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No.7 アランのAI活用生活/プリントの添削までしてくれるのかい?
アランです。
講師の仕事が始まり、慌ただしい日々を送っています。
自由な時間を享受しつつ、授業実践はできるため講師の働き方もよいな、と感じている今日このごろです。
今日は再びAI活用生活の話題を載せてみようと思います。
教員が教材研究をする際、メンターとなる先輩教員がいる場合・いない場合両方あると思います。
優れた実践を行っていたり、知見をもっている先輩や同僚がいても、教材をみてもらう機会は少ないかと思います。教材をいつでも確認して意見をくれる同僚がいれば……。そんな思いの方も数多くいるでしょう。
今回は、プリントのデータ(PDFでもWordでも可)をアップロードして、プリントを評価・添削してもらう使い方について紹介したいと思います。私が入力したもののやりとりを載せます。
例は世界史の「アメリカ合衆国の独立と発展」に関するプリントを扱ったものです。使用するAIはChatGPT、モデルは4oです。
私:あなたは優れた文筆家であり、教師です。 今からプリントのデータをアップロードしますので、その内容について評価や添削をしてください。
※クリップのマークから、ファイルをアップロードする
AI:プリントの内容を確認いたしました。「アメリカ合衆国の独立と発展」に関する内容で、イギリス植民地時代から独立戦争、憲法制定までを概観するものですね。以下の点について評価と改善提案をいたします。
評価
分かりやすさ: 重要な用語や出来事に【 】を使用しており、キーワードが視覚的に目立ち、内容が整理されていてわかりやすいです。
時系列の整理: 時系列に沿って出来事が並べられているため、生徒が歴史の流れを理解しやすくなっています。
重要な思想家や文献の言及: ロックやトマス=ペインの『コモン=センス』など、思想家の影響にも触れており、政治的な背景を理解するための材料が提示されています。
改善提案
視覚的な補足: 特に時代背景や複数の国が関与する場面では、図や地図を補足することで、視覚的に理解を助ける要素が加わると効果的です。例えば、植民地の地図やアメリカ独立戦争時の勢力図を追加すると、具体的なイメージが持てるでしょう。
用語の追加説明: 一部の用語について、少し補足があるとより理解が深まるかと思います。例えば、「代表なくして課税なし」など、生徒にとって馴染みが薄い概念については、簡単な背景説明を加えると良いかもしれません。
生徒への問いかけ: 生徒の考えを引き出すための問いかけをプリントに組み込むと、ディスカッションや自主的な学習が促進されます。「なぜイギリス本国は植民地に対してこのような政策を取ったのか?」など、歴史的な因果関係を考える機会を提供するのも有効です。
これらの改善点を加えることで、さらに生徒の理解を深められるプリントになるかと思います。
私:具体的に改善するとしたら、という案を作ってもらうことはできますか?
AI:もちろんです。以下に具体的な改善案をいくつか提案いたします。
1. 図や地図の追加
改善前: テキストのみでアメリカ独立戦争や各国の領土変遷について説明している。
改善案:
アメリカ独立戦争時の13植民地やフランス・スペインの領土の範囲を示した地図を挿入。
七年戦争後の領土の変遷を図示して、どの領土が誰に譲渡されたのかを一目でわかるようにする。
2. 用語の補足説明
改善前: 「代表なくして課税なし」や「印紙法」などの専門用語が出てくるが、背景説明がない。
改善案:
代表なくして課税なし: 「イギリス本国の議会に植民地の代表がいないまま、植民地に課税を強いることに対する不満の表れ。このスローガンは植民地の自治要求を強調するものです。」
印紙法: 「イギリス政府が財政赤字を補うため、北米植民地で発行される出版物や公文書に印紙を貼付し、課税を行う法律。」
3. 生徒への問いかけ
改善前: 資料の羅列のみで、生徒の思考を引き出す仕掛けがない。
改善案:
プリントの随所に考察を促す問いかけを追加する。
例:
「なぜ北米の植民地は、イギリス本国に反発したのでしょうか?イギリスの立場と植民地の立場の違いを考えてみましょう。」
「フランスやスペインがアメリカ独立戦争に協力した理由は何だったのでしょうか?また、彼らの思惑はどこにあったのでしょうか?」
問題形式: 簡単な穴埋め問題や、選択肢問題を加えて、生徒が自分の理解を確認できるようにする。
4. 補足情報の追加
改善前: 各国の参戦について簡潔にまとめられているが、詳細が不足している。
改善案:
ラ=ファイエットの背景: 「ラ=ファイエットはフランスの自由主義貴族で、アメリカの独立を支援しました。彼の活動は後のフランス革命にも影響を与えます。」といった人物の背景説明を追加する。
1783年パリ条約: 「パリ条約はアメリカの独立が正式に認められた条約であり、同時にミシシッピ川以東のルイジアナ領土がアメリカに譲渡されました。」など、条約の重要性を強調。
5. 章ごとの要約やまとめ
改善前: 各項目がそのまま並列されており、章ごとのまとめがない。
改善案:
各セクションの最後に短い「まとめ」や「ポイント」を追加。
例: 「アメリカ独立戦争の結果、植民地はイギリスから独立し、アメリカ合衆国が誕生しました。この戦争には、フランスをはじめとする外国勢力の協力も重要な役割を果たしました。」
6. 視覚的なレイアウト改善
改善前: テキストが中心で、情報が少し詰め込まれている印象。
改善案:
重要な人物や出来事の名前を強調するために、太字や色分けを使用する。
年表形式で主要な出来事を視覚的に示すことで、時系列の整理を容易にする。
これらの改善案を取り入れることで、よりわかりやすく、考えさせる力を引き出すプリントに仕上げることができると思います。
どうでしょうか。プリントそのものは公開しない予定なので実際どうなの、役立つのかな、と思われるかもしれません。
しかし様々な観点からフィードバックをもらえるので、(個人情報や学習されたくない情報を入力しないこと、設定を確認することは前提として)一度教員の方は使ってみることをおすすめします。
以下は、私の感想です。
「ねらいと違う部分に指摘をしてきたな……的外れかな」「それは授業内で触れたり、別な活動でやるんだけどな……」というモヤモヤが湧いてくるときもあるが、それはそれで自分のこだわっている部分を再確認できる。
問いかけや主題設定など、一般的な事例は参考になる。
慣れてきて型にはまってしまったプリントづくりを脱して、別なパターンを作ってみようと思うきっかけになる。
「AIにも理想と考えるプリントがあるんだな」という気付きがあった。
どのようなプリントが理想なのか、自分なりに考え直した。
このnoteを始めて思ったのですが、他の人がどのようにAIを活用しているのかは気になる点ですよね。参考となる書籍をいくつか紹介しておきます。
『授業で使える!教師のためのChatGPT活用術』田中博之、学陽書房
『ChatGPT×教師の仕事』南部久貴、明治図書
『さる先生のChatGPTの教科書』坂本良晶、学陽書房
こうした書籍の事例以外にも、ChatGPT以外にも、教育に活用できるAIの実践事例がもっと共有できたらいいのになあ、と思っているアランです。
コメントで、よい記事や情報があったら教えていただけると嬉しいです。
アラン