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ブックカードと映画『耳をすませば』

図書館での貸し出しが、現在のようにバーコード&コンピューターで簡単に行われる以前は、本の背表紙裏に備えてあるブックカードと自分の図書カードに、名前などを手書きで書いて、窓口に提出するやり方(ニューアーク方式)が一般的でした。

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個人情報保護が重視される現在からすると論外でしょうが、友人の名前を見つけて「こんな本を読んでるなんて意外」と新たな発見をしたり、まだ誰も借りてない真新しいブックカードだと「1番乗りだ!」とちょっと嬉しくなったったものです。

このブックカードの存在が物語のきっかけとなるジブリ映画が『耳をすませば』(1995年)。最新の「ジブリの人気おすすめランキング」では8位、「スタジオジブリ作品の興収ランキング」ではベストテン外ではありますが、個人的には1位。つまり、一番好きな映画。

読書が好きな中学3年生の月島雫(本名陽子さん)が、自分が借りた本のカードに必ず「天沢聖司(高橋一生さん)」という名前が、先に描かれていることに気がつき…というところからスタートする青春ラブストーリー。

今からするとやや幼い感じもしますが、純粋な中学生たちの淡い恋が、汚れた大人からすると心洗われます。まだ具体的に見えない将来への不安の中でもがく姿に、思春期の不安定さがよく描かれています。

一番好きなシーンは、小説執筆にチャレンジしていて成績が下がった雫が、両親と話す場面。父(立花隆さん)曰く「自分の信じる通りやってごらん。でもな、人と違う生き方は、それなりにしんどいぞ。何がおきても誰のせいにも出来ないからね 」。大人になると余計に沁みるセリフです。

劇中でも雫が歌う主題歌「カントリーロード(和訳バージョン)」がまた素朴で好き。むろん、本家オリビア・ニュートン=ジョンが最高なのはもちろんですが。


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