ドラマ日記『その女、ジルバ』(第7話)&『ここは今から倫理です。』(第5話)
人生を諦めていた負け組OLの笛吹新(池脇千鶴さん)が、ひょんなことからバーで働き始め、パワフルな高齢ホステスたちに感化され変わっていく、人生賛歌ドラマ『その女、ジルバ』第7話。会津にまた行きたくなりました。
大晦日、店の新の前に現れた白浜(竹財輝之助さん)。かつてジルバとある縁があるという。その夜、幸吉(品川徹さん)や真知(中尾ミエさん)が語って聞かせたジルバの過去は、かつて地球の裏側で起きた悲劇の物語だった。そして1月、新は故郷・福島へ帰り…というストーリー。
前回、ナマコ(久本雅美さん)が口にしたジルバママの過去が、さらに詳しく語られました。ブラジルにおける戦後の“勝ち組”と“負け組”の対立と抗争(史実)。「デマと分断」、現代にも通じる歴史の教訓。
後半は新の里帰りの顛末パート(2020年設定)。第4話で一瞬描かれた、震災直後の弟の激高の理由が、あらためて丁寧に描かれることで、頑張ってオープンさせた蔵カフェの繁盛ぶりが、ここまで来た感があって嬉しい。
とはいえ、その先に例の感染症があるんですけどね…。新も会社を辞めて、バー一本で生きていく決意を決めましたが、“未来”を知る視聴者としては、そこも心配ではありますが、「女は強いから、そして化けるわよ」という、くじらママ(草笛光子さん)の言葉を信じたい。
新が両親に夜の仕事を打ち明けるシーンもよかったなあ。一度に会社を辞める話までしてしまう新の不器用さ、母親(増子倭文江さん)の狼狽ぶり、父親(大和田獏さん)の理解(甘さともいう)。ともあれ、妻・岡江久美子さんを亡くされた、獏さんがお元気で何よりです。
続いて、『ここは今から倫理です。』第5話。雨瀬シオリさんの異色の学園コミックを実写ドラマ化。高校生たちの答えの出ない悩みに寄り添う、倫理教師・高柳(山田裕貴さん)の姿を描いたもので、今回は自傷行動や愛着障害が描かれました。
自傷行為をやめられない高崎由梨(吉柳咲良さん)は、同じ趣味を持つ保健室登校の都幾川幸人(板垣李光人さん)と仲良くなる。そんな都幾川は、高柳を慕って触れ合いを求めるが、距離を置かれてしまう。ある日、由梨が授業で突然カッターを出し…というストーリー。
チャレンジングな作風のNHK「よるドラ」枠ドラマの中でも、最も攻めている本作。自傷行為にも直球で、医事考証には精神科医の松本俊彦さんに入ってもらうなど、本気度が違う感じですね。由梨の母親が宗教にハマっているという設定も闇深い。