
その女、くそ女
どら猫と言われ続けた女のおはなし。
情報量過多なことは自負済。
無駄に長いです、悪しからず。
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上質なシルクのネグリジェに身を包んでいるその女は至福の眠りから目覚めた。腕や足の筋肉はとてもしなやかで、健全な刺激を待ち受けている。
一気にカーテンを開けると窓から優しい日差しが包み込んだ。
その女は一つ大きく伸びをすると、キッチンへ行き、ガス入りのミネラルウォーターにライムをきゅっと絞り喉に流し込む。
ひとしきり新聞に目を通した後は、おもむろにそば粉を出しアボカドと自家製ドライトマトに、定期的に取り寄せている黄身ならず白身がぐんと美味しい重量感のある鶏の卵を落としたガレットをさっと完成させる。
ミルクとクランベリー、そしてヨーグルトをミキサーにかけ、砕いたナッツを散らす。
朝日を浴びながら簡易がゆえの優雅な朝食を。
さて。
ヨガにでも行って、そのあとは表参道でお買い物をしよう。
ホットヨガで存分に汗をかき、デトックスされた身体はぽかぽかと温かい。
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーのボディクリームを買い、満足したその女は神宮外苑の銀杏並木をふっと見上げる。
春の訪れを告げる東風が、花の香りを運んでくる。
そうね、天気も良いし、外の風を浴びながらシャンパンでも頂こうかしら。
蔦の絡まるレンガ造りの西洋建築はとてもロマンチックな雰囲気を醸し出している。人々にそっと寄り添うようなこのお店にしよう。
「いらっしゃいませ」
一人、とジェスチャーで伝える。
「テラス席に通してくださる?」
「こちらへどうぞ」
「どうもありがとう」
サングラスを外しながらキュッと唇の端だけ僅かに上げて微笑む。
「シャンパンとマルゲリータピッツァを頂ける?」
トマトソースからかすかにふわっとオレガノの風味が鼻腔を掠める。
生地の耳部に一切のストレスがなく、焼き加減も絶妙ね、と一人優雅に舌鼓を打って2杯目のシャンパンを飲み干したところで気のいい友人のから着信が入った。
鼻のきく食いしん坊の彼女のことだ、きっとディナーのお誘いだろう。
モデルという仕事を生業をしている彼女はよく食べる。ファッション界を席巻した一流のモデルでもなく、三流のモデルでもない、その混沌とした世界を自ら選び身を置き続けるというのは、計り知れない重圧があることだろう。書店のみならず時折見かける新宿アルタ前や西武新宿、渋谷スクエア等で大画面のスクリーンででツンとすましている美しい彼女を見かけるたびに、ややぼんやりとした不安を覚えていた。
でも、思い浮かべる彼女の姿はいつだって豪快に笑い、よく食べ、よく呑む、そんなガーベラのよう鮮やかに飛び交う独特の世界観を内包する彼女のことが好きだった。
「一度着替えてから行くわ。新宿パークハイアットのラウンジに18時ね。」
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大ぶりのサングラスを外し、カジュアル過ぎないアイボリーのパンツとお気に入りのインポートものの麻のジャケットを羽織り、少しだけ髪を巻き上げてから、タクシーを呼ぶ。
「パークハイアットまで」
その女は道ゆく人々や街並みをぼんやり眺めている。
街の灯りがともる瞬間が好きだ。
様々な商業施設の中で、飲食店や住宅が所狭しと立ち並ぶモノクロのモザイクが意思を以て輪郭が浮かび上がり色彩を放つ、その瞬間がとても好きだ。
食いしん坊の姿が見当たらないのでドリンクを頼む。
「レッドアイ。タバスコを少しだけ垂らして頂ける?」
「かしこまりました」
真意がまるで見えないこの若造はマニュアル通りの対応をする。
ちょっとタバスコが多すぎるな、と思うレッドアイを半分ほど飲み干したところで、食いしん坊が姿を現した。
「相変わらずね」
その女がタバスコを少しだけ垂らしたレッドアイを好むのを知っている彼女が優しく微笑む。
「そう遠くはないわ。小さなスペインバルなのだけれど。今日はどうしてもパエリアが食べたい気分だったのよ。そこのイカ墨のパエリアはもう絶品!是非あなたに召し上がって頂きたいわ。」
すくっと立ち上がった彼女の後ろ姿を見ながら、恰好の良い身体だなと感心する。奔放で大胆な生き方がそのまま具現化されているかのよう。
無遠慮に身体を見るという下品な自分を少しだけ恥じた。
「タクシー呼びましょう。西麻布に向かってくれる?」
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一見シャネルとわからない薄手のトレンチコートをクロークに預けた彼女は、その女に問う。
「あなた、重いワインすきだったわよね?赤でいい?」
「ね、パエリアがお勧めなんでしょう。白、ライトにして」
意図を汲んだ食いしん坊は満足げに頷く。
「ハモンセラーノ、あとオムレツはなに?じゃがいも?それちょうだい。あと、イカスミのパエリアもお願いね」
相変わらずゲンキンな女だ。
王道どころを責めるあたり、外観同様に地に足のついた間違いのないお店に違いない。
「ねぇ、ここのガスパチョも絶品なのよ」
「要らないわ、ハモンセラーノで充分。少しだけパエリア頂くわ」
食いしん坊のオススメのパエリアは本当に美味しかった。
イカスミの生臭さなど微塵も存在していない。柑橘で誤魔化してもいない。
「また気が向いたら連絡ちょうだい。ここのお店気に入ったわ」
「そう、良かった。またね」
ワインをほとんど一人で飲み切った食いしん坊は、軽く手を振りタクシーに飛び乗り、颯爽と消えていった。
食いしん坊の鼓動のように絶え間ないおしゃべりに心地よい疲れを感じたその女は、ここからほど近いお気に入りのバーへゆく。
。。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。
「ご無沙汰しています」
その女はフルーツに視線を定める。
心地よく疲れた身体には優しい果物が欲しい。
「今日は白桃があるのね。それならベリーニを頂こうかしら」
魔術師のように白桃を操るバーテンダーの手さばきをぼんやり眺めながら、このバーテンダーが一流になるためにダースで仕入れた林檎を一日中剥き通し、終いには林檎が降ってくる夢を見た、なんて笑っていたのはいつのことだたっけ、などと思う。
「桃のえぐみも程よく残っていて、とても美味しかったわ。ありがとう。ごちそうさま」
ほろ酔いのその女は、そのまま西新宿の自宅に帰宅し浴槽に湯を張り、翌日の準備をする。
明日の商談に備えアルマーニのスーツを出し丁寧にブラシをかける。
少し酔ったわ。
ミネラルウォーターを飲みながら思う。
そうね。今日はアソシエイツを浴槽に入れよう。
おもむろにタブレットを取り出し映画を流す。
『プラダを着た悪魔』
アンディの心情に寄り添う。
そういやアパートメントという言葉に拘っていた作家は誰だったっけ。
ゆったりと自身のケアをする。
茶葉から丁寧にカモミールティを淹れ、読みかけの小説を手に取る。
”ミルクがこぽこぽと口からあふれ出しながら涙を流すなんて…そんな生き方まっぴらごめんだわ”
小説を閉じ、食いしん坊の言葉を反芻する。
『相変わらずね』
変わらずに生きていくことは、とても難しい。
自分を取り巻く環境というのは大きく変わらなくても、それは人であったり、モノであったり、匂いや音、目にうつるもの、カタチは姿を変えた何かはいつだって速足で通り過ぎてゆく。
それらの流動的な刺激は自覚できないところで自らを変えていってしまう。
…。
美味しかったな。
イカ墨のパエリアも…。
桃を丸ごとひとつ使ったベリーニも。
………………。
うつらうつらと船を漕ぐようにやんわりとした睡魔がちらりと顔をのぞかせている。
…………………。
今度は桜チップでスモークされたウヰスキーを頂こう。
そんなことを思いめぐらせながら、ことことと石段を降りるように寝入ってゆく。
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なんだこの女は!
だれだこの女は!
これ、アコリスのイメージらしいです。
言ってくるのは全員リアルの知人。しかも多数。
わたしの休日はこのように過ごしていると。
もうね、ほんと。
#どうかしてるとしか
いや、ほんとうに。
もうバカかと、アホかとw
何百光年もの間、言われ続けてきました。
(実話を元にかなり盛りましたが。終盤自己陶酔入りましたが。)
どんなに現実の自分はそうではない、
と話しても
「そんな庶民ぶらなくていいから」
と嫌悪丸出しの顔で言われるんです。
もしくは。
「そんな庶民的な一面があって安心した」
とも。
自宅に招待した作家を生業にしている人間には(わたしのある種の界隈の知り合いは作家が多い)想像力溢れる感性豊かな人間がとても多い。
「アコリスがエプロン姿でお出迎えしてきた姿をみたときに、本当に存在している人間なんだと嬉しかった」
とも。
何度もリアルで会ってる方なのですがね。
ねぇ。
何故?
ねえ、何故なの?
わたくしめ。
まごうことなきアコリス・シトワイアンです。
もう嘘偽りない現実の休日の過ごし方をお教えいたしましょう。
聞いてください。(歌います。♪DESIRE -情熱-@中森明菜)
聞いてください。
(歌います。♪HAJISARASHI-非情-@アコリス)
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毛玉まみれのスエットを部屋着にし愛用している。
上下色違いや柄違いなどお構いなし。
時々、よくわからない謎の靴下が半分脱げている。
通気性がよく気持ちいいからという理由で、男性もののトランクスを愛用。
(何も見られても言われてもいないのに、恋人には“見ないでぇ、オマタ見ないでぇ、やぁだぁ、恥ずかしいよぉぉぉ”とチラ見せしては軽蔑の眼差しを向けられている)
そんな意味不明なスエットを下に思いっきりINして、マッカーサーもビックリのハイウエストでかっこよくキメる。
そんなチンドン屋スタイルが基本。
低血圧で朝の弱いアコリスは、どうやら起きている人以上にハッキリとした激しい寝言を言ったあと(これは子どもたちも含め、百億万人に言われ続けてきました)目ヤニたっぷりで目を覚まし、「眼鏡がないと目がねぇ」と脳内でダジャレを繰り返しながら(ド近眼0.01、乱視、老眼という三重苦というヘレン・ケラー@ミニマム熟女)おもむろに眼鏡を探しスマホを探す。
時間をはじめ、ラインやらメールチェックをしたあとは、そのままスマホと禁断の愛人関係に。ポケベルが鳴らないので仕方がない。
起きてから数時間はお腹の空かないアコリスは、そのままイケナイとは思いつつスマホと愛人関係を続ける。だいたいつまらないゲームを鬼瓦の表情でしている。そろそろ断ち切らなくてはいけないことなどわかっている。
「誰も幸せになんかなれないよ。やめなよ。」わかっている。
それでも過度の興奮と情熱を与えてくるのが愛人だ。
愛人の身体(スマホ)は、存分に火照っている。
次第に疲れてきたわたしはアンニュイな表情で別れを告げる。
そろそろお腹空いてきたな、と起き上がったアコリス。
ほんのり纏めた髪がスマホ愛人によって崩れ、顔脂(がんゆ)でずり下がった眼鏡姿。うっかり鏡に映った自分は、そう、塩沢トキ。
マッカーサーもヘレンも塩沢トキもびっくりの出で立ちである。
「どっか出かけない?」
恋人が問う。
いいえ。アコリスは一生チンドンスタイルで布団の中にいたい。
30年間、給食のおばさん(子どもがいなかった頃から狂った量の食事準備をしてきた)をやってきたわたしは、休みの日に湯を沸かすことさえ面倒。
スマホという愛人にべったり寄り添い、ウーバーイーツという浮気に走る。
時折、
恋人に「ねぇ、おっ〇い見る?」と望まれてもないのに、服をめくりあげ見せつける。そんなわたしに慣れてるので見てくれないと「ねぇ、見てー。どう?いいでしょ?どう?」とB地区を鼻の穴に入れる。
浮気相手(ウーバーイーツ)が呈してくれた遅いランチを大人しく食したあとは、吉原の遊女さながらパイプと称したiQOSをふかす。
しばらく談笑したり、ちょっかい出しているうちに日が暮れてゆく。
よし、そろそろ呑むか。
(基本、毎日呑んでいます。ええ、今も。)
キッチンドランカーのわたしは、ここからが活発的になる。
リアル☆スナックあこりすママとなり、時にはお品書きを書いて渡したり一人二役、三役となりダイニングにいざなう。半ば強制的に。
無論、マッカーサー(超え)が、だ。
そこからは自由だ。
(ずっと自由だったけど)
自由であるか不自由であるかなんて、僕は問わない。
その事実には変わりないのだから。
「わたしって自由?」
「君は自由だ。少なくとも僕にとって見える君は、そうなのかもしれないし、あるいは違うのかもしれない。」
「本当に?」
「本当さ。自由なんてものは君が決めてくれて構わない。僕になにかを決断する権利などないのだから。」
「でもね、聞いてくれる?」
やれやれ。こうなると彼女の話は長い。
僕は彼女の話を遮り、パスタがアルデンテであるかを確認しにキッチンへ向かった。
突如、村上春樹が降ってきたが強制終了。
恋人が音楽を流す。
そしてわたしはそのアーティストになりきる。
MISIAならMISIAに。
(ターバン必須。大振りのアクセ必須。)
BoAならBoAに。
(タイトなジーンズにねじ込む。)
aikoならaikoに。
(元気に飛び跳ねながらテトラポット登るよ!)
ホイットニー・ヒューストンだってある。
今や「今日はアコットニー来日してる?」等と言われている。
「先ほど空港に降り立ったみたいね」と爽やかに返す。
もちろん、アーティストごとに着替える。
表情からなにからなにまで、演じきり歌う。
どちらがオリジナルなのかわからないくらいだ。
うん、そろそろ自他共に認められてきている。
なにかを突如思いついては、やらずにはいられない。
『出産ごっこ』だって手を抜かない。
わたしが妊婦役と心音役、看護師役の三役。
心音は「ドュクシッドュクシッドュクシッドュクシッドュクシッドュクシッ」だ。
恋人が旦那役、医師役、助産師役の三役。
会陰切開は教え込んだ。
四時の方向だと。
産まれてくるのは豚のぬいぐるみ。名前は銀。
感慨深い表情で初乳を与えるところまでセットだ。
わたしは世界を震撼させるピアニストね!
と思ったら恋人のわがままボディを鍵盤にして弾く。
半分以上寝ている恋人の隣に座敷童のように清く正しく座り、狂わんばかりに演奏する。
時折、みぞおちに指が入ったようで、ウッ、とか、ハッ、とか言われると良い演奏が出来る。気がしている。
宝塚歌劇団@ベルばらも…
漫画も、アニメも、宝塚も、
読んでない、観ていない、全く知らない(三重奏)という相手に
「ワタドレ、夜の祈りは済んでいるか?」
大体が適当に流され、寝ようとしているので
「セピア色の化石ともなれ!」
(寝るんだったら、もう化石のように寝ろの意)
と、捨て台詞を放ち、キッチンへ向かいお弁当の下ごしらえをする。
ん?
や、わたしはなんのはなしをしてるのだ?
イメージと現実の相違の話でしたね。
失礼いたしました。
゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。O。゚。
ここまでお読みになってくださった方
(いらっしゃるのかしらw)
なんだか申し訳ない。
あまりにクソみたいなはなしで。
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どうぞお眠りください。
案の定酔っ払いなので後に編集予定です。
予定は永遠(とわ)に未定。
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#ピーチクパーチク・トマラネーゼ