アボカドカリブス②
ドグゥワーン!雷鳴が鳴り響き、稲妻が飛び交う。小惑星めいた岩石が重力を無視して宙に浮かんでいる。いかにも最終決戦場みたいな雰囲気だ。成り、今ここでは、男の尊厳をかけた戦いが始まっている。
「悲哀な生き物よ」「グワーッ!」
……それとも既に終わっているとも言うべきか。両足が速硬化ワカモレに固められて身動きがとれないアクズメに、皮膚が緑黒いアボカドの質感をもった異形の男がグリム・ザ・リッパーの大鎌めいたローキックを繰り出し左脛を粉砕!
「アバーーッ!」
開放骨折!めっちゃ出血!
「我に敵うとでも思ったのか」
男は硬化ワカモレを分解させ、アクズメの喉を右手で掴んで吊り上げる。
「能力(パワー)を使えば一瞬だが、お前は長く苦しんで貰おう」
男の左手が変形し、カソリンスタンドで見られる給油ガンの形になった。それをアクズメの口に突っ込んだ。
「あむグゥ……!」
「これはお前が前に作ったゲロいワカモレだ」男はサディストに微笑んだ。「よく味わえ」左手が力みり、緑黄色のアポカドペースにトマトサルサの赤みが混じった美味しく見えないワカモレが容赦なくアクズメの口内に流し込む!自由にアボカドを生成し、操る。これが異形の男ーーアボカドカリブスの恐るべき能力!
「ゴボ……!ムォバ……!(グワーッ!旨くも不味くもない虚無の味グワーッ!)」
ナムサン!哀れなアクズメはこのまま虚無ワカモレを飲まされて内臓破裂死か!?
「WARーッハハハ!アボカドリプス、ナァウ!」
-現実-
またアボカドをもらった。今回はトマトサルサの頼らずに作りたいと思います。
材料:
アボカド(でかい奴) 一個
玉ねぎ 1/4個
にんにく 一片
パクチー 少量
調味料:
オリーブオイル
塩
胡椒
ライム
唐辛子パウダー
まずは全部の材料を切り刻む。
パクチーは茎の繊維が粗く食感が良くないのでので、葉っぱだけをむしり取って刻みます。そもそもおれはパクチーが嫌いだ。
全部切ったあと、材料をボウルに入れ、調味料を適当に入れる。おいしい料理を作りたい人は真似しちゃだめよ。
あとは混ぜるだけだ。この時点で既に気温と労働の疲労に負けて缶ビールを開いて飲みながらワカモレをこねているので写真を撮り忘れた。別にいいでしょう、潰れたアボカドは人によってグロ画像に見えるかもしれないし。
前回はコーン粉でトルティーヤもどきを作って焼いたが、今日は体力と精神的に余裕なかったのでドリトスナチョチーズ味を買った。
うん、いいじゃないかな。前回よりワカモレの色が大部マシになった。食欲をそそる緑黄色だ。因みに上に乗っているパクチーは写真を撮ったあと取り除いた。おれはパクチーメニアックではない。
さて、味はどうか……
-イマージネイシヨン-
「ヘイヤァァーー!」
朗とした少年の声、赤い影がアボカドリプスに迫りくる!
「ぬん!?」
赤い影が放った飛び蹴りを回避するためアクズメを手放したアボカドリプス。赤い影がアクズメを掬い上げ、小惑星に蜘蛛糸を放ってスウイングする。
「あ、あなたはっ」抱えられながら、アクズメは救命の恩人を見上げた。「スパイダーマン!」
「やあ、危ないところだったね!」
今、ドリトスとスパイダーマン:ファーフロムホームはコラボ中だ
「よし、これでしばらくは持つ」
スパイダーマンはアクズメの左脛に治療用スパイダーウェブを射出して手当した。
「昆虫小僧!邪魔だてする気かァーー!」
そこにワカモレで作った龍に乗って飛んできたるアボカドリプス!
「もう来たか。僕は時間を稼いでからきみはその隙に最強のヒーローを呼んで来てくれ!」「わ、わかった!」「任せたぞ!フッ!」
スパイダーマンは蜘蛛糸は発射し、加速!
「蜘蛛はなぁ、昆虫じゃあ!ねんだよォー!」
「わかるものか!」
両雄激突!アクズメは財布からCZと書いてあった一枚のカードを取り出し、頭上に掲げた。クレジットカードならぬ、クレイジー・デッドカードである!
「来てくれ!レディ……ドゥゥゥーーム!!!」
IMAGINATION!カードから青いビームが放たれて天に衝き、空間に青白いポータルを開けた。
ZOOOOM!何かがポータルを通って、彗星の如く尾を描きながら小惑星に衝突!礫が飛び散る!
「どうやら今こそがクライマックスのようだね」
スーパーヒーロー着地で生じたクレーターのど真ん中に、アーミーグリーンのバトルスーツを着た坊主頭で、精悍な顔つきの女性がいた。彼女はレディ・ドゥーム。アクズメの頭の中に住んでいる破壊を司るイマジナリーフレンドだ。
「何気に私の戦闘シーン初公開だ、では小手調べに……」
レディは拳を握ってファイティングポーズを取った。
「いや、いらない!最大火力で奴を消し飛ばしてくれ!」「いいのか?なんの面白みもなく?」「やっちゃって!」「OK、それではァ!」
ドドドドドド……レディは体にエネルギーを漲らせ、青白いプラズマが太陽フレアめいて蠢き、目が白く発光!「ハァー」息を吐きながら腰ため姿勢を取り、レディは双拳を握り合い、「砲口」を前方に突き出した。狙いはアボカドリプス!
「ムゥ、なんの光だ!?」
アボカドメイスでスパイダーマンと殴り合うアボカドリプスはエネルギーの高まりに気づき、振り向く。
「潮時だな!ファーフロムホームもこれからよろしく!」
油断なく宣伝をしたスパイダーマンは胸のスパイダーマークを押し、『ステルスモード作動』の音と共に姿が消えた。次の瞬間。
『ドゥ―ム・ユー・バスタァァァァーッ!!!』
DOOOOM!双拳で成した砲口から青白い極太ビームが発射!
「舐めるな!」
アボカドリプスも能力を最大限に解放!周囲の小惑星をワカモレ化!ワカモレは龍のごとくに渦巻きながらビームと衝突!これが操アボカド力の極意、『World・カモーレ』である。拮抗するビームとワカモレ!
「WARーッハハハ!これほどの大出力ビームは長く続けるはずあるまい!対して我がアボカドは無尽蔵だ!ワカモレに呑まれよう馬鹿者ども!」
「バカはおまえの方だ!アボカドリプス!おまえはイマージネイシヨンの力を知らない!レディ・ドゥームの力を知らない!」
そして息を大きく吸い込んだアクズメ。
「ヤッタレ!レディ!」
「オーライ!フルパワーで行く!」
SPLAAAAAASH!レディはより一層輝きだし、ビームの太さが五倍に増幅しワカモレを焦がしていく!アボカドリプスの視界に、まるで恒星その物が迫りくるように見えた。
「アボッ」
断末魔すら上げられず、アボカドリプスはビームに呑まれた。
-現実-
にんにくと玉ねぎを入れ過ぎたためか、全体的に攻撃的な味に仕上げた。辛い。ドリトスと口の中で喧嘩している感じでした。前回の無個性よりはいい気がする。
目安で料理するのやめよう。
-終わり-