雑誌『ぴあ』は上京組の強い味方だった
ネットも携帯電話もまだ一般的ではなかった頃、大学進学のために上京した自分にとっての最大の味方は、雑誌『ぴあ』とそのムック本『ぴあmap』でした。
2011年に休刊した雑誌『ぴあ』。情報誌という言葉すらなかった1972年に創刊。映画、ライブ、美術館などのエンタメ情報を一冊で網羅し、最盛期には80万部越え。バブル期の若者たちのバイブルでした。
ほぼ毎号買っては、映画や展覧会をいち早くチェック。映画館には毎週のように通っていましたし、行ったことがある美術館の数を増やしていくのも楽しみでした。
エリアごとに、映画館・劇場・美術館・図書館・書店・ライブハウスなどが、わかりやすくまとめられた『ぴあmap』も当時としては画期的で、本を片手に東京中を歩き回るのが常。
新宿末廣亭などの寄席に通ったり、国立能楽堂で学生料金で能を見たり、水上バスで東京湾を回遊したり、雑司ヶ谷霊園など有名人の墓地巡りをしたり、三島由紀夫が自決した市谷駐屯地を見学したり…どれも『ぴあ』からの情報だった気がします。
今ではネットでいくらでも情報を取れますが、『ぴあ』が果たした歴史的な役割はもっと評価されていいと思います。