ウイのアメリカーノを淹れてみよう
パワーーーーー!! ハッ!!!(筋肉地方のあいさつ)
季節の変わり目ですがみなさんいかがお過ごしでしょうか。おれは寒くてよく眠れないのでコーヒーに頼ることが増えてきました。
さいきん、以前書いたジャイロのコーヒー(エスプレッソ)の記事がよく読まれているらしいのでまたコーヒーに関する記事を書こうと思います。今回の記事はエスプレッソとも近いアメリカーノ、そして古関ウイという女についてです。
古関ウイという女について
あんまりおおっぴらに話したことはないですが、おれはブルーアーカイブの古関ウイという子がかなり好きです。
ブルアカというとエッチなゲームなんでしょ!死刑!!とか思う方もいるかもしれないんですけど、正確にはエッチな女と意味のわからん変な女と重たい過去を背負った女と普通の年頃の女の子の4種類くらいが出てくるゲームです。このなかからいくつかの性質を併せ持つ…♣といった子も多いですし、そして皆さんが思っているより変な女の比率がだいぶ高いです。
古関ウイという人はそのなかの変な女寄りの女の子です。人嫌いで古書に向き合っている方が好き、偏屈者で職人気質でキレやすいうえに勝手に学校の施設を占有して閉じこもっているひきこもりとだいぶ変な人なのですが、文化財保全に関して天才的手腕を持ち、歴史や人の思いを重んじたり、学校内上層部の政治ゲームに懐疑的で冷ややかな目線を投げかけることができたりといった思慮深い隠者、知恵者の側面もある人だったりもします。賢くていろいろなことに気づいてしまうがために世を倦み、世間から隠れ住むが困っていれば手を貸すのも吝かでない…といった味付けが絶妙に憎めない。
そしてブルーアーカイブの面白いところは、ひとりひとりそういう性格になったきっかけがあったり、悩みを抱えた生徒がのちのち経験を通して変化したり成長していくといった部分にもあります。人嫌いだったウイが、とある献身的な女の子と出会って手助けをしたことをきっかけに心動かされていき……という一幕があるのですが、それは昔記事を書いたのでここでは割愛ということで。
さて、今回紹介するアメリカーノというコーヒー。何を隠そうこの古関ウイが好きなコーヒーなのですが……
あ~~~~~~~~~~~。
うん。
あーね。
実に…ウイ……らしいなと思えるチョイスです。非常に性格が出ています。いや、味がマズいとかそういうことはないんですよ。おれもアメリカーノは大好きですが…。
では、本題のアメリカーノのお話に入っていきましょう。たぶんおれがそういう反応になった理由もわかると思います。
アメリカーノ(アメリカ風の)
端的に言うとアメリカーノとはエスプレッソをお湯で割ってつくるコーヒーです。
たぶんみなさん「ん?アメリカンコーヒーってのとは違うのかい?」と思いましたよね。ちょっと違うんです。
アメリカンコーヒーというのは、日本人が「アメリカ人はこういうのが好きだよな」という意味合いで呼び習わしている、浅煎りの豆をドリップで淹れたライトな口当たりのコーヒーになります。浅煎りってのは豆の持っている酸味を殺しませんから、アメリカンはやや酸っぱめでさっぱりした味が出やすいです。
アメリカーノは、イタリア人が「アメリカ人はこういうの好きだよな」と呼び習わしているコーヒー、といった位置づけです。このイタリアというところがミソです。
イタリアにおいてはコーヒーってのはたいていエスプレッソを指します。エスプレッソは高圧抽出機を使って少量のお湯にギュギュッと濃く深煎りコーヒーの成分を押し出した淹れ方で、油っぽさや苦み、力強いコクが特徴となります。いわば濃縮コーヒーのようなものですね。イタリアンコーヒーでよく知られるカプチーノとかカフェラテもこのエスプレッソを基軸に作られているわけですから、まあとにかくイタリア人は濃い味のエスプレッソが当たり前なんやというくらい浸透しています。大阪人にとってソースといったらこってりオタフクソース、みたいな感覚です。
そもそもこういう濃くてコッテコテでダイレクトな味わいを常飲している人たちが、「アメリカ人はあれやろ?あっさりした薄めのがええんやろ。ほならな、お湯で割ったのがアメリカ風いうことやんか」と思って彼らの基準で薄めだぞと言っているので、我々日本人とか当のアメリカ人的には「オメーの感覚がおかしいんだよ!そんなに薄くはないだろ!!」となるのがアメリカーノです。もとの基準が濃いのでお湯で割ってやっと普通というか、一周回ってドリップコーヒーと同じくらいの濃さなのですね。もうすでにややこしいですね。
さて味の方なのですが、エスプレッソをベースに作っているので味の特徴もエスプレッソに準じたものになります。
エスプレッソで使う豆はとても深いイタリアンローストなので、豆の酸味や雑味は完全に飛ばしてあり、コクと苦みだけがシンプルに味わえます。それでいてエスプレッソは金属製のフィルターを使う関係で濾紙での濾過をしていないので、コーヒー豆にある油分がとても多く出てきます。
アメリカーノはこれをお湯で割ることで濃さこそドリップコーヒーと同じくらいになりますが、エスプレッソと同じく酸味がなくコクと苦みに絞った味わいで、オイリー感によって飲み応えのある、ドリップコーヒーとはまたひと味違った風合いを楽しめるわけですね。酸っぱさがまったくないので「コーヒーの酸味がちょっと苦手でなぁ…」といった人にもオススメできます。
淹れ方
ということでアメリカーノの淹れ方を紹介してみます。ヒマだったらやってみてください。
エスプレッソをお湯で割るので基本的にはエスプレッソを淹れられさえすればいいわけです。ですのでほとんどエスプレッソの紹介になりますが…。
まず豆ですが、どういった産地でも悪くはないです。酸味が少ないものがおすすめですが、好きな銘柄にしたらええです。ただ煎り加減はイタリアンロースト、つまり超深煎りにしておいたほうがいいですね。間違って浅煎りにすると酸味地獄を味わうことになります…。エスプレッソは豆の酸味が残っていると抽出で強烈に出てしまうので、ミディアムとかハイくらいだと激烈に酸っぱいです。地獄です。地獄でした(一敗)
おれは最近胃をやられがちなので、仕事前にパリッと目を覚ましたいということでなければカフェインレスの豆を使っていますね。カフェインレスはどうしてもカフェイン抜きの工程で苦みが失われがちなので、コーヒーならではのパンチを強く出せるエスプレッソはデカフェ愛好家のあいだでも評判がいいんだとか。
さて、エスプレッソには圧力をかける道具が必要です。おれの場合はカフラーノというメーカーのコンプレッソを使っています。
こういったハンドプレスの道具はエスプレッソマシンほど場所を取らないですし、お値段的にも高すぎないので「ちょっと飲んでみよう」という人にオススメです。
豆を計量します。おれは11グラムで淹れるのが好きですね。これをコーヒーミルで極細挽きにします。
ここでワンポイント。この極細挽きというのが意外にやっかいで、よくある鋳鉄製やセラミック刃ミルだとここまで細かく切り込めないことがあります。挽き目が粗すぎると圧力をかける前にお湯が漏れてしまうことがあるので、エスプレッソ向けの極細挽きまでいける!といったミルを使う必要があるんですね。
豆を売ってるお店にはだいたい業務用のよく切れるミルを置いてあるので、「うちのミルではちょっと…」といった場合には豆を買うついでに挽いてもらうのがいいと思います。
フィルターに粉をドーシングして、指で軽くならしたらタンピング。おれはガサツな性格なのでこぼしてもいいようにかならずシンクの上で詰めます…。
次はお湯を注いで10秒の蒸らし。一般にドリップコーヒーにはちとぬるめの80℃くらいのお湯がよいとされますが、エスプレッソは高温で沸かしたてのお湯のほうが美味しく出せるらしいですよ。
一気にプレスをしたら出来上がり。お湯を注いでアメリカーノにしましょう。気分でカフェラテとかにするのもいいですね。
ハンドプレスで淹れるとこんな感じです。手動なぶん、お湯沸かして自分で蒸らすとか押すとかちょっと工程が多め。毎日淹れたい人はエスプレッソマシンのほうが楽かも。いまだとティファールのちっちゃいやつとか良さそうですね。
いやでも毎回ドーシングの手間が…!という方にはネスプレッソとかいいかもしれません。ランニングコストはかかりそうですが、エスプレッソがカプセルひとつで飲めるのはなかなか魅力的でおれも気になっています。
さて、ここまで書いておいてなんですが、たぶんこのへんで皆さんの頭に思い浮かんでいそうなのが
そこまでしたくない
ではないでしょうか。
面白そうだしおいしそうだけどこれを淹れるたびにやるの…?と尻込みしてしまうところがあるのではないでしょうか。そうですね。やってるおれもそう思います。めんどくせえ~~~ッ!!!!!!
あっゴメン。ウイのことじゃないよ。
……ウソ、ちょっとウイのこともめんどくさいって思ってる。や、本当はちょっとっていうかかなり…。
いやごめんて…
先生、ウイのそういうところも良いと思ってるから……。な、ごめんて……
アメリカーノについて「ウイらしいな~!」と評した理由はこういったことからです。わざわざエスプレッソを淹れるという工程も道具を要したり、焙煎や挽き目についても条件があり、そこまでしたものを結局お湯で割ってつくるという遠回り具合が実にウイウイしています。ややこしいねんお前!!!
とはいえアメリカーノがこれでしか出せない味、好きな人にはとことん好きいうのもわかりますね。こだわりの強い本人の性格に合った、絶妙なキャラクター設定だと思います。
とはいえもう少し手軽にアメリカーノを味わえないものか…とは思いますよね。そこでたったひとつの冴えたやり方が…
スタバ行け
身も蓋もない言い方になりますがスタバ行けば飲めます。近場にスタバがあれば行けば?(韻踏み)
というと投げやりで雑に聞こえるかもしれませんが、スタバのアメリカーノはおいしいんです。だからオススメしているんです。これは本当に。
スターバックスはトッピングをマシマシにしたり甘~いフラペチーノなんかのオシャレ系ドリンクなイメージがありますが、もともとシアトル系コーヒーなんて呼ばれており、エスプレッソをメインにやってきたお店なんです。だからエスプレッソマシンもかならずどの店舗にもあるし、ラテやモカと同様にアメリカーノもメニューにあります。
丸の内OLとかが超長いトッピングメニューを詠唱するヤバいお店だと思って敬遠されている方もおられるかもしれませんが、ブラックのコーヒーが好きな人も楽しめます。「アメリカーノのホット、トールサイズを持ち帰りで!」とズバッと言ってきましょう。チョコチップスコーンを一緒に買って温めてもらうのもいいですね。
おうちでハンドプレスよりもうすこし気軽に楽しむ、という視点ではマキネッタやステンレスフィルターでのドリップもいいかもしれません。
味は少しエスプレッソやアメリカーノから遠ざかってしまいますが、マキネッタは粉と水を放り込んでコンロで沸かすだけでいいので少し手軽です。ステンレスフィルターは通常のドリップコーヒーと同じ手順で淹れられるしオイル感が出るので、少しアメリカーノの気分を味わえます。
長々と書いておいてスタバ行けで済んでしまったな…などと思いつつ、なんか上手い締めが思いつかないのでまたコーヒーに合いそうな曲を置いておきます。
アイスでもいいですけど、冬の寒い日に飲むホットコーヒーは温まりますね。もちろん、注文は古書館の魔術師が愛するアメリカーノで。