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映画感想『私にふさわしいホテル』のオチが素晴らしい ~独自解釈(ネタバレあり)~
のん(能年玲奈)主演、堤幸彦監督の『私にふさわしいホテル』を観てきました。
予告編から面白そうだな~と気になっていたので、とても楽しみにしていましたが、少々思っていたのとは違っていましたが面白かったです!
映画のあらすじ
新人賞を受賞したものの大物作家から酷評されてしまった新人作家・加代子。文壇への返り咲きを狙う加代子が仕掛ける復讐劇とは・・・。
まずはネタバレなしで・・・。
のんさんの魅力。やっぱりこれに尽きてしまう。この映画、衣装チェンジがものスゴイ詰め込みようです。まるでのんさんファッションショーかと思うような洋服から着物、シックからカジュアル、セクシーなドレスや着ぐるみ姿まで披露!観ているだけで楽しい。
編集者(田中圭)とのバディ感、因縁の大物作家(滝藤賢一)との丁々発止のやり取りはクスクスと笑える。
その他にもカリスマ書店員で『あまちゃん』で名コンビを演じた橋本愛との共演、朝ドラヒロインに抜擢された『ベイビーわるきゅーれ』の高石あかり、『ミッドナイトスワン』での演技が光った服部樹咲が天才女子高生小説家が短い出演時間ながらもインパクトを残しています。
中でも出色は高級クラブのママ役の田中みな実!これはもうハマリ役というか、今後ママ役のオファーが殺到しそうな気がします。
以下、ネタバレありです!
予告編を見て、文豪が愛したホテル『山の上ホテル』で加代子(のん)が大物作家に復讐する為にホテル中を巻き込んで騒動を起こす演劇的な話、簡単に言うと三谷幸喜の『THE 有頂天ホテル』のような話かと思っていましたが、ちょっと違っていました。
どちらかと言うと『スオミの話をしよう』の成功版?と表現すると三谷さんに悪いかな。(スオミを観ていない人、または好きな人がいたらごめんなさいですが・・・。)
復讐劇というよりは詐欺師のようなクライム・コメディの要素が強く、加代子が様々な人物に成りすまし自身の作家としての地位を上げて行くサクセス・ストーリーでした。
気になったのがのんさんの演技です。ここで評価が割れる傾向があります。
確かに私も観ていて違和感があった。
演技が下手ではないはずののんさんが何故かずっと浮いた演技をしている。映画的ではない演劇的で大袈裟な演技なんです。
コメディだからというのは映画では通用しない。コメディであっても映画なので浮くような演技は意図がない限り演出としてしないはず。
その答えがラストにありました。
本作の最初の舞台設定は1984年。そこからの数年がシーンごとに描かれていきます。
しかしラスト、加代子が山の上ホテルで原稿に書き記す日付は2024年2月12日。現実の山の上ホテルの休業日前日でした。
突然時空が歪んだのか!?
否、これはこの映画自体が劇中劇だったと解釈しました。
なのでのんさんの演技もあえて芝居っぽく演じていたのだと思います。
1937年に建てられ1954年からホテルとして営業。そして2024年2月にホテル休業となりました。
文豪が愛したホテルの姿を残そうと映画化された?のかはわかりませんが、胸の熱くなる話ですよね。
そして現在はどうなっているのか・・・。
なんと!明治大学が土地と建物を所有し、一部をホテルとして営業再開することを目指しているとのこと。
なんとも良いオチがつきましたね。
From AleJJandro Hiderowsky