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観光地でもない小さな町で宿泊業をはじめちゃった僕らの「弱者の戦略」

「こいつら絶対メジャーデビューはできないよね」「でもなんか推せるんだよねー」

そういうバンドってあるじゃん?僕らのホステルが目指すのも、そんなインディーズバンドみたいな立ち位置じゃない?

このまえの経営会議で社長がぽろっと言ってた言葉です。

ほんとにそれで経営大丈夫??と若干不安になりながら、なんかわかるなぁと腹落ちする感覚もありました。

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僕は今年の3月に大学を卒業し、宮崎県都農町に移住&就職しました。今は廃校活用や商店街再生、キャリア教育などに関わる「まちづくり会社」(株式会社イツノマ)で働いています。

その会社はホステルの運営もやっていて、僕は新卒入社していきなり支配人に任命されちゃったんです。

前回は「なんでこんな小さな町で宿泊業をやりはじめちゃったんですか?」と直球質問してみました。

今回のnoteは「オープンしてもうすぐ2年ですけど、手ごたえとか今後のビジョンとかどんな感じですか?」と質問したときに返ってきた答えをまとめたものです。

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思ってたよりお客さん来てくれたんだよねー

社長の口から最初に出てきたのはそんな言葉でした。

株式会社イツノマ 代表取締役CEO 中川敬文

2021年9月にオープンしたホステルALAはもうすぐ2周年。昨年は年間600万円ほどを売り上げ、超ギリギリだけど黒字化にも成功しているんです。

まちづくりホステルALA @宮崎県児湯郡都農町

だけど思い描いていた戦略がズバズバ当たったというよりは、むしろ予想外の連続だったようです。

1番の予想外は、全国一周や九州一周のお客さまにとって、めちゃくちゃちょうどいい「中継地点」だったらしいこと!

具体的には、日本全国の拠点を利用できる「住まいのサブスクサービス ADDress」さんにお貸ししている2部屋の稼働率が異様に高いんです。80%を超える稼働率で、ADDressの社員さんからも「全国を見渡しても、あんまり聞いたことない稼働率ですよ。どんな取り組みをされてるんですか?」と聞かれたほどです。

恥ずかしながら、これといった取り組みはできていなくて。。別府や湯布院などの大分県の観光地から、鹿児島や沖縄の観光地に向けて南下していくときに、絶妙な位置にうちがあったようなんです。

ちょうどいいところに、ちょうどいい規模で営業している、そんな高速道路のSAみたいな施設なのかもしれません。

ほかにもたくさんの予想外がありました。

1年前にリモートワーカーの利用を見込んで、ホステルの真横に新設したトレーラーハウス。緑に囲まれた個室で、快適に仕事ができるようにWi-Fiやデスクにこだわってリノベーションしたんです。

ただ蓋を開けてみると、ワーケーションとして利用されるお客さんはほぼほぼ皆無でした。
それでも最近の稼働率は50%を超え、当社比では"驚異的な人気"を誇っているんです。

現在のトレーラーのお客さまは、小さなお子様連れのファミリーか20代カップルがほとんど。

1室9000円と料金安いのにプライバシーが保たれる個室だし、緑に囲まれる非日常の体験ができる。それにホステル棟とは切り離されてるから、子どもが騒いでも誰にも迷惑をかけない。

そんな特徴が県内外のファミリー・カップルに刺さっているようなんです。

話を聞いていくと予想外だらけの2年間だったことがわかってきました。

でも僕はふと思ったんです。

たまたまポジティブなほうに転がったからよかったものを、これって大失敗する可能性もあったのでは?ふつうはもっと作る前にニーズを調査したり、コンセプトを考えたりするんじゃないっけ?

そんな疑問をぶつけると、こんな答えが返ってきたんです。

1万人の町にはニーズもマーケットもない!そこを突破するには〇〇が必要

たしかにふつうの会社というか、もっと大きい町だったらちゃんと俺もリサーチしてニーズの調査したり、コンセプトライティングしたりするんだけどさー。1万人の町だと無理なんだよね。

だってまともに考えてたら「マーケットがないから宿泊業は成立しません!」っていう結論になっちゃうじゃん。

1万人以下の町や村で事業をやるときの鉄則は「やってみる」に尽きると思うんだよね。とにもかくにもやってみる!そこの実行力というか力技がめっちゃ大事な気がしてるんだよ。

もちろんある程度のあたりはつけるし、自分なりの「なんかいけそう感」はあるよ。

でもこういう小さな町で「ことを起こそう」と思ったら、まずはとにかくやってみること。それが1番大事なんじゃないかな。やる前にロジックで詰めていくと、マーケットもニーズもないから破綻しちゃうしね。

あとはアドリブ力かな。まずはやってみて、やっちゃった後は周囲の反応や世の中の動きに合わせてどんどん変えてく。それを繰り返しながら「たまたま」を見つけていく感じかもねー。

とまあそんな答えが返ってきたんです。手前味噌にはなりますが、中川の「実行力」の裏側にあるヒントを見た気がします。

最後に「これからホステルALAが成長していくとして、究極の理想の姿ってどんなイメージですか?」と聞いてみました。

目指すは最高のインディーズバンド

うーん、正直さ俺らがどんなに成長したとしても「BRUTUSが選ぶ!最高の宿10選!」とかには載らないと思うんだよねー。

メディアに引っ張りだこになることも、満床が連続するような日々も永遠にこないと思うんだよ。そういう意味では、俺らは永遠にメジャーデビューはできないんじゃないかな。きらりんだってそう思うでしょ?(笑)。

でも「最高のインディーズ」にはなってみたいな。「知る人ぞ知る」的な。根強いコアなファンがたくさんいて、時には俺らが尻を叩かれるみたいな。ここがそんなホステルになったら最高に幸せだと思うんだよね。

インディーズって言葉をググってみたらさ「自由」と「ユニーク」がキーワードだって書いてあって。

その2つなら俺らもあるじゃん!と思ってさ。

教育に興味のあるお客さんが来たときは「まちづくり部」のメンバーとして活動してる中学生を紹介したり。

プロカメラマンとして各地を旅しているお客さん✖️中学生

キャリアに悩んでちょっとの期間休職してるんだっていうお客さんが来たときは、クワを持たせて一緒に開墾しながらたくさん話したり。

青空の下一緒に作業しながらたくさんお話ししました

たぶんちゃんとしたホテルなら、接客としてはありえないんだよ。でもそんな行き当たりばったりで、超ゆるい体当たりの関係性が俺らの強みじゃないかな。それが小さな町に根ざしたホステルだからできることなんじゃないかな。

そんなことを中川は言っていました。

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ふらっと立ち寄っただけだったけど、なぜか引き込まれた。会って数時間なのに盛り上がっちゃって、深いところまで話しちゃった。また戻ってきたくなる場所ができた。ホステルのこれからや都農町のまちづくりが気になるようになってしまった。

そんなお客さんを1人でも多く増やしていきたい。決意を新たにした新卒支配人です。

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毎月1回、オンラインイベントを実施することになりました!1万人の町でのホステル運営の実情や中学校でのキャリア教育の様子、はたまた移住してきた20代社員のキャリア観など赤裸々にお伝えします。

さらにこちらから情報をお伝えするだけでなく、僕らが困っていることの相談にのってくれる方も募集しています。インディーズホステルの「ファン」というより「初期メン」として、あなたの力を貸してください!


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