エンジニア採用のダイレクトソーシングについての私見
こんにちは、すべての経済活動を、デジタル化したい大石(@akyun)です。LayerXでエンジニア採用担当をしています。
役割上、他社の方とお話するとエンジニア採用の具体的なhowについて聞かれることが多いので、私はこうしていますという内容の文章を書いておければと思い、このnoteを書くことにしました。今回はソーシングについて書きます。なお、前回のnoteも良ければご一読いただけると嬉しいです。
前提
私の採用活動では、主にソフトウェアエンジニア(Webフロントエンド、バックエンド等)を対象としています。
このnoteの対象読者は、リクルーターやスカウト業務を行っているエンジニアの方をイメージしています。
主に利用しているサービス
はじめに利用しているスカウトサービスですが、主に下記です。
Findy
YOUTRUST
転職ドラフト
ビズリーチ
LinkedIn
会社単位ではその他にも契約しているサービスがありますが、私がメインで利用しているのはこの5つのサービスです。
スカウトサービスは他にもいくつかありますが、一定はユーザーの重複があることと、利用サービスを増やして広く浅く使うよりも1つ1つのサービスを自分が効果的に使える数に留めることが大事だと考えています。私は自分の有効活用できる範囲として現在はこの5つとしています。以下はそれぞれのサービスに対する私の雑感です。
Findy
ユーザー属性として自社サービス系企業在籍の方が多く、魅力的なご経験/ご経歴の方とマッチングされるサービスです。過去在籍企業ではあまり利用できていなかったのですが、今では最注力して利用しています。
実績としても、Findy経由でリード経験のある方が入社してくれて事業の前進にも大きく貢献いただいています。
運用としては、毎月付与されるいいねは使い切る程度に送ります。競争率は高いですがアクティブな方には必ずお送りすると同時に、新規登録の方やプロフィール情報が少ない方にも積極的にいいねをお送りしています。
また、Findy関連ではSlackのchannelを3つ運用しています。
1つ目は、ユーザーとマッチングした通知を管理するnotify channelです。マッチしたユーザーへ迅速に連絡するためのオペレーション用channelとして利用しています。リクルーターとHROpsのメンバーが入っています。
2つ目は、営業担当の方とコミュニケーションをとるchannelです。リクルーターが入っており、営業担当の方やユーザーサポートの方との日頃のやりとりや、Findy経由で入社いただいた方の活躍報告などをしています。
3つ目は、FindyのDevRelチームの方と連携をとるためのchannelです。LayerX側はTechPRやエンジニアが入っており、イベント登壇や記事執筆の依頼をいただいたり、企画の相談や調整を行うchannelになります。
また、以下のような調査レポートを定期的に作成されていることもサービスの魅力の1つです。大手人材紹介会社等が提供する調査レポートは、登録ユーザーや利用企業の属性が異なるため現場の肌感との乖離があることが多いですが、Findyの調査レポートは肌感に近く、よく参考にしています。レポートは毎回熟読して重要な数字を覚えたり、自社のポジショニングがどのあたりにありそうかを確認するようにしています。
YOUTRUST
現在スタートアップの採用の主戦場となっているサービスのひとつといっても過言ではない印象です。エンジニア特化型ではないですが、ネットワークが近い方にメッセージが送れるというサービス特性上、高い返信率でお返事をいただけます。
運用としては、一定のつながり範囲にある方の転職意欲ステータスの変更をSlackに通知できるようになっているため、これによってステータスを変更した方をリアルタイムに検知してアプローチしています。
通知用のSlack channelには主にリクルーターとHiring Managerが入っていて、Hiring Managerの中には毎日確認して自身でメッセージしてくれる人もいます。
Slackの通知にATS検索用emojiをつけるとZapierでATS内に同名の方がいるか検索する機能をつけていて、メッセージを送りたい方が過去にLayerXの選考を受けてくださっているかを確認できるようにしています。このあたりはサービス特性に応じてなるべく迅速にメッセージを送信できるように"Bet Technology"しています(名寄せが完全ではないですが役立ちます)
実名SNSは、特有の運用の難しさがあり、リクルーターがメッセージをお送りすると「XXさんと知り合いです」とお返事いただくことがあります。ありがたいお返事であるとともに、最初のコンタクトで弊社の知り合いからお声がけできたほうが良く、なるべくそういった形にできるよう社内コミュニケーションを取りながら運用しています。
また、上記のような動きの一例として、LayerXでは取締役の横田さんがYOUTRUSTでステータス変更した瞬間に石黒さんがメッセージしてその後入社したというエピソードがあります。詳しくは下記noteに。
この時のことを石黒さんに聞くと「早さは礼儀で、相手へリスペクトを伝えられる表現の1つ」と話していました。私の好きなエピソードの1つです。
転職ドラフト
先に経済条件を提示するので報酬の期待値が揃った状態で進められること、それに伴いユーザーのプロフィールが詳細に書かれていることが魅力のサービスです。LayerXはサービスとの相性が良く、何名ものエンジニアが転職ドラフト経由で入社しています。
運用としては、基本的に毎月参加してHiring Managerと一緒にユーザーのプロフィールを熟読し、Hiring Managerがその方のプロフィール読んだ内容の文章を送る運用を丁寧に行っています。そのため、高い確率で返信をいただけており、ありがたいことに指名評価として「レジュメを読んでくれていると感じた」「高く評価されていると感じた」といった声をいただいています。
転職ドラフトでも、Slackのnotify channelを運用しており、指名に対して迅速に対応しています。以下画像は最新の弊社ダッシュボードのスクリーンショットになります。
ビズリーチ
サービスとしては成熟しており、手になじみます。高度な検索機能、リスト作成機能、権限管理など最もリクルーターが欲しい機能が充実しているサービスです。
運用としては、特別な工夫なく利用しています。
エンジニア採用に限って言えば、上述のエンジニア特化型サービスの成長や競合となる利用企業の増加のためか、年々、返信をもらうことが難しくなってきている印象があります。
Slackのnotify channelがあり、こちらも上記サービスと同様に迅速にユーザーへの返答に対応する体制としています。
スタートアップ在籍者という点では、外資やメガベンチャー在籍者に比べてアクティブユーザーが減る印象ですが、グローバルを志向するスタートアップの増加もあって使っている人が徐々に増えてきています。
前職ではEnglish Speakerの採用も行っていたためメインで利用していたサービスの1つで、個人的には使いやすいのでさらに普及してほしいところです。
運用としては、こちらも特別な工夫なく利用しています。実名制SNSのため、バイネームでメッセージをお送りしたい方がいた場合に重宝しています。
ソーシングを行う体制・サイクル
ソーシングの体制として、現在はソーサーやRPOの方はいないのでリクルーターが自身で行っています。事業部/ポジションで担当リクルーターが分かれています。実名制のSNS(YOUTRUST, LinkedIn等)でメッセージする場合はHiring Managerと一緒に行うこともあります。
ソーシングを行うサイクルは主に毎週月曜日、水曜日に一定時間を割くようにしています。イメージとしては以下の図に近いです。
※ソーシングの時間は、予定が入れられないようにブロックしていないので、実際には面談や社内MTGも入っています。
ソーシング単体の生産性を追求する場合は、毎朝新着/アクティブになったユーザーへアプローチするべきですが、そのルーティンを完璧に維持することが難しいので、私は自分のリズムを作る意味で主に月水にウェイトを置く運用にしています。※毎日ソーシングを行う期間もあります。
社内にソーサーがいて分担できる場合は、毎朝各サービスでアプローチできると理想と思います。
順番的には、各サービスでターゲットとなるユーザーへメッセージを打ち切る→サービス内で送れる方が減るので毎朝の新着ユーザーに送る運用に遷移という形になります。
曜日については、以前在籍していた企業で検証したことがあり、月曜日のみ優位差が出たので月曜日はなるべくメッセージを送るようにしています。
競争が激化していく市場の中でソーシングに関連して求められるアクション
リクルーターとして市場と向き合う中で、近年また一段とエンジニア採用の競争が激化していると感じています。スタートアップだけを見てもプレーヤーの増加と各社の採用への高いコミットメントがあり、当たり前とする水準の高まりを感じます。この状況の中でどうやって選ばれる企業となっていくことができるのか、いくつかの私見を書いてみたいと思います。
ソーシング時の企業側の積極性の向上
転職顕在層への直接的なアプローチとして、ソーシングの徹底は当たり前のものとなりました。徹底の度合いが高いほうが選ばれる企業になるという意味で、上述の通り新着でプロフィール情報が少ない方にもアプローチすることや、ユーザーがアクティブになってからのメッセージを送るまでのスピードも問われます。
また、CTOやVPoEといった役職者が直接メッセージを送り、面談に出ることも少なくありません。LayerXでもキャリアのある方や特定のポジションでは部門執行役員 バクラク事業 VPoEの@makogaさんがカジュアル面談でお話します。凡事徹底してやり抜くことができる企業が僅差を積み重ねて大差をつけていくと感じています。
採用広報・採用マーケティングの重要性
入社者に転職活動についてヒアリングすると、同時期にメッセージを受け取った企業はよく知る企業名がいくつもあがります。メッセージを受け取った時点で、その企業を知っているか、好感を持ってもらえているかによって返信してもらえるか、選考が続くかどうかを分けます。
採用広報、採用マーケティングで勝負が半分決まっていると言わざるを得ず、認知獲得の施策はより重要性を増していると感じます。
認知獲得の施策はその効果測定が難しいですが、その施策は採用活動全体に対して「バフをかける」ものとなります。認知獲得の施策に投資できる企業が選ばれやすい企業となっていくと言えるでしょう。
中長期の関係性の構築、タレントプールの活用
カジュアル面談などで接点を得た方と中長期の関係性を築いていくことの重要性は高まっています。ソフトウェアエンジニアの採用は、残念ながら狭いIT業界で人材を奪い合っている構図です。グローバルへの挑戦を志す方の増加によって外資とも競合するようになり、近年ではDXや内製化推進によって大企業の新規事業立ち上げ組織とも競合するようになっています。
自分たちが求めるスキルを持つ人材が少ない構図の中で、強力な競合企業と比較されます。対象となる人口が少ないので、その時点の選考で双方にとってベストなタイミングでの縁とならなかったり、その方がまだ情報収集フェーズの方であっても、その1回の選考やカジュアル面談で終わることなく、中長期の関係性を築くことが必要です。
1人1人の候補者さまに良質な候補者体験を提供し、タレントプールの活用によって定期的に接点を持ち、その方が次に転職を考える時の第一想起となることは、より重要な営みとなってきます。
自社施策になりますが、LayerXではLTP(LayerX Talent Pool)というタレントプールを数年にわたって実践的に運用しています。このLTPについてもまた折を見て紹介できたらと思っています。
We're hiring!
この記事を読んで何かのヒントを得ていただけるようなものがあれば嬉しいです。
より詳細を知りたいという方は情報交換歓迎です。思い浮かびつつも書けなかったこともあるので、それらを誰かに話せたら良いなと思っています。
働く場としてのLayerXにご関心ある方は以下よりお気軽につながりやメッセージをお送りください。役割上、ソフトウェアエンジニアやEMの方、リクルーターの方とはスムーズにお話できると思います。
情報交換やよもやま話でもカジュアルにお話ししましょう:)
X(Twitter):https://x.com/akyun_snow
YOUTRUST:https://youtrust.jp/users/akyun
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?