8月25日 The PEAKS ラウンド16 ~開催概要&参加レポート~
皆さんは「The PEAKS」をご存じだろうか?
「The PEAKS」は、日本最強!最悪!の超級山岳ロングライドイベントである。
自分がこのイベントを知ったのは今年の春。所属するグラベルチーム「imeZi」で出てみようということになったのがきっかけだ。
そのThe PEAKSのラウンド16は、地元新潟県の妙高エリアでの開催。その参加レポートをイベント概要と共にお伝えしたい。
開催地
ラウンド16は、新潟県の池の平温泉(イベント広場)をスタート&ゴールとして妙高・戸隠・斑尾エリアを堪能するのコース。
なお、過去の開催データをみると、年に2回(春と夏)の開催で、会場は毎回変わるようである。なので、常に新しいコースに挑戦することになる。このあたりもチャレンジ精神をくすぐる要因となっているようだ。
コース
平坦がほとんど無い笑
コース図は、開催の10日前くらいに詳細の要項とともに郵送されくる。また、公式サイトでも公開される。
なお、変態増し・ど変態増しエントリーと呼ばれるチャレンジ精神をより掻き立てるカテゴリーが設けられており、一般クラスより走行距離・獲得標高を増し、さらに制限時間が短いという過酷な仕様となっている。
●一般エントリー
4:50~5:20スタート (制限時間12時間40分)
201km/5,065m up
●変態増しエントリー
6:00スタート (制限時間12時間)
220km/5,568m up
●ド変態増しエントリー
7:20スタート (制限時間10時間40分)
220km/5,568m up
ラウンド16のルール、制限時間
スタート後は、指定されたコース順通りにすべてのチェックポイントを通過し、配布されるゼッケンカードにチェックを受けなければならない。
制限時間は上記の通りだ。自身の実力でギリギリのカテゴリーを選ぶことで、自身への挑戦のライドとなる。
走行方式
自己責任による個人サイクリングの扱いである。先導やコース案内、立哨員は皆無である。
設定されたコースを間違いなくトレースするのは参加者の責務とされており、紙のマップの他にルートデータも公開されるので、これをサイコンに入れて走る必要がある。
レースではないのでリザルトは計測されず、制限時間内にゴールすれば全員同じフィニッシャーとなれる。
バイク機材及び必要な装備
バイク機材は、公道を走れる自転車なら何でも良い。ただし電動アシスト付の自転車、e-bike、タンデムは禁止。
装備は、安全を確保するために厳格にチェックされる。中でも、ベルの装備、前後ライトについては、装着されていないと出走さえできない。
補給
エイドステーションにて水、飲料、食料の補給ができる。今回はカレーや豚汁、おやきなどもあった。
ただ、エイドステーション間の距離が近いところもあれば離れているところもあり、自分の補給計画照らし合わせて持参することも必要になる。
イベント概要まとめ
実際に参加した感想も含めてイベントの特徴をまとめると
・鬼畜な超級山岳ロングライドイベント
・カテゴリーは一般、変態増し、ド変態増しの3つ
・変態増し、ド変態増しでは、走行距離・獲得標高を増した上に制限時間が短い
・機材整備、ルートナビゲートは自己責任で
・挑戦をサポートするエイドステーションが充実
・参加者一人一人に光を当てるホスピタリティあるれる運営
・女性参加者が多い(驚き)
機材
---BIKE---
バイク:YONEX CARBONEX SLD
ホイール:ちくわホイール(TLR)
タイヤ:MichelinPowercup(TLR)25C F3.0bar、R3.0bar
ギア:フロント52-36 、 リア11-34
チェーンルブ:EXLUB
車体重量:7.0kg
タイヤの空気圧は、ウェットコンディションのためにセーフティに3.0barまで落とした。このおかげで、トラブルで1回滑った他には問題なく走ることができた。パンクも皆無。
チェーンルブは、悪条件下でも性能を最大限発揮してくれるEXLUB。土砂降りに遭いながらも最後まで駆動周りはスムーズだった。
レポート
5時20分頃に会場に到着し、受付でチェックカードや参加賞などを受領。参加賞などのライドに必要ないものはナップザックに入れて、会場の隅っこに置いておいた。
変態クラスは、5時50分から6人ずつぐらいのまとまりで順次スタート。自分は5時52分にスタート。
スタート~燕温泉(CPD1)~スタートポイント
まずは、変態増しとド変態増しだけが楽しめる追加区間で燕温泉の往復。
ウェット路面だったし、スタート後は浮足立っている面もあるので、安全に気を付けながら走った。
スタートポイント~戸隠(CP1)
スタートにボトルを1本置いていったので、それをピックアップ。同時スタートのゲン君とKNTには先に行ってもらった。
スタートからしばらくいった杉ノ原の5差路交差点でミスルートを冒してしまう。何度も通る地点だと、サイコンが間違ったナビをしてくる事象にやられた。これはwahooだけでなく他のサイコンでもどうようの事象があったようだ。
野尻からは本格的な登り。240w目安で淡々と登っていく。調子は悪くないけど良くもないといういつも通り笑
ただ、胃腸の調子が悪く、序盤にして胃の膨満感を感じ始めたので、デキストリン入りの糖質飲料の摂取を控えめにすることにして対応。
エイドでは水のみ補給。
戸隠(CP1)~小川村役場(CP2)
下りはセーフティに。
鬼無里を過ぎたあたりから本降りの雨に。予報より早い段階での降雨にテンション下がり、低体温によるDNFも覚悟する。
寒さ対策はもちろん講じていて、ワセリン塗布、アームウォーマー着用、レインウェアには強力な防水スプレー塗布しておいた。防水スプレーを塗布したレインウェアは、ばっちり水を弾いてくれて、なかなかにいい仕事をしてくれた。
小川村に入って、一般クラスのイサオさん、モトイさんとスライド。行って戻ってくるコースだと、すれ違いざまに応援出来て良い。
村役場に向かう下りでヘルメットに掛けていたサングラスが落ちて、振りむいた瞬間に後輪が滑るトラブルがあったが、落ち着いて減速してことなきをえた。空気圧下げておいて良かった…
村役場でようやくゲン君とKNTに追い付いた。おにぎりだけもらってすぐに出発しようとすると、KNTがキムタク風に
「ちょ待てよ!」
と言ってきたが、構わず出発(笑)
とにかく身体を冷やしたくないので、動き続けるのが吉。
小川村役場(CP2)~戸隠(CP3)
小川村といえば実業団小川ロード。当時、セイミヤ氏やヨッシー氏と競り合っていたなと感慨に更けていると村の防災無線が流れる。
「先ほどツキノワグマが出没しました。家屋や畑に侵入する恐れがありますのでご注意ください」
う~ん、右や左のブッシュからいつでも出てきそうだ・・・。実際、クマに出会ったライダーもいたようだ。
この区間でド変態増しのイトーチャン、アンディ、ノグチキャップとすれ違う。アンディと最初にすれ違い、調子が良さそうだった。
雨も小降りになってきた頃にCP3に到着。
胃の調子がイマイチだったが、カレーの匂いに誘われて1杯いただいた。塩気が身体に染みた。結構しょっぱい味付けだったのは、汗水流しまくっているライダーへの配慮か。おやきはポケットに入れて出発。
戸隠(CP3)~関門2(スタートポイント)~斑尾(CP4)
戸隠からスタートゴールまでは下り基調なのでスイスイ。腰や胸を伸ばしながら後半に備える。
斑尾の登りに入ると、日差しが届き始めて、さっきまでの寒さはどこえやら、一気に蒸し暑くなってきた。
この時点でルートの半分(110km、↑2700m))をこなしてきたので、脚に疲労の色が見え始めてきた。周りの参加者も同様のようで、自らの限界と対峙する参加者もちらほら。
色んな筋肉を動員するように、急こう配ではダンシング、緩勾配ではシッティング、平坦ではエアロ、というように使い分けた。
CP4につくと、変態増し一番乗り~!と言われて、先頭を走っていることが分かった。CPのスタッフがあれこれ声を掛けてくれ、疲労が増してきている中で元気が貰えた。
斑尾(CP4)~豊田(CP5)~斑尾(CP6)
この辺りから頭痛が発生。恐らく前半に胃腸トラブルから水分補給を控えたツケで、熱中症になりかけと思われた。できれば掛け水したいところだったが、フリーな水場が見当たらず、豊田へのダウンヒルで空冷処置することに。できるだけペダリングしないで、またエアロフォームもとらずに、全面的に風を浴びる。
豊田道の駅(CP5)に到着して、すぐに麦茶のミニ缶を3本補給。少し休みたい気持ちもあったけど、天気が良いうちに距離を伸ばしたかったので、イケオジのソデヤマ氏と写真を撮ってからすぐに出発。
出発してすぐにゲン君とKNTとスライド。差は5分ぐらいだろうか。ゲン君はKNTと走れて色々と勉強になるだろうな。
斑尾への登り返しも、4倍程度で淡々と。まだまだ長丁場なので、ダンシングも積極的に使って、疲労を分散させる。天気が良かったこともあり、500m以上登坂するセクションだったが、感覚的は消耗せず登り切った。
斑尾(CP6)~スタートポイント(関門2)
ここのダウンヒルも、身体の冷却のためにアップボジションで風を全面に浴びながら。一方、緩い下りや平坦区間では、エアロフォームをとってラクに速くを意識。終盤に何が起きるか分からないから、タイムを稼いでいく。
関川を渡って、スタートゴールへの登り。ここに来て、脚に強い疲労感を感じ始めた。これはグリコーゲンが枯渇してきたサイン。無理に頑張るとオールアウトしかねないので、使用エネルギーを脂肪メインに切り替えるべくL2で巡航。
スタートゴール(関門2)~笹ヶ峰(CP7)~ゴール
エイドステーションで再び麦茶3本を補給し、さらにジェル2つを胃にぶち込む。残すは笹ヶ峰の630mのヒルクライム。最後の最後で本日最大のクライムを設定する辺り、鬼畜すぎるぜ。これがPEAKSか。
L2で登り始める。調子が良ければL3に上げていくぞと思っていたが、既に5000KJ近くの運動量をこなしてきた身体に余力はもう無かった。L2を絞り出すのが精一杯の状態で厳しい登りを登っていく。20年ほど前に参加していた笹ヶ峰ヒルクライムの思い出に日たる余裕も、無かった。
あと何個で終わりといった感じで、九十九折の登りを一つ一つこなす。脚はギリギリ持ち堪えていたが、ここにきてお腹の調子が悪くなってきた。ちょうど雨が本降りになってきて、最悪のケース、野○○も覚悟して、大きめの草や水路を物色し始めるようになる。
そうこうしているうちにピークを追加。お腹のピークはまだのよう。そのあたりでイサオさん、モトイさんとスライド。だいぶ詰めたけど追い付けなかったなぁ。CP7は乙見湖の近くなので折角登ってきたのに100mほど下る必要がある。ってことは・・・最後の最後に登り返しかよ!とPEAKSの鬼畜さに称賛した。
CP7でチェックを受けて、無心で登り返す。たった標高差100mの登坂だが、長く感じる・・・
残すはダウンヒル。ライドのゴールが先か、お腹のゴールが先か。標高を下げていくと濃霧が酷くなって、自転車のライトしか見えないぐらいに。最後の方は雷雨。。今日のライドでは、想定されたあらゆる天候条件を楽しめた。
レインウェアで冷えを防いだおかげか、お腹のゴールの前に、無事にThePEAKS変態増しゴール!追走してきたKNTから逃げ切って、変態増しで一番乗りのゴールになった。
とにかくゴールできて一安心。ゴールしたら食べようと思っていた豚汁にありつく。う、うめぇ。
それにより腸が動き出したのか、突如お腹の急降下ファイナルが襲来し、慌てて内股歩行で近くのトイレに駆け込んだ。無事にこちらもフィニッシュ。。
奇遇にも隣の個室にも急降下な方がいらっしゃって、圧倒的なメロディーを奏でていて、再び腹痛(腹筋の方)に襲われた。
まとめ
コースの鬼畜さに最後は打ちのめされたが、イベント全体を通してスタッフのホスピタリティに包まれ、さらには参加者同士で応援し合う一体感。参加者には常連さんと思われる女性や高齢な方、だいぶふくよかな方もいらっしゃって、イベントのホスピタリティの高さがリピーターを増やしているのかなと感じた。
ゴール後にThePEAKSにはもう参加しなくていいかな、と正直思ったのだが、翌日には次回のThePEAKSの日程を確認している自分がいた。こ、これがThePEAKSの中毒症状なのか。
stravaを巡回してみると、ド変態増しのトップゴールのライダーが自分より30分ほど早いタイムで完走していた。
ほほう。ほほーう。
ド変態増しのトップゴール、チャレンジ、してみますか?!
最後に
大会スタッフの皆さん、大変ありがとうございました。朝早くから、さらに天気がコロコロ変わり大変だったかと思いますが、無事にゴールできたのは温かく迎えてくれたスタッフの方々のおかげです!また参加する気になってきましたので、その際はよろしくお願いします。
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