加藤一二三流✨とてもわかりやすいキリスト教講座「だから私は、神を信じる」
将棋棋士でもあり、騎士でもある(1986年に聖シルベストロ教皇騎士団勲章を受章したことから)加藤一二三さん。
加藤さんご自身の著書でも語られることの多いテーマ「信仰」。
加藤さんは30歳手前にキリスト教に出会い、80歳の現在に至るまで熱心に信仰しています。
本書は日本キリスト教出版局から発行されました。
「将棋」の加藤一二三先生ではなく、「キリスト教信仰者」の加藤一二三先生としての全身全霊の一作です。
加藤さんの「信仰」への誠実さ、そして物事に対しての真剣さがひとつの形になった1冊だと感じました。
その名も「だから私は、神を信じる」! ↓
加藤さんが「神を信じる」人であることは、ファンのかたならもうご存知のことかもしれません。
どちらかというと「だから私は、」の部分に関心があるかたが多いのではないでしょうか?加藤さんはなぜ神を信じるのか?
しかし、本書は「キリスト教に触れてみる」本としても、とても適している内容です。
キリスト教に触れてみる本として”も”、とても良い
キリスト教に触れてみる本として”も”...と、”も”を入れた理由。
それは、著者である加藤一二三さんのことを知りたい人や、生きていく上での考え方や視野を広げたいと思っている人にとっても、とてもよい本だからです。
しかし断っておきたいのは、本書がこれらのことを押し出して書かれている本ではないということです。
本書は、タイトル通り「だから私は、神を信じる」というテーマからブレません。
加藤さんが神を信じている。その誠実な思いがとてもよく伝わる一冊になっています。
その中で、私は「キリスト教に触れる」「加藤さんを知る」「ものの見方を広げる」ことができたので、オススメポイントとして書きました。
では、なぜキリスト教に触れてみる本としてよいのか。
まず、ページ数・文字数。
たくさんの文字数とページ数でぎゅうぎゅうに詰めこまれた1冊だと、よほど本が好きで、しかも、そのテーマにそれなりの興味・関心がなければ読まれません。
本書は、1ページが多くて13行ほど。1行は36文字。
いまご覧になっているこのノートが1行34文字(PC閲覧で1行が折り返されていない場合)です。
現在、電子書籍版は発行されていないのですが、そのまま電子書籍にしても大丈夫な読みやすさではないかと思います。
次に、読み進めやすい言葉づかい。
馴染みのない言葉や名前が多いと、スラスラと読み進めることが難しくなります。
加藤さんの著書の特徴でもありますが、なるべく難しい言葉や感じの多用を控えている印象があります。
また、優しい語り口で説明っぽくないところも読みやすい点です。
私は、この2点をとても重要視します。文字を読むことに慣れている人にとっては、もしかしたら物足りなさを感じるのかもしれません。
しかし、なるべく多くの人たちに本の内容を伝えるなら、すんなり頭に入っていくように読みやすさを意識することは大切です。
そして、内容。
本書はおおきく3つの章で構成されています。
1章 聖書やキリスト教から教えられたこと
2章 聖書やキリスト教を伝えた人々
3章 人生をより良く生きるために
第1章は、聖書やキリスト教的な考えや習慣について。
よく耳にする「懺悔」や「祈り」とはどんなものなのか?
第2章は、聖書やキリスト教での重要人物などの紹介。
第3章は、人生をよりよく生きるための考え方のアドバイス。
私は、キリスト教に携わっていないので、本やテレビ・インターネットなどで見聞きした程度の漠然としたイメージしか持ち合わせていません。
そのため、物事の見方・考え方が新しい発見でとても新鮮でした。
これらの内容を、聖書やキリスト教の解説書として堅苦しく説明しているのではなく、加藤さんらしい優しい表現でご自身の考えや体験などを交えて楽しく紹介されています。
「1章 聖書やキリスト教から教えられたこと」
第1章では、
信仰によって学んだもの
よく耳にしたことはある「懺悔」や「祈り」とはどういうものなのか??
巡礼によって加藤さんが感じたもの
人生における「苦しみ」「罪」の意味のキリスト教的視点
神に「委ねる」とは
について書かれています。
「苦しみ」「罪」「委ねる」など、言葉の意味は知っています。
しかし、キリスト教的視点での意味合い・ニュアンスを知ることでその言葉のイメージは変わってきます。
「キリスト教といえば?」と尋ねられてイメージするワードも多く、是非ともキリスト教的視点に触れてみることをおススメします。
「2章 聖書やキリスト教を伝えた人々」
この章では、聖書に登場する重要人物(イエス・キリストやマリア、パウロやペドロなど)、司祭や修道者・教皇についての説明と関連するエピソードなどを紹介しています。
そして章の最後には、キリスト教を伝えることと題して、宣教についても書かれています。加藤さんが思う宣教のあり方は、まさしくキリスト教を「伝える」ことであり、単に信徒を増やす作業ではないことがよくわかります。
そして、この「キリスト教を伝えること」で書かれているとおり、本書では各テーマに関して加藤さんが思ったことや感じたこと、体験したことがたくさん紹介されています。
そしてそれは、これまでの加藤さんの著書でも同じことが言えます。
とても親しみを与え、相手に伝わる文章です。著書に加藤さんらしさが表れる理由のひとつでしょう。
「3章 人生をより良く生きるために」
第3章では、
いのちをどのように捉えるか
思いがけない出来事がもたらすもの
愛するということ
家庭や子育てにおいて大切なこと
良い人間関係を築くためには
病気や死に直面するとき
若い世代の人たちに伝えたいこと
といった、多くの人が人生の中で遭遇するテーマについて書かれています。
キリスト教の考えと加藤さんの経験を交えた語り口は、とても優しく愛に満ちています。
とくに印象に残ったのは、最後の「若い世代の人たちに伝えたいこと」。
結婚講座の講師をしている中で、加藤さんが「若い人たちはしっかりしている」と関心したこと。それを踏まえつつ、加藤さんの長い人生経験の中から「生きるヒントになるような言葉をお伝えする」という流れが素晴らしかったです。
いつまでも素直な気持ちを忘れずに謙虚に生きていこうと思いました。
感想:「信じる」ということの大切さ
タイトルでも使われているワード「信じる」。
この本は加藤さんが神を純粋に信じつづけたことによって完成した1冊です。
もちろん、それは加藤さんが信じつづけたことによる結果のひとつでしかありません。副産物です。加藤さんは、この結果を求めてキリスト教を信じつづけたわけではありません。
この本では、「キリスト教を信じるとこんなよいことがありますよ」や「みなさん、こういうものの見方をしましょう」といった表現は一切ありません。
加藤さんが、信じていることを真剣に伝えている。
シンプルでムダのない。しかし、とても親しみのもてる一冊です。
2度目になりますが、そのまま電子書籍版にしてもよいのではと思いました。あとは、加藤先生ご本人によるオーディブル化もおもしろそうです。
タイトル:だから私は、神を信じる
著者:加藤一二三
出版社:日本キリスト教団出版局
最後までご覧いただきありがとうございました!
ほかにもこんなnote書きました😆
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