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共催で技術系イベントを開催する際の企画書テンプレートと段取りのHow
こんにちは、すべての経済活動を、デジタル化したい大石(@akyun)です。LayerXでエンジニア採用担当をしています。
今回は、日頃自分が使っている技術系共催イベントを主催する時の企画書テンプレートとオペレーションのHowを紹介します。
前回はJD作成時のヒアリングテンプレートを公開しています。そちらも良ければご一読いただけると嬉しいです。
前提
このnoteの想定読者は、複数社で共催することに不慣れな技術イベント運営を担当する方(主にはHR)やエンジニアの方をイメージしています。
イベント開催は、ホスピタリティの発揮の面で「やったほうが良さそうなこと」がたくさんあります。このnoteでは要点のみを抑えて、過度に時間をかけずに開催するHowを紹介しています。
LayerXで一定回数のイベント開催を行わせていただき、内容を一部型化できたので、テンプレートとして公開します。使えそうなところがあれば取り入れていただけると嬉しいです。
多くの技術系イベントをLayerXでEngineering Officeを担当している@serimaさんと運営しています。このnoteもserimaさんがレビューしてくれました。serimaさんいつもありがとうございます:)
テンプレート
最初に企画書のテンプレートのデータを置いておきます。コピーしてお好きにお使いください。公開設定してある私のGoogle Docsページです。
notionデータのほうが良い方は以下よりお使いください。
複数社共催でイベントを検討しているエンジニアの方やイベント運営を担当する方がいれば、よければこちらを共有差し上げてください:)
技術系イベントを開催する背景
技術系のイベントを開催する背景については、個人的に以下だと考えています。この点に関しては、人によって様々な考えがあるものだと思いますが、前提としてLayerXは行動指針で掲げる「徳」の観点から公益性や技術コミュニティの貢献を前提に置いて開催しています。
技術的な知見の共有を行うことはテックカンパニーやソフトウェアエンジニアの営みであり、それ自体が自分たちや技術コミュニティにとって有益であり、知的に楽しいものであるため。
知見の共有や懇親を行うことを通じて、技術者同士の交流を図り、コミュニティの活性化へ貢献したいと考えているため。
企業として、自社事業を通じた技術的知見の共有や場の提供を通じて、特定技術のコミュニティに対する認知形成を行いたいと考えているため。
LayerXの技術系イベントでは、参加後アンケートの回答項目の中で満足度を最も重要なスコアとしてモニタリングすることにしています。参加した方の満足度を第一と考え、カジュアル面談の希望は回答項目として用意しますがそこを目的とはしていません。
採用を目的とする場合は、採用色の強いイベントであることを明示的にconnpassに記載し、コチラのイベントのように趣旨を分けて開催しています。
企画段階でのポイント
まず自社内で以下3点について検討します。
イベントテーマ
共催を依頼したい企業様、登壇者様の検討
開催日時
イベントテーマ:テーマによってその技術スタックを採用している企業様が共催の候補になるので、はじめにテーマと何の技術についての会とするかを検討します。
共催を依頼したい企業様、登壇者様の検討:次に共催でお声がけさせていただきたい企業様、登壇者様を検討します。技術コミュニティ内で知り合いというケースが多いので、LayerXの場合はバックエンドならGo、モバイルならFlutterなどを業務で使っているメンバーを中心に、一緒に登壇してみたい方を聞いてみたり、テックカンファレンスのスポンサー企業や登壇者を確認します。
開催日時:開催日時は、イベントのキックオフMTGの開催→connpassページ公開をしてから3週間~1ヶ月後あたりを目安としています。資料作成や集客のため3週間はあけることにしています。このスケジュールを逆算して準備を開始します。
上記が決まったら、共催を依頼したい企業様や登壇者様に相談のご連絡をします。お相手との関係性によりますが、X(Twitter)のDMなどSNSを使ってコンタクトすることが多いです。
必要に応じて企画書をお送りして趣旨をお伝えし、(必要なケースは少ないですが)場合によってはGoogle Meetなどでご説明をします。
キックオフMTG
各社様より共催OKをいただいたらキックオフMTG(30min)を実施します。
キックオフMTGでは、企画書の記載内容をベースにスケジュール、段取り、各社への依頼内容のお伝え、テーマのすり合わせを行います。
イベント開催形式:イベント趣旨によりますが、会場とオンライン視聴のハイブリッド形式で開催させていただくことが多いです。会場参加の皆さまには登壇者との交流として懇親会を行うことが多いので、懇親会実施についての合意と簡単なフードとドリンクのご負担とお願いする場合があります。
connpassでのイベント立て:これは相談によって取り決めますが、LayerXが主催の場合はLayerXが作成させていただき、文章とOGP作成を負担し、受付を含む申込管理をさせていただくケースが多いです。ニッチなテーマで集客難易度が高そうな場合は各社にミラーページをお願いさせていただくことがあります。
各社様にご支給いただきたいデータや情報:connpassページ作成に必要なプライバシーポリシーページのURL、会社紹介文章、登壇者プロフィールの支給をお願いしています。
告知依頼:connpass公開後にイベントの告知をお願いしています。主に各社や登壇者様のXアカウントで告知いただいています。
参加後アンケートの内容確認:参加者向けのアンケートの設問内容や取得情報について確認いただきます。カジュアル面談希望をお答えいただく設問にしている場合は、個人情報取得に関わるので各社様に必ず合意いただき、プライバシーポリシーのURLを提供いただくようにしています。
Slackのshared channel開設:開催までの非同期コミュニケーションのため、Slackのshared channel開設をしています。
テーマのすり合わせ:最後にイベントテーマのすり合わせを行います。どのような内容とするか、パネルディスカッションがある場合のトークテーマ想定を簡単に会話します。テーマのすり合わせで決まった内容によってイベントタイトルを検討します。最近はChatGPTにテーマを伝えてタイトルの案だしをしてもらいます。タイトルは非同期で決められるので開設したSlackで行います。
上記をキックオフMTGですり合わせたら、connpassのイベントページを作成してSlackで各社PRチェック依頼をして、公開後に告知をします。
イベント開催直前の準備
直前の準備は、主に懇親会用に提供いただく飲食物の準備になります。
飲食物の必要数決定:イベント1週間前時点の会場参加の人数で手配する飲食物の数量を決めます。
私の個人的な発注量目安としては、会場参加で申込いただいた人数の5割の人数+登壇者、運営の人数です。例えば会場参加の申込が40名だった場合は参加者20名+登壇者4名+運営6名で合計30名分の発注のような数量で考えます。
よくお世話になっているケータリングは以下です。
個包装のものを主体とする場合は、1人3個程度など1人当たりを決めて発注します。手が汚れにくく、余っても皆さんにお持ち帰りしていただきやすいのでフードロスを防げて重宝します。
飲み物は、概ねお茶1ケース、お酒2ケース(アルコール提供する場合は)です。お茶はミニペットボトルのものが好まれます。ソフトドリンクは2Lペットボトルとコップを用意するのが経済的ですが、経験的には微妙に余りがちで再利用できなくて困ることが多いです。
個人的には、懇親会は交流を中心としているので、飲食物にスポットライトが当たるような趣旨でなければ高価な飲食物を用意したり凝ったりせずでも良いのかなと思っています。
共催企業様には事前に予算取りいただき、1週間前に概ねの数量をお伝えして届け先をLayerXとしてご発注いただくことが多いです。
司会の進行用資料:司会の進行用資料の作成を行います。自社会場を頻繁にお使いの場合はテンプレートを作っておくと便利です。タイムテーブル、イベントハッシュタグ、会場利用のご案内(飲食可能エリア、トイレの場所、会場のWifi情報)、参加後アンケートのQRといった情報を含めておくと良いです。
登壇資料集約:前日か当日PMを目安にFixした登壇資料を受領し、基本的には登壇時に利用いただくPCを1台に集約します。ハイブリッド開催でオンラインにも資料投映する場合、投映するPCのコード抜き差しによって配信トラブルが起こる可能性が上がるので、PC集約のため1台で運用するようにお願いしています。
当日の運営体制の確認:配信2名、受付1名の3名をミニマムで必要な体制としています。当日準備は大々的に会場レイアウト変更をする必要がなければ、経験的には2名ほどで準備可能と思います。
イベント当日
当日の準備は会場レイアウト設置、配信環境の確認、飲食物の受取、登壇者顔合わせ、受付、名札などを準備します。
会場レイアウト配置:椅子などをイベント用レイアウトに配置変え、ホワイトボードにWifi情報を書いたり、来場者の入場導線に看板の設置を行います。
配信環境の確認:LayerXのイベント配信ではStreamYardを利用することが多いです。カメラと音響機器の事前チェックをします。開場からイベント開始までBGMを流しておくと良いかもしれません。
登壇者の顔合わせ:登壇者の皆さんにはイベント開始40~60min前に会場入りいただき、顔合わせや簡単な段取り確認をいただきます。パネルディスカッションはライブ感を楽しんでいただくため、詳細を事前に決めずに当日に少しすり合わせの会話をする程度にすることが多いです。
受付、名札:受付はconnpassの来場チェック機能を利用しています。ネームプレートと名刺サイズのカードを用意しておき、来場者には名札を作成して首からかけていただくようにしています。これは懇親会での自己紹介用途と会場セキュリティの2つの観点から必ずお願いしています。登壇者は懇親会で来場者の方が識別しやすいように赤いストラップのものをつけてもらうことが多いです。
事例紹介
事例紹介として、LayerXオフィスのセミナースペースをイベント会場に開催した共催イベントの一例は以下となります。
■Flutterアーキテクチャをテーマに各社の取り組み紹介(11/29開催予定)
■「信頼性」をテーマに各社登壇+パネルディスカッション
■2社で共催したオフライン限定のGoの勉強会
■TSKaigi公式認定のアフターイベント
以下はLayerXのconnpassページです。X(Twitter)アカウント@LayerX_tech でも各種イベント情報や技術的な発信をツイートしています。ご関心のある方はフォローいただけると嬉しいです:)
LayerXセミナースペース紹介
LayerXは2024年5月に人形町から東銀座に移転して、現在はイベントに使えるセミナースペースがあります。セミナースペースでは毎週のように社内外のイベントを開催しており、社員にも大人気のスペースになっています。
ありがたいことに941さんに行ってきたシリーズのオフィス紹介記事も書いていただけました。以下の後半のほうでセミナースペースもご紹介いただいています:)
We're hiring!
今回は、複数社共催でイベントを行う際の段取りを紹介してみました。はじめて共催イベントを開催する準備にお困りの方にこのnoteが届くと嬉しいです。
この記事を読んで何かのヒントを得ていただけるようなものがあれば嬉しいです。より詳細を知りたいという方は情報交換歓迎です。記事への感想もお待ちしています:)
働く場としてのLayerXにご関心ある方は以下よりお気軽につながりやメッセージをお送りください。役割上、ソフトウェアエンジニアやEMの方、リクルーターの方とはスムーズにお話できると思います。
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