成長ホルモンが分泌されている間に見た、ちょっと内容の濃い夢のお話。
夢の中に、同じ職場内で働く男性の先輩社員さんが現れた。その先輩社員さんは、かつて僕に『9%のお酒』を奢ってくれた、優しい人である。
場所は新しい社員寮で、ベランダが他の部屋と繋がっていた。手すりがダークブラウンといった、落ち着きのあるものだった。
夢の中では2日くらいあったような気がする。1日目と2日目を過ごした気がする。
1日目の午前中に、部屋の中でゴロゴロしていると、ベランダにつながっている窓から突然物が投げられた。その窓は、暑さ対策として網戸にしていて、日差し対策としてカーテンを引いていたので、誰が何を投げたのか、何の目的で投げたのかがわからず、驚き、しばらくの間、僕は静止していた。
はっと我に返り、その何かの正体、そして投げた人の正体を知るために、僕は恐る恐る移動する。そして、カーテンを開けた。
そこには、何も無かったし、誰もいなかった。心の中で恐怖と疑問が残る。
その日の19時に(具体的な時間がわかるのは、夢の中でその時間であることを見たため)、また何かが投げられた。今度は洗濯物であることがわかった。今度こそ、と思い、急いでそちらへ向かうと、そこには先輩社員さんがいた。
「…先輩社員さん?なんでこんなところに」
「いや、暗いのに洗濯物が干してあるから濡れるだろって思って。取り込んでおいた」
「ありがとうございます…もう少しいい方法は無かったんですか?」
「これが最速かなと思って」
「ふふ、最速て」
「うん」
「…」
「……」
無言になる。気まずい、と考えていると、突然先輩社員さんが「つくもん、今、暇?」と聞いてきた。
「暇です」
「じゃあさ、温泉行こうよ」
「いいですね、温泉。行きましょう」
後で迎えに行く、と言われ、先輩社員さんは去っていった。先輩社員さんが去った後、何を思ったのか、僕はトラベルセット(シャンプー、リンス、ボディソープが入ってるアレ)やらプールの時に使うバスタオル(ボタン付きの大きめのタオル)やら色々と引っ張りだして散らかしては、服を脱ぎ、タオルを体に巻き付け、ベランダに出て、飛び降りた。
その後に我に返り、やべーやべーと言いながら必死に階段をのぼり、自分の部屋の階を目指す。なぜエレベーターを使わなかったのか謎ではあるが、何段か飛ばししながらのぼっていく。
その間に電話がかかってくる。先輩社員さんからだった。もう少しで着くと言われ、階段の途中で先輩社さんの後ろ姿が見え、その後ろで急いで走っている僕がいます、と伝えた。先輩社員さんと僕は目的の階に到着し、僕は息を切らしながら急いで準備します、と言い、部屋の中にもう一度入った。
服をちゃんと着た状態で、僕は先輩社員さんの隣を歩く。急に2日目になったのか、外は明るく、空は青色に染まっていた。
道中歩いている時に、女性は大変であるという話をした。女性は化粧しなきゃダメだからめんどくさい、と言うと、先輩社員さんは男性も大変だと言う。髭剃らなきゃいけないし、という言葉にすかさず反論。
「いやいや、女性も髭生えます。髭の処理してから化粧してるんです」
「うわあ、それは大変やね」
そこから急に頭痛の話になった。最近先輩社員さんは頭痛が酷いらしい。
「つくもんの持ってる頭痛薬、もらえない?」
「え。で、でも、あれは他の人に渡していいのかわからないですし」
「ええんちゃう?別に」
何度も僕の持ってる頭痛薬──リザトリプタンを求める先輩社員さんに折れ、僕も最終兵器として使っているものなのですぐには使わないでくださいね、と言い、後で渡すことにした。
温泉に到着した。僕はぎょっとした。
温泉の駐車場から施設の入口まで、たくさんの虫が、落ち葉と共に、いた。全て毛に覆われているのだが(たとえるならタランチュラのような毛の覆われ方)、よく見ると1匹1匹違う種類の虫らしい。
僕と先輩社員さんは顔を引き攣らせ、無言になる。
僕は意を決して、走って施設の入口まで向かう。たくさんの虫が、頭上や肩の上に降ってきたり、足に昇ってきたりした。僕はひーひー言いながら走る。
何とか施設の入口に着く。ぜーはーと息を切らしながらふと入口を見ると、透明なガラスの自動ドア越しに、人々が毛に覆われた虫を手づかみで払い除けてから受付まで行くのが見えた。ぞわっと背筋が凍った。
「虫触るなんて無理!先輩社員さん!助けて!」と思っていると、上から虫が。よく見ると、先輩社員さんが笑顔で虫を僕に乗せようとしている。
ひぃいいぃぃ!!??やめてっっっっっ!!!というところで、目が覚めた。辺りはまだ暗かった。時間を確認するために、充電していたスマホのロック画面を見ると、『02:20』の文字が。
あまりにもリアルで、短時間で内容が濃い夢だったので、まとめることにした。頭がぼんやりしている時に書いたメモを、完全に目が覚めたタイミングで修正しながら書いたのが、この記事である。