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ダダンダンと司書さん

普段は図書館に足を運ぶのは日中のあたたかい時間に。なのだが、今日は珍しく夕方薄暗くなってから足を運んだ。
いつもの様に好きな本を前にわくわくしている私の視界に2才くらいだろうか?可愛らしい女の子とお母さんが入ってきた。

女の子は大きな声で
「みよちゃんのダダンダンくーださいっ!」と言った。
それで図書館の司書さんが
「みよちゃん、待ってたよー!さみしかったねぇ!はい、ダダンダン!ダダンダンもみよちゃんに会いたかったってー!」とニコっと笑ってダダンダンの小さいぬいぐるみを手渡した。
みよちゃんは嬉しくて「きゃー!!」と叫びながら走って絵本コーナーへ。
お母さんが
「ありがとうございましたぁ。」とお礼を言っていたので忘れ物を取りに来たのだと、私はまた自分が探している本棚に目をやった。

が、その後で司書さんが何やら裏の方からファイルを持ってきて、
「みよちゃん、みてみて~!これ、ダダンダンが図書館にお泊りしてくれた時に撮ったお写真だよ。ダダンダンにもいっぱぁいお友達ができたんだよ」
って笑顔で写真を見せていたのだ。

なぬ!?興味津々で本棚の影からチラリと覗く私。
お母さんとみよちゃんは「うわー!すごいねぇ!ダダンダーン!これも!ダダンダーン!」とハイテンション。
しかも、おまけにシールまで渡していたようでみよちゃんはキャーキャー大喜びで飛び跳ねてる。

わぁ。。。すごい。
こんな、幸せなワンシーンを見せてくれてありがとうございます。
お母さんは深々と頭を下げて、絵本コーナーに行き、みよちゃんに絵本を優しい声で読み聞かせをはじめた。


その司書さんは、また別の中学生の女の子とも本についてたくさん会話をされていて、女の子が借りる本について熱弁してるのにも丁寧に反応してたくさん笑っていた。


私はその二人の会話が終わるまで本棚に隠れて待っていた。
そして、女の子が帰ったのを確認してから本をカウンターへ持っていったのだが
司書さんは「あ、おまたせしてすみませんでした。ありがとうございます。」とにこっと笑いながら私に話しかけてくれたのだ。

えー!びっくり。私がずっと見てたの気付いてたのかな。ちょっと恥ずかしくなった。
わたしも、「ありがとうございます」とマスクの中で笑顔で言うのが精一杯だったが、本当にものの10分で、司書のお姉さんが好きになってしまった。


大人の世界には様々な人がいて
人付き合いというものに疲れることもある。
新しい出逢いには、かなり壁を作ってしまうし、この御時世簡単に人を信用しないように生きていこうとする人も少なくないはずだ。


しかし、私は今日のこの出逢いは忘れたくないなぁと思うのであった。
まだまだ捨てたもんじゃないね。
こんなに素敵な人、憧れるわぁ。
と嬉しくなって図書館を出るのであった。

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