番いの夢

ひとつ見えてきたこと。

それは理屈ではない、ということ。言葉や論理の辻褄合わせを超えてしまう、ということ。ただ、あなたであれば。そう思えるひとへこそわたし達は矢を放つ。

わたし達はやがて自分を護っていた殻を破りはじめ、満身創痍になりながらもそれをおし拡げてゆく。自分を曲げ、簡単に足場を見失い、あなたもわたしも憎み、訳がわからなくなるまで内と外が撹拌されてゆく。愚かしさとみじめさと醜さを味わい、来し方になんの意味も見出せなくなり、ただの帰属欲に過ぎないのだ、とブーメランのように舞い戻ってきた恋情を足下に踏みつけながら癇癪を起こしもする。

それはそれ。

それでもわたし達は矢を放つ。「わたしのあなた」に向けて。

それを無意味なこととは全く思わない。

どうかここを見誤らないでほしい。

死ぬまでに掴みとりたい実感は何?

わたし達が理論や言葉を尽くすのならばそれを得るための梯子にするためだ。

そして困ったことにわたしもあなたも絶望しない。それがそこにあるということを生まれながらに確信している。

わたしは星を拾うし、星はわたしの手の中で光りながら心地良さげに眠るだろう。


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