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お肉仮面vs.侵略的外来生物:ティラピア編
待ってました!というわけで今日はお肉仮面さんをお招きしておもてなししたいと思います。既に現場にいらしています。こんにちは、お肉仮面さん。
「どうもアクズメさん、読者皆さん、お肉食をたべていますか?お肉仮面です!」
いえーい。今日は遠くからお越しいただきありがとうございます、お肉仮面さん。
「こちらそこ呼んでくれてありがとうございます。ごちそうしてくれるっていうから即飛んできました。なにを食べさせてくれるか楽しみですね」
では唐突ですが、お肉仮面さんはティラピアという生き物をご存知ですか?
「知ってるとも。ティラピアとはアフリカ大陸東南部原産のスズキ目カワスズメ科の淡水魚。現在流通しているティラピアは主にモザンビークティラピアやナイルティラピア、そして改良種も存在している。普段はねずみ色の地味な魚だが、繁殖期に入ったオスは背ひれと尾びれが赤色が帯びてなかなかキレイです。ティラピア最大の特徴はその強靭な生命力です。淡水魚なのに海水の中でも平気な広塩性、水温40℃まで耐える耐熱性、酸欠や汚濁の水でも生きていられるタフさを兼ね備えている。さらにティラピアは卵と稚魚を口内に隠して保護する、いわゆるマウスブルーダーを行う魚なので稚魚の生存率が極めて高い。稚魚が母親のそばで泳いで、何があったら慌てて母親の口の中に逃げ込むシーンをBBCのドキュメンタリーで観たことがあるけど微笑ましかったね。唯一の弱点は低温。水温が10℃を下回ると生きられないので、日本では沖縄のほかに温泉が流れる水域にも姿が見られる。雑食性で口を入れるものはなんでも食べるのと、先程に述べた適応力でたちまち大繁殖して在来種を駆除してまうので生態的問題になっています」
わお、めちゃくちゃ詳しいじゃないですか?
「へへっ、動物性タンパク質のことならなんでも知ってるんだ。日本市場にあまり出回ってないのでまた食べたことないけど」
そうですね。ちなみにティラピアはみなみの国では呉郭魚と呼ばれて、それはティラピアを輸入して繁殖を確立した呉さんと郭さんふたりの功績を讃えるためにつけた名前です。
「へーそうなんだ。でも果たしてそれは功績と言っていいものか?」
そうですね。みなみの国ではほぼ全ての水域にティラピアが住み着いて、優勢種として在来種を淘汰しています。
「やはりそうなるかー」
しかしティラピアがもたらした経済的利益は否定することが出来ない。今日はお肉仮面さんにティラピアを食べて、その功過をジャッジしてもらいたいと思います。
「そう来たか。ジャッジなんて大袈裟だけど、食べることなら任せろ!」
🐟
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はい、これが今回主役、ティラピアです。スーパーで約350円で購入しました。
「350円!?こんな大きさで!?安っ」
しかも鱗と内臓は抜いてあります。魚を捌いたことがないのでちょっと緊張しましたが杞憂でしたね。
「えっ、魚を捌いたことがないんですか?」
はい、私ボンボンなんでなかなか機会がありませんしやろうとも思いませんでした。ちなみに魚料理も初めてです。
「マジか。大丈夫ですよね?」
でもとんかつとから揚げは結構の頻度で作りましたので問題ないと思います。はい。
「本当かな……心配だな……もし失敗した場合はアクズメさんが肉になって頂こうか」
あはは、ご冗談を。
「……」
えっ、なんで急に黙るんですか?こわいですよ。
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魚の両面に3本ずつ切り込みを入れて、スライスした生姜を挟みます。と思いましたかなんかバランス悪そうなのでやめました。
「えー挟んだ方が絵面が面白いのに」
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臭い消しに腹に生姜を詰めます。あっ、そういえばお肉仮面さん、生姜は大丈夫ですか?
「ん?大丈夫ですけど?なんで?」
いやぁ、なんかお肉仮面さんは動物タンパク質以外は食べないイメージがありまして。
「それはアクズメさんが勝手に付けた設定しょう?僕は確かに無類な肉好きだけどアクズメさんの小説で書かれたような野菜絶対許さないマンじゃないから」
それ聞いて安心しました。では焼いていきましょう。
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フライパンに油を引いて、魚を投入します。
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ひっくり返します。おっ、なかなか良い焼き具合じゃないですか?
「いい色になってますね!調味もしてないのにいいにおいがする。これは期待できそう」
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魚に火が通ったら一旦別の皿に移して、プライパンに生姜、にんにく、唐辛子、ネギを投入して爆香(バオシャン)します。
「爆香とは?」
熱した油で香味野菜やスパイスを適度に焦がして香りを引き出す中華料理の手法ですね。日本語に対応の言葉がありますでしょうか?
「なるほどテンパリング(Tempering)のことか。日本レシピ本だと『熱した油でネギと生姜を炒めて香りを立たせます』と表示している気がする」
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水と醤油、米酒、オイスターソースを加えて、沸騰まで加熱します。
「すごくいい香り、中華屋みたい」
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魚を鍋に戻します。皮が移動する際に若干剥がれました。
「若干じゃ済まない量でしょう。勿体無ないね、魚は皮がおいしいのに。後でアクズメの体半分の皮を剥いてトゥーフェイスになってもらわねば」
ひぇっ、お許しください!
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最後ひっくり返してタレーを浸透させます。なんかそれっぽくみえて来ました。
「そして尾びれが折れましたね。これもあとでアクズメさんの足を一本もうらうね」
ひぃぃ。
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十分に煮込んだあとは皿に盛りつけて、刻みネギをかけると、紅焼呉郭魚の完成です。我ながら初回の魚料理にもかかわらず上出来なんじゃないかと思いますけど、お肉仮面さんからしてどうですか?
「確かによく出来ました。しかし盛り付ける際に魚の身がぽとっと落ちてバラバラになったのは欠点です。私は動物タンパク質に関しては厳しいですよ」
そこはなんとか……!またトゥーフェイスになりたくないです!
「それは料理の味ですね。では、いただきます……もぐもぐ……うっ、これは!?」
どうでしょうか!?
「ふ、普通にうまい!」
普通でしたか!?
「下処理が徹底したためか生姜をたっぷり効かせたためか、淡水魚らしい臭みが一切感じないけど、魚類の旨みもあまりしない。一言でいうなら淡白で身がそれほど締まっていないけれど、味付けと調理方法次第で無限の可能性を秘めた魚とも言えよう!これで350円しかも下処理済み!?コスパ高いじゃんいかよおい!」
初めての魚料理がこれほどほめていただけるなんて光栄です!作り方も手軽なので、これを読んでくれた読者もぜひ作ってみて欲しい!
「アクズメさんの料理も普通にうまかったですよ。」
いやぁ、照れますなぁ。
(おわり)
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