大学のWeb広報に見る新型コロナへの危機感の温度差
宮城県内の大学のコロナ対応をウォッチしている。
14大学しかないが、ウェブのトップページを見るだけで、その大学の姿勢が見えてくる。
危機への姿勢が明らかになった各大学の対応
東日本大震災という大災害を経験しているので、その経験を活かしてBCP(事業継続計画)や行動指針を持っていることを期待した。
しかし、自然災害は想定していても、感染症は想定していなかったのだろう。ウォッチを始めた4月8日時点で、BCPを作成していたのは東北大学のみだった。
全国的には、4月7日に7都府県に対して緊急事態宣言が発令された。その翌日になって、慌てて授業開始日を延期するといった、場当たり的な対応がみられた。石巻専修大学は再延長した授業開始日を「未定」と公表するなど、対応へのドタバタぶりがうかがえた。
この時点で、まだ宮城県内の大学の多くは、対面授業の実施が可能と高をくくっていたのだろう。オンライン授業の実施を打ち出していたのは3校のみだった。ところが、大都市圏の大学が厳しい対応を取っていることが分かったためか、4月10日には半数の7大学がオンライン授業の実施を表明した。
4月13日以降に危機感高まった
緊急事態宣言が全国に拡大されるという動きを知ってか、行動指針を定め、ウェブページを改修し、積極的に新型コロナ対応情報を公表する大学が現れた。宮城女学院大学、東北学院大学、仙台大学がそうであった。
週末の4月19日に各大学のウェブページを確認したところ、14大学中13大学がオンライン授業の実施を表明していた。残る大学は東北生活文化大学で、対面授業を再開させる模様だ。
※4月23日追記:尚絅学院大学は4月10日の学長談話で、オンライン授業の実施が書かれていることが確認できました。
危機を「危機」として認識しているのだろうか
これまでのWebによる情報提供の変化から、各大学の危機対応や意思決定の姿勢が垣間見える。行動指針を立てて包括的に危機対応をしている大学と、状況が変わる度に場当たり的に対応している大学に、はっきり分かれているのだ。
おそらく、場当たり的な対応しかできない大学は、授業の実施回数確保という目先の業務遂行だけが目的となっているのだろう。今回の感染症のような人間の生命の安全を脅かす事態となっても、なお「日常の業務遂行」という視点しか持ち合わせていないとみえる。
そういった大学は、学生への対応ばかり急いで、教職員の健康を気遣う姿勢が希薄だ。いつまでも、漫然と出勤をさせていては、いずれ共倒れとなる。
彼らは、東日本大震災のときに、何も学んでいないのだろう。
「命の大切さ」「きずな」といいながら、職場のしがらみで出勤を強制している。「正常性バイアス」によって、教職員の感染リスクよりも日常業務を優先している。
内田樹さんの言葉を噛みしめろ!
過去の事例を振り返って、同じ失敗を繰り返さないように改めるべき点を改める。未来については「最悪の事態」を想定して、その被害を最小化する手立てを工夫する。「もう過ぎてしまったこと」と「まだ起きていないこと」にありありとしたリアリティーを感じる感受性がないと危機管理はできない。
あなたたちがしていることは、震災を経験した大学として恥ずべき行為であるとしか言えない。
危機を危機と認識できない「お花畑」組織
この危機下においてなお、ウェブページのトップに入試情報や大学自慢を漫然と掲載している大学は恥を知るべきだ。いま、あなたたちのウェブページを見ている人たちは、そんな「お花畑」の情報が欲しいなんて思っていない。
受験生を抱える親御さんは、そんな「お花畑」大学に自分の子供を入学させてはいけない。
震災の教訓を活かすというのであれば、まず新型コロナ対応情報へのリンクを最も目立つところに設置すること。そして、誰でも知りたい情報にすぐにアクセスできるようなかたちで提供すべきである。
トップページでお花畑を展開している大学へ告げる。
この危機下にこそ、震災の教訓を活かせ!
9年前の危機を直視しろ!
あなたたちは、いまでも震災に目を背けて生きているんだよ!
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