというマーケットの予想を変える内容ではない」と受け止められた。CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、11月6-7日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%の利下げを予想する確率は前日の83.3%から90%前後に上昇し、据え置きの確率は16.7%から10%前後に低下した。
・ユーロドルは3日ぶりに小反発。米長期金利の上昇に伴うユーロ売り・ドル買いが先行すると22時前に一時1.0926ドル付近まで下押ししたものの、オセアニア時間に付けた日通し安値1.0923ドルが目先サポートとして働くと下げ渋った。欧米株高に伴うリスク・オンのユーロ買い・ドル売りが入ると1.0952ドル付近まで値を戻す場面があった。
もっとも、今日の高値はアジア時間に付けた1.0954ドルで値幅は0.0031ドル程度と小さかった。
・ユーロ円は反発。日米株価指数の上昇を背景に投資家のリスク志向が改善すると円売り・ユーロ買いが優勢となった。23時30分過ぎに一時163.41円と本日高値を付けた。ただ、前日の高値163.61円が目先レジスタンスとして働くと伸び悩んだ。
・カナダドルは買いが強まる場面があった。カナダ統計局が発表した9月カナダ雇用統計で、新規雇用者数が4.67万人増と予想の2.70万人増を上回ったほか、失業率が6.5%と予想の6.7%より強い内容となったことを受けた。米ドルカナダドルは一時1.3725カナダドル、ユーロカナダドルは1.5008カナダドル、カナダドル円は108.61円までカナダドル高に振れた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、史上最高値を更新した。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も過去最高値を更新した。決算内容が好感されたJPモルガン・チェースが大幅に上昇すると、ゴールドマン・サックスなど他の金融株にも買いが波及した。市場では「金融大手の決算内容を受けて、企業業績に対する期待が高まった」との声が聞かれた。ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は反発し、7月16日以来およそ3カ月ぶりの高値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米株式市場でダウ平均が史上最高値を更新する中、相対的に安全資産とされる米国債に売りが出た。週明け14日はコロンブスデーの祝日で債券市場は休場。3連休となる週末を前にポジション調整目的の売りも出た。
・原油先物相場は反落。前日大幅上昇の反動で利益確定売りが優勢となった。ただ、大型ハリケーンの米上陸の影響や、中東情勢の緊迫化による地政学的リスクへの懸念で下押しは限られた。
・金先物相場は続伸。今週に発表された米経済指標は強弱まちまちも、FRBの年内追加利下げ方針は変わらないとの見方が強いことを支えに買いが入った。また、中東情勢の緊迫化が続いていることも買いを後押した。
◉米利下げ観測
大幅な利下げ観測は0%となり現在据え置き10.5%、0.25%利下げが89.5%と市場は見ている。
◉金融市場にとても影響がある中国
景気刺激策の動向に注目!
待たれる財政出動と中国不動産への刺激策と期待
中国株、信用取引が崖っぷち!
待ちに待った中国の財政出動と不動産への下支え政策は?
明日以降の中国株に注目です。
市場がリスクオンになるのか空振りなら信用取引でつかまっているポジションのとてつもないロスカットが入る。
◉まとめ
今週は小幅な値動きが米CPI指標待ちと思いきや…
注目されているのはやはり雇用指標でした。
物価指標は今後も当然、重要ですが労働指標はより重要です。
強い経済と強い労働指標が出してくる答えに物価高騰、インフレ再燃に直結するかは個人消費。ただ大型ハリケーンの被害は深刻で食料価格の高騰やエネルギー価格の高騰はもちろん米大統領選直前ということで大統領選に与える影響も無視できない。
中東情勢も依然目が離せない状況なのでそりゃ相場も手探りな値動きになるよなと思いました。
来週は17日の木曜にECB政策金利発表があり、米指標では景気指標に小売売上高と新規失業保険申請件数があります。
個人消費に労働指標の組み合わせです。
状況見ながらですが色んなことが起きていて忙しい1週間になると思います。
相場が何で今動いているのか?
しっかり見極めていきましょう!
今週もありがとうございました!