見出し画像

俺のプライドは初音ミクに完膚なきまで破壊された

少し前にフィットボクシング2でパンチ100万発を達成した。

ソフト購入した際に自分に課した目標を達成したが、インストラクターから祝いの言葉もないし、特に感動と感慨はなかった。むしろモティネーションが下がった。俺はこれから何を目指して虚空を殴り続けるんだ?

と俺がリアルボクシング・ジムに入会するか、ジョギングしながらパンチを繰り出し通りすがりの人間を手当たり次第殴るかと悩んでいるなか、ふとこの間発売した新作のことが頭に浮かんだ。

これのことだ。情報を見た当初は快く思わなかった。なんか華奢な萌えキャラが?2次元的な奇抜な服を着て?チャラチャラとボクササイズ?俺は別にボーカロイド否定派ではないが、あまりにもオタクに媚びる姿勢はまったくけしからんと思って購入する意欲は毛頭に無かった。萌えキャラがインストラクター務まるかよ。せめて3Dモデルの筋肉量を増やして説得力を出すことだ。

しかし発売からしばらく経ち、Xでは『ボカロどもが北斗以上の無茶をプレイヤーをに強いてきやがる!』『今回のフィットボクシングはこれまでと一線化する。一筋縄にはいかない』『ヤバイ』などと、ポジティブなポストが流れてきた。マジか、ただのオタク媚びコンテンツではなかったということか?興味を持った。もしかしたらマンネリ気味のフィットボクシングに新しい風が吹き更なる拳闘ロードが開かれるかもしれない。

俺は早速ソフトを購入した。フルプライズで。

始まった。やはり華奢だなぁ。

3Dモデルだったリンさんが2Dイラストになって喋っている。今作でもインストラクターが務めているようだ。えっとじゃ、初音ミクはインストラクターではないってこと?じゃ彼女は一体なんなんだ?

とりあえずやってみよう。まずはチュートリアル。インストラクターが画面左上から「ジャブ、ジャブ、左フック」と指示を出し、初音ミクが中央でアクションする。初音ミクはエクササイズの合間に「いいね!」「かっこいい!」みたいな当たり障りのない褒め言葉以外は基本無言、それところか呼吸すらしていないようで不気味に感じる。やはりこいつらはいくら人間に似せようと中身は機械だよな。

ほかに打撃音が「バシッ」の誇張した効果音からタンバリンを叩くような「とん」に変更されて音がずいぶん小さくなった。Joy-Conの振動も弱くなって、加えてJUST判定がフィットボクシング2と比べてより厳しい気がする。慣れる必要がある。これに関しては改悪だと思う。打撃する際の爽快感が大幅に損なった。これまでの人生に人を殴ることはおろか、一度も拳を握ったことがなく大きな声に驚き振動でJoy-Conを落としてしまうかよわいオタクたちに配慮した結果か?

チュートリアル終了。仕様は変わったけどコンビの内容はフィットボクシング2のまんまだ。おいおいおいおい、話が違うじゃねえか?これの何処かヤバいってんだ?連中が貧弱すぎたか?それとも俺が強くなりすぎた?

まあよい。とりあえずチュートリアルだけでは運動量がとても足りない。続いて通常のデイリーエクササイズもやっていこう。

ついでに初音ミクをパンツ姿に着替えてもらった。こっちの方が舞台衣装っぽくて気合い入れるだろう。そして今日のメニューは初歩のやつばかりか。ゲームスタートしたてだから仕方ないか………うん?なんだ?このテオってのは?しかも表示が他のコンビとなんか違う?こ、これか?新要素ってのは?取りえずやってみよう。エクササイズ開始っと。

なにっ、ハイテンポのイントロが流れて、ファイティングを取った初音ミクはリズムに乗って前後に揺れ始めるが、そのスピードが異様に速い!通常3倍、いや5倍か?いったい何が始まるんだインストラクター……なにっ、左上に、インストラクターが居ない!?

そして通常の3倍か5倍速で流れてくるパンチマーク!おいおいおいいきなりかよ!?しかも通常エクササイズにおける手順を踏んでコンボに慣らしていく過程が一切なし!なんかテオテオテオって聞こえてくるけど音楽を楽しむ場合じゃない。経験したことないコンボ、異常のスピード、焦る俺、当然ミスしまくる。3分強のエクササイズが途轍もなく長く感じる。

そしてその結果ーー

初回プレイはあまりのショックでスクショ撮り忘れたためフリーモード再現しました。ご了承ください。にしても2回目でもこの様でハードルの高さが伺えます

グワーッ低評価ッッ!!!

グワーッ身体年齢が実年齢に上回るッッッ!!!!

なんたる屈辱か……パンチ数100万超え、身体年齢を常に20±2歳あたりにキープしている男であるこの俺が、こんな小娘相手に……!

ぐ……ぐぐぐぐ……ふはははははは!なかなかやるではないか初音ミックゥ!これほどコケにされるのは久しぶりだ。俺はいま燃えてるぜ。目指すものができた。

音楽、文章、絵画、映像……機械はこれまでに人間から多くの仕事を奪った。次はいよいよボクシングかもしれない。ヒュージャックマンが主演するロボットは人間に代わってリングで殴り合う映画が現実になるのが案外そう遠くない。その時が来るまで精一杯もがいてやるさ。待っていろよ、ボーカロイドども。必ずミクササイズをものにして、その汗ひとつかかないすました顔に俺の拳をぶつけてやるぜ!

なんだそのあざといポーズ


当アカウントは軽率送金をお勧めします。