
読書履歴 〜心を解す料理の魔法〜
『カフネ』阿部暁子
29歳の弟が突然死んだ。別れた恋人への財産贈与を記した遺言書を残して。冒頭に広げられたそんな謎は脇に置いて、神がかった手際で用意されるたくさんの美味しそうな料理を中心に、物語は進む。
「おいしい」というただ一つの言葉しか浮かばない、そんな一瞬が、生きていくのにどれだけ大事か!
弟の元恋人が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を通して、苛立って疲れ切って立ち上がれない人たちに出会う。でも、自分も含めて誰かに手を貸してもらえたら元気になれることも知る。誰かに手を貸してもらって元気になると、自然に誰かに手を貸したくなる。色々しんどくても、人間て悪くないね。
後半に明かされるカフネの由来にジーンときます。