専門スキルがないWMがフリーランスとして働く場 その後(6年経過)
2年半前に「専門スキルがないWMがフリーランスとして働く場」というnoteを書きました。非エンジニア・非クリエイター・非コンサルタントの私が、会社員を辞めて、どうやって生きてるの?っていうことを、3年半やってみた結果を報告する記事でした。
あれから2年半、この働き方をはじめて丸6年になりました。今回は、その後のことを書きたいとおもいます。
前回記事では、フリーランスが仕事を持ち込み、チームを組んで働くという、ナラティブベースの働き方をご紹介しました。
それぞれの得意や経験を持ち込んでチームを組むことで、未経験の業務にトライできたり、ひとりでできない規模のことにトライできるし、仲間がいることでいろいろな視点を取り込むことで成長が出来る、ということを書きました。
仲間を増やさなければ!という気づき
その記事を書く少し前から「この働き方を私自身が続けていくには、一緒に働く仲間が増えないといけないじゃん!」ということに気がつき始めていました。またその一方で、せっかくチームに加わってくれたひとたちと悲しいお別れが続いたりもしていました。
・「働く」イメージがそもそもすり合ってなかった
→パート的に時間と範囲を限定して働きたいひとにはフリーランスとして成果を約束していく働き方はマッチしないのに、そこのイメージのすり合わせができていなかった。
・リモートのコミュニケーションならではのミスコミュニケーション
→相手が見えないリモートのコミュニケーションでは、ちょっとした言葉尻やそれぞれのコンディションによって、同じ言葉でも受取り方に大きな差が生じがち。ちょっとしたミスコミュニケーションで、相手が怖くなっちゃったり、自分を責めすぎたり。
・価値観・文化を共有できない
→フリーランスが案件ごとにチームを組む場合、そのチームの価値観・文化はバラバラだと思うけど、ナラティブベースは案件だけでつながっているのではなくてコミュニティの要素もあるので、何を大事にしているか?どんなことをヨシとするのか、しないのかといったゆるやかな価値観・文化を共有している。
だけど、当時新しいメンバーが加わったときには、自然にそれが伝わるのを待つまま…リモートなのでなかなか時間がかかるし、ミスマッチが判明するのに無駄に時間がかかってた。
オンボーディングをはじめてみた
私はすっごくお気に入りのこの働き方、必要としてる人はいるはずなのに、こんなこと続けてたら、楽しさが伝わる前にみんな諦めちゃうな…と残念に感じて、一緒に働き始める前に、「あるある」失敗や会社員との違いの話をするようにしました。
当時「オンボーディング」という言葉は知りませんでしたが、やっていたことは、まさにオンボーディング。
最初は私の感覚だけでやっていたそれを敲きとして、その後ナラティブベースのみんなで、これまであった失敗やミスコミュニケーション、気をつけていることや、気づきをシェアしまくって、新しいメンバーにシェアする、ナラティブベースでの働き方の「ヒント」をまとめました。
例えば…
・ひとりがひとつの商店だと思って欲しい
→働く時間も何をやる/やらないも、自分で判断してマネジメントしてね!
「これお願いできる?」は、会社員時代は命令だったかもしれないけど、今は単なる「お仕事の打診」だよ。
・相手が書いた文字以上の意味を勝手につけないほうがいい
→顔が見えないチャットでのコミュニケーション。
「これ、いつできますか」ってチャットで言われたとき、「あ、遅いって言われてる!」って思っちゃったりするとしんどくなっちゃう。遅いときは遅いって言うようにするから、あなたも文字以上の意味をつけて受け取らないように意識した方が、健康でいられるよ。
・あなたがやり切ることじゃなくて、チームでやり切ることが大事
→フリーランスだからといって「引受けたからには何が何でも自分がやり切らなくては」と思わないでほしい。体調不良含めて不測の事態は起きるから、そのときはできるだけ早くチームに助けを求めて欲しい。
↑こんなはなしをしてました。(これらはその後、さらにみんなでブラッシュアップして、パターンランゲージにまとめました。)
これを始めてから、新しいメンバーとのミスコミュニケーションが激減したと思います。
リモートワークの愚痴をどうするか問題
オンボーディングは改善されたものの、リモートワークをベースにしている私たちの働き方は、慣れないと孤独になりがち。
仕事をしていれば愚痴を言いたくなることもあるけど、それが難しい。ちょっとした困りごとを、困ってるって言っていいのかわからない。わからないことがあるけど、こんなことがわからないのは自分だけかもしれない…そんなふうに孤独を深めていってしまうし、その声を上げられないために成長の機会を失っていることも問題でした。
たまたま出会った、KPTというフレーム
そんな課題を持ちつつも保留にしていた頃、イベント運営の振返りかなんかで、たまたまネットで目についたKPTというフレームを使ってみよう、という提案をしました。
KPTとは…
ケーピーティーあるいはケプトと呼ばれる振返りのフレーム。
Keep→うまくいっていて継続したいこと
Problem→課題
Try→次に挑戦したいこと
この3つの軸で振返りを行います。
特にアジャイル開発の現場で短期に改善をまわすために使われることが多いようです。
やってみて感じたのは、軸があると振り返りやすいということ以上に、課題についての話し合いがとても気持ちよくできる、という点でした。
1つの板に課題を出すことで、その課題が全員にとっての課題になって、同じ立ち位置で協議できる感覚、と言えばいいのかなぁ。。。うまく説明できないけれど、これはなんか良さそう、という直感があって、事務系の運用業務を受託してるチームに導入してみることに。
チームでKPTをやってみた結果
月1回の定例ミーティングにKPTのフレームを取り入れました。
詳しいやり方はここでは割愛しますが、フルリモートのチームなので、KPTでよく使われるホワイトボード&付箋ではなく、Trello を使います。
いつでも気づいたときにKもPもTも入れておけるのがいいところです。
定例ミーティングの場では、Trelloに入れたカードを眺めてみんなで話します。
これが、最初から狙ったわけじゃ無い(少なくとも私は)んだけど、やってみたらすごい効果的で。
・明るく愚痴が吐けて、共感も得られてスッキリ
・愚痴が愚痴で終わらず、Tryをみんなで考えられる
・課題解決や顧客への提案を担うメンバーの視点と実務担当のメンバーの視点をお互いに吸収できる
・お互いの持っているノウハウを共有できる
・判断の過程を共有するので、ナラティブベースとして大事にしている考え方や価値観を共有できる
・改善検討・顧客への提案がコンスタントにできる
これらを通じて、リモートでやりづらかったことがかなり解決できました。
・孤独感の軽減
・チームの一体感醸成
・ノウハウの共有
・価値観・文化の共有
・個々の成長促進
・継続的なクオリティアップやその提案
オンボーディングとKPTを導入して3年後の結果
試行錯誤をはじめたのがちょうど3年ぐらい前です。
数字の面で結果を振り返ったところ、
この3年で、
・チームメンバーは2倍
・顧客から受託する案件数は2倍、特に既存顧客からの依頼は4倍
という結果が出ました。
みんなが働きやすくなっていて、成長もして、仕事を通じてお客様からの信頼を勝ち得ている証左だと思っています。
6年前、一人で売れる専門的なスキルを何も持たずにフリーランスになって、ナラティブベースというチームで育ててもらった私が、自分が働く場をみんなと一緒に育てることが、一定できた、と思っています。
もちろん、まだまだまだまだまだまだ・・・・・だけど、もっともっと、挑戦していきたいなと思っています。
ナラティブベースでは、一緒に働く仲間を常に募集しています。
組織開発・業務改善・WEBマーケティング等等…分野はいろいろですし、
新しい方が持ち込んでくれた新たな分野にみんなで挑戦するのも面白いと思います。ご興味持ってくださる方がいたら、HPからぜひご連絡ください。
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