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四角な座敷を丸く掃いちゃダメ。なら、角を直角に掃けば、真ん中手抜きOK。(#054)

お掃除の仕事はサービス業だ。サービスというからには、お金払う人に喜んでもらう必要がある。当たり前だが、これがなかなか当たり前にならない。

例えば、経験を積んだ主婦が自分の家をきれいにするようにクライアントのお宅をきれいにしたとしよう。それで喜ばれるかというとそうでもない。主婦のクリーナーが気にするところと、クライアントが気にするところが一致していなかったら、「できないクリーナー」と呼ばれてしまうのだ。

だから、私はクリーニング・エージェントの仕事を始めたときに、普通のエージェントよりもプラス・アルファでいろんなことを買って出た。まずはコニュニケーション。「ジャパニーズ・ホーム・クリーナーズ」と名うってるくらいだから、クリーナーは日本人だ。英語でスムーズにコミュニケーションがまだできない若い人たちが多いので、最初のミーティングに一緒についていく。そして、私がみっちりと、このご家庭が何を欲しているのか質問して答えを書き取っていく。だいたいが水回り(キッチン・バスルーム・トイレ)をしっかりやって欲しいというが、子供が喘息持ちなので、ホコリ取りに力を入れて欲しいと言われる時もある。仕事をするのに十分な掃除用具がそろっているかもチェックする。最初の1〜2回はできれば家主に家にいて欲しいとお願いする。ものが探せなかったり、クセのあるドアが閉められなかったり、と慣れるまで何かと聞きたいことがあるからだ。

最初の数回のお掃除の後、私は両方に話を聞く。「して欲しいお掃除ができていましたか?」とクライアントにきく。「掃除用具は足りてた?やりにくいことはなかった?」とクリーナーにきく。例えば掃除機のコードが短くて掃除機がしにくいので、延長コードを用意して欲しい、など、クリーナーが少しでも快適に仕事ができることを考えてあげるのだ。

コミュニケーションの次は、日本人のマナーの教育だった。
お掃除の仕事をしたいというくらいだから、みんな性格が穏やかで・辛抱づよく・いい子が多い。でも、それがアダとなることがある。少し慣れてきて、クライアントが直接クリーナーに話すことがある。その時、日本人はニコニコして聞いてる。そのニコニコがよくない。こちらが話していることを、ちゃんと理解しているのか・いないのか表情から判断できなくて、困ることが多々あるのだ。

わからないときは、ちゃんとわからない顔をしてください、と教育しなくてはいけない。わかった時にはじめて、にっこりうなずいて、わかったと表現してほしい、と。マナー教育。

口コミで新しい仕事が入ることもあるが、最初は新聞に広告を載せていた。そして電話がかかってきたらいろいろ説明した後に「前雇っていたクリーナーはどうしました?」ときく。もし「ビザが切れて帰国しちゃったのよ」とか「結婚してね、もう辞めちゃったの」という答えならマル。「仕事ができなくて好きじゃなかったの」とか「いいクリーナーじゃなかったの」という答えだったら、要注意なのだ。それはクリーナーの問題じゃなくて、雇う側の問題の場合もあるからだ。例えば、クリーニングしている間、家にいて、じっと掃除の様子を見ている「チェックマン」はクリーナーが働きにくい。そういう人もいた。そして仕事を断った。本人が直接いうのが難しいことも、エージェントの私を通してなら言える。ワンクッション置くことでコミュニケーションがうまくいくのだ。

あれ?「真ん中手抜きOK」までいけなかったな。この続きはまた明日。なんかズレズレ。へへ。

あなたの想像力がわたしの武器。今日も読んでくれてありがとう。

えんぴつ画・MUJI B5 ノートブック

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