テレワーク勤務規程を急いで作りたい(テレワーク勤務規程のひながた公開)
こんばんは。ネコテガシです。
<2023/06/13追記>
この記事は、社内規定なんかを整備する仕事をしていたときに、急なコロナ対応でテレワーク規程を作ったときの検討過程をまとめたものです。
<追記おわり>
テレワーク、リモートワーク、いろいろいい方はありますが、コロナ対応で、テレワークに関する規程の策定が急務となっています。
また、2020年03月05日に、東京都新型コロナウイルス感染症対策本部が『事業継続緊急対策(テレワーク)助成金』というものの募集をはじめるとの発表がありました。限度額:250万円、助成率:10分の10なので、わりつ使い勝手の良い補助金なのですが、申請にあたり、テレワークに関する規程があることが求められます。
代表的なサンプルとして、
厚生労働省「テレワークモデル就業規則」
などがありますが、ぶっちゃけ、コピべでテキストが取得できないPDFだったり、ちょっとサンプルが古かったりするので、使い勝手が悪いです。
そこで、緊急に規程を作りたい方向けに、必要そうな条文をまとめました。もちろん、最終的には顧問の社労士などに確認して貰う必要はありますが、社内のドラフト作成や、決めなければならないことの整理にに役立てば嬉しいです。無料部分で条文やそのざっくり解説は載せています。有料部分は、これらの条文を使用したWordファイルだけを置いています。
就業規則の変更や追加
前提として、就業規則にテレワークに関する内容の記載が必要です。詳細は、テレワークの規程に依拠するかたちでよいです。
人事異動の文脈で会社がテレワークを指せる場合、労働条件の変更となるので、労働条件がテレワーク勤務規程に依拠することを追記します。
また、テレワークの場合、守ってもらうルールが社内に勤務する場合と異なるので、服務規程として守って貰う必要があることを記載します。既存の遵守事項に追加が必要です。
出退勤の管理は、テレワークに置いても必要です。その場合、通常の出勤と異なる場合も考えられますので、既存事項に、テレワークの場合に会社で定められた方法で報告するように定めます。
あと、そもそもテレワーク、在宅勤務とは何かを定義することも必要かもです。
テレワーク勤務規程
制定
テレワーク勤務規程の制定に関しては、就業規則の一部であることを規定した条文を規程の冒頭必要かもです。この記載がなかったとしても就業規則の一部であることにはかわらないんどえすが、明確にしたほうがようかと。
目的
テレワーク勤務の目的を定義します。
テレワークとは「ITを活用して、場所や時間にとらわれない柔
軟な働き方」と定義され、その効果・効用が従業員の意識向
上のためと効率的な労働環境を構築するためであることを明確に示すことが重要と思います。
なお、労働契約法第3条3項で「労働契約は、労働者及び使用者
が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものと
する。」と規定されていることを考慮して、ワーク・ライフ・バラ
ンスについても触れることも良いと思います。
テレワーク勤務の定義
テレワーク勤務には、就業場所によって分類する方法として「施
設利用型テレワーク」「自宅利用型テレワーク」「モバイル勤務」
があります。
施設利用型テレワークの考えられる施設には、「サテライトオフ
ィス」「テレワークセンター」「スポットオフィス」「レンタルオフ
ィス」などがありますが、この勤務規程ではモバイル勤務に含め
て良いと思います。
場所の決定に際して、会社に裁量をもたすため(会社が認めた場所に限る)という記述も考えられます。
テレワーク服務規律
就業規則や情報危機管理規程に定められている遵守事項以外でテレワーク勤務に必要な服務規律を挙げています。
規定例の第1号は持ち出した情報の管理方法に触れています。
ここでは、従業員の親族を第三者とみなしていますが、親族であっても不用意に情報が目に触れないよう規定しています。なお、親族の扱いについては労使間で十分に検討を行って下さい。
規定例の第2号はテレワーク時の職務専念義務について定めていますが、就業規則にていますが就業規則で職務専念義務については十分と考えますが、敢えてテレワーク勤務規程に掲げることで「職務専念義務」について注意喚起をしています。
なお、在宅勤務時において「みなし労働時間」が適用される場合がありますが、私生活と業務が混在して切り分けができないからです。労働時間の途中に育児や掃除、洗濯をするなど職務に専念できないことがあるかもしれません。もちろんその時間は労働時間でありませんが、程度の問題もあります。そのあたりは会社と従業員の信義誠実の原則に則って対応が必要です。
規定例は在宅勤務中の外出について触れています。
在宅勤務を実施中でも、自宅から外出する機会がないともいえません。こうした場合の注意が必要です。
在宅勤務中に、自宅ではなく近隣の図書館などで仕事をしたいと考える従業員もいるかもしれません。また、こうした場所の方が、仕事がしやすいという意見も聞かれます。しかし、在宅勤務の場合には、働く場所はあくまでも従業員の自宅が原則であり、自宅が仕事をする環境に向いていないということであれば(例えば子供が小さくて仕事に集中できない等)、その人は在宅勤務に向いていないと言えます。上司の目が届かないため、在宅勤務制度で定められた場所以外で仕事をしないような運用が必要です。モバイル勤務もある場合は次の5項を追加すると良いでしょう。6項については「テレワークポリシー」を策定し在宅勤務時にその遵守を求める場合は次の規定を追加するのが良いと思います。
テレワーク勤務時の始業・終業連絡
使用者には適正な労働時間管理を行う責務があります。在宅勤務時はタイムカードの打刻ができないため、始業・終業時刻の確認・記録の方法を定めておくと良いでしょう。終業時に一日の業務報告をさせたり、後日、日報を提出させる例も見られます。
在宅勤務の対象者
「実際に在宅勤務をするかどうかは本人の意思によるもの」と踏まえ本人の希望が前提としています。
第2号は、勤続年数が短い従業員(例えば新入社員)には、会社の働き方のルール(服務規律や慣習)や仕事の進め方や社内研修が少なくまだ自律ができないといった考えで一定の勤続年数を経た者を対象とするのが良いと思います。また、入社期間ではなく、職種や部署によって対象を決めると言った事も考えられます。
第3号は、在宅勤務者には自らの健康に十分に注意を払いつつ、作業能率を勘案して自律的に業務を遂行することが求められますので、これができると認められる者に限って許可を与えるとしています。
在宅勤務については、従業員の自律性が求められるためある程度の勤務経験を用件としている例が見られますが、モバイル勤務の場合は勤続年数を要件としなくても良かもしれません。
ただ、対象者を上記の様のさだめても、今回のコロナ騒動や、東日本大震災のように、急遽テレワークに切り替えないとならないケースも想定すべきです。その場合、以下のように、災害や感染症、その他社会適用性について、条件を満たさなくても認める規程を用意するのも良いかと思います。
在宅勤務の要件
在宅勤務については、会社が従業員の私生活にむやみに介入すべきではない自宅で行われることから、プライバシーにかかわることは聞くべきではありません。しかし、使用者には安全配慮義務が課されていることから必要最小限のことは在宅勤務の要件に加えるべきです。
考えられる項目は次のとおりです。
・在宅勤務時の執務環境
・ITインフラの環境
・在宅勤務で行う業務の範囲
導入企業では、自宅の配置図面を提出させている例もあるようすが、プライバシーには相当な配慮をしなければなりません。また対象者直接の要件ではありませんが在宅勤務を実施する際には家族の方にも在宅勤務による働き方を適切に説明し、理解を得ておくことが必要です。
在宅勤務の対象業務
在宅勤務の対象業務は、認める業務を限定する場合はそれを列挙することが考えられます。
また、在宅勤務の対象部門が特定されているような場合には、以下のような内容とすることも考えられます。名前のついている業務単位ではなく、どういう業務がテレワークで成果がでるのかを定義することが考えられます。
在宅勤務の申請と承認
申請書を作成して申請を受けることが想定されます。その場合の申請書は、一般的には以下のような内容を記載します。
【申請書の記載内容】
(1)申請者の属性(氏名、所属部門、その他関連事項)
(2)在宅勤務の期間
(3)在宅勤務の場所
(4)在宅勤務の理由
(5)その他関連事項
在宅勤務申請者とマネージャーとの話し合いにおいて、従業員の私生活にまで介入するようなことがないよう注意を払う必要があることに留意しておく必要があります。例えば、自宅における執務場所を確認するために、在宅勤務者の自宅における仕事の場所について話をすることはよいかもしれませんが、それ以外の居住環境などに話が及ぶとプライバシーの侵害といった問題
を引き起こしかねませんので注意が必要です。
また、在宅勤務を承認する際には、マネージャーは申請者の資質や性格が在宅勤務に向いているかどうかを判断しなければなりません
在宅勤務時の労働時間
在宅勤務時においては、原則、通常勤務と同じ時間とし、育児や介護の理由等で在宅勤務を実施する従業員で所定労働時間を短くする必要がある場合を規定している例です。なお、所定労働時間を短くした場合の給与は「育児・介護休業規程」の短時間勤務措置の給与の取扱いに準じる規定としています。モバイル勤務についても同じ規定で構いません
また、在宅勤務時においても原則、通常勤務と同じ時間とし、就業規則で規定した在宅勤務時のみなし労働時間制が適用される規定例です。みなし労働時間制が適用されますと、本規程では所定労働時間みなすとしていますので、その規定に従って所定労働時間労働したものとみなされます。
なお、通常労働時間労働したものとみなす規定や労使協定で締結した時間労働したものとみなす方法があります。
在宅勤務者の給与
在宅勤務の頻度によって、通勤定期相当額と実費相当額を比較して安価な方を選ぶように規定しています。常時型テレワークでは、事業場に通勤することが少ないことから、一定期間を基準とした定額の通勤手当は支給せず、打合せ等で事業場に勤務する場合のみ往復に要する通勤費用の実額を支給するケースが考えられます。
随時型テレワークでは、テレワークの実施頻度を考え一定期間を基準とした定額の通勤手当を支給するか往復に要する通勤費用の実額を支給するかを比較して考えれば良いでしょう。
費用負担
その他、家庭の支出に帰属するものと会社に帰属するものの割り振りを行っておく必要があります。
在宅勤務時の連絡体制
テレワーク勤務(在宅勤務・モバイル勤務)でほとんどオフィスに出向かない場合は緊急連絡の方法を決めておく必要がありま
す。特に在宅勤務時では取引先とのトラブルや使用している情報通信機器の不具合など緊急を要することを予め社内で検討しその内していたとの実例もあります。
テレワークは、天災等の大規模災害時にその効果があるとされ、現に欧米では実際に発生した大地震や大規模テロ時に、テレワーク導入企業が通常では考えられないほど短期間で通常業務に復帰ていたとの実例もあります。
企業で発生した緊急時の連絡体制だけでなく大規模災害時を想定した連絡体制作りが望まれます。
いかがでしたか?これだけのサンプルでも意外と検討事項が多いと感じると思います。これらをベースに自社用にカスタマイズしてください。
以下、有料部分に、WORDファイルでつくったサンプルファイルを置いておきます。規程のフォーマットにするのが面倒な方は利用ください。
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