どうしてホームステイ?
皆さんは、どうしてホームステイをしてみたいと思うのでしょう?なにを期待しますか?海外での生活、ホストファミリーとの出会い、英語の上達。
初めての海外、初めてのホームステイであれば、緊張もしますし、どうやって過ごしたら良いのかわからないっと不安を感じている方もいるかもしれません。
過去の自分は、そうでした。同時に、漠然とした思いで、ワクワクもしていました。
海外に出て何かしてみたい。英語が話せるようになりたい。
私の滞在したホストファミリーは、イギリス、ロンドン郊外に住む母子家庭で、母親はいつも忙しく、家にいることはほとんどありませんでした。朝食は、シリアル、またはトーストとオレンジジュース。夕飯はキッチンのカウンターに置いてある缶スープを自分で開けて温めて食べてねってものでした。典型的な赤信号ファミリーです。
ただ、当時の私は、それをあまりイヤとは思わず、その環境を楽しんでいた記憶があります。誰もいなくて、気軽に過ごせるっと思っていたのかもしれません。夕飯がスープだけでは物足りない、でもホストマザーは働いていて留守となると、自分で学校帰りに少々買い物をして、キッチンを使って何か作ってみたり、大きなバスタブに浸かって、時間を気にせず海外バスタイムを満喫したり、それなりに楽しんでいました。唯一の話し相手は、夕飯が終わる頃に、シッターさんと一緒に帰ってくる9歳の息子ダニエル君。今日はこんなことがあったんだよぉと寝る前に毎晩たくさん話してくれました。最初は、何を話しているのか、ほとんどわからなかったのですが、少しずつ分かるようになってきたのを覚えています。わかってくると自分も話そうという気になります。英語がまったく話せなかった私にとって、ダニエル君は最強の英語の先生でした。
この経験は、今でも感謝できるほど、自分にとって大切なモノです。当時19歳だった私は、この経験を通して自分に対して、あふれるほどの自信がついたのを覚えています。ホームステイをしながら、ダニエル君と会話をしながら、英語力ゼロ、海外経験ゼロだった自分が、このロンドン郊外で、まるで地元住民のように、地元の子供と地元のテレビを見ながら、地元の会話をしているっと自己優越感にひたっていたのを覚えています。
数カ月後、ホームステイになれた私は、次のステップとして、地元イギリス人が住むシェアホームに引っ越しました。ホームステイを通して、地元の生活に慣れ、もう少し自立した生活を送ってみたかったのです。ホストマザーは、とても残念がっていました。ダニエル君の悲しそうな顔は今でも忘れられません。
ホストファミリーが、いつも家にいて、ファミリーの一員として過ごしていたら、数カ月でそこまでの自立は達成できなかったと思います。ただ一緒に過ごすことで、共通の良い思い出がたくさん出来て、今でも交流があり、長くつながる人間関係が築けていたかもしれません。
今になって強く思うことは、ホストファミリーにはマルかバツはないということ。
どんなファミリーでも、自分の行動と考え方次第で、素晴らしい経験になるということです。
海外での生活という環境変化に、自分が置かれた際、どうやってその環境に自分が対応出来るのか、そして、どこまで自分が心地よく過ごせるよう行動をスイッチ出来るのか、”自分チャレンジ”です。
ホームステイ先に、どちらがマルでバツかという判断を下す前に、自分がその環境を通して、どうやって成長出来るのか創意工夫することで体験の価値が決まってきます。
自分にあわないファミリーにそのまま我慢して滞在しろと言っているわけではありません。あわないファミリーにあたってしまったら交渉するという経験も出来ますし、ホストファミリーが変われば2つの違ったファミリーに滞在出来るという価値も生まれます。
経験は人間の価値を高めます。自分で考える行動のチャンスを与えてくれるのです。人から与えられる知識ではなく経験を通して自分で考えて行動する力が身に付きます。ホームステイを通して、みなさんが、そういった価値を見出し身につけて今後の成長につなげてくれたら嬉しいなと思います。