橈骨神経麻痺の話 ①
友人と岐阜の温泉地へ旅行中、
電車でウトウトして、
目が覚めると左手が動かなくなっていた。
最初は今世紀まれに見る一般的な痺れだと思っていたが、
なんか様子が違う。
目的地に着いて、観光している間もずっと治らない。
2時間、3時間と経過して
夕食の時間になっても思うように動かない左手。
さすがにちょっと焦って来て、
脳梗塞じゃないか、ついに私のコレステロールが爆発したのでは、と
なかなかに不安な夜を過ごした。
「起きたら治ってますように」
治っていなかった。
とりあえず、その土地の町医者さんで診てもらった。
脳みそ系の疾患じゃないと太鼓判を押されたので
帰省したら病院に行こうと、とりあえず旅を続行。
髪の毛が縛れない、お菓子の袋が開けられない、背中が洗えない、朝食バイキング一気に持ってこれない等々の不都合があったけど、
友人たちのおかげで無事突破。
一番のネックだと思っていた、駅から自宅までの車の運転も
意外に片手でイケた。車ってスゴイ。
(推奨はできません。)
そうやって自力で総合病院へ。
診断は「橈骨神経麻痺」
神経が圧迫されて、一部に麻痺が生じるヤツ。
腕枕とかでもなるので、別名「ハネムーン症候群」というらしい。
独り身で生きていくと決心した自分には
縁遠い病名なので、やめてほしい。
3週間程度で自然治癒するということで、安心。
ただ、意外にも主治医が若くてイケメンだったので
なぜノーメイクの髪ボサボサで来てしまったのかと
静かに後悔した。
そうして、
当たり前のものが無くなり、
忘れかけた頃に戻ってくる生活が始まった。