北海道 天国と地獄

苫小牧に来てから早いもので2週間が経った。
引越しを手伝ってくれた母も熊本に帰り、今は父と2人で生活をしている。

この地に来るまでの僕の苫小牧のイメージは北の僻地というイメージだったがそれは違った。まず、家の近くには大きな図書館がありとても気に入っている。読める新聞の種類も充実しているし(公明新聞から新聞赤旗までそろっている)雑誌もたくさん置いてある。Wifiも無料で使えるので、wifiの接続工事が終わるまではここを利用すれば事足りる。

そして同じ公園内にある市営体育館のジムが素晴らしい!
ランニングマシンは10台あり、トレーニング器具も数多く揃っている。大胸筋を鍛える器具だけで、6種類もあった!
そして、これだけの設備が揃って利用料は100円なのだ。なんといってもこれだけ素晴らしいジムが歩いていける距離にあるというのが感動で、引越してきてから毎日のように通っている。

勤務先の会社もスーパーも市役所も全て徒歩圏内にあり、家は2LDKで家賃は4 万円。ここはさながら北海道の竜宮城ではないか!そういえば僕は高校生の時から実家でカメを飼っているので、そのカメが恩返しをしてくれたのかもしれない。
ここ苫小牧で生活するのに何ひとつ不自由はない。

はずだった、、

まず入居して1週間経ったころ、家の中に大量のアリがいた。家の中でアリが行列を作っていた。
アリの行列を辿ると外からではなく、家の中から発生していた。やばい、ヤバすぎる、、
アリはベランダの窓のレールと壁のわずかな隙間から一匹ずつ出入りしている。穴から出たアリは、戻ってきたアリと触覚を使って何事かを話し合い行列に加わっていく。
僕はそんなアリの様子を床に腹ばいになってしばらく眺めていた。そんな悠長なことをしている場合か!

僕は窓枠と壁の隙間を木工用ボンドで塞ぎまくった。本当に少しでも隙間があるとそこからアリがよっこらしょ!と体をくねらせて這い出てくるのだ。地獄。
そして帰るべき穴を塞がれて行き場をなくして右往左往していたアリはなるべく殺さないように一匹一匹外にだした。父はそれを横目にブチブチとアリを殺していた。僕は心優しすぎる性格なのでそんなことはできない、、そしてアリとの戦いで一日があっという間に終わった、、
3日ほど経って害虫駆除の業者が来てくれた。業者の男性はびっくりするぐらいの巨体で、彼は家に入ってアリをみるなり「これはトビイロケアリですね」と満足そうに教えてくれた。ほかにもトビイロケアリは市販の駆除剤を食べないとか、成虫のアリは固形のエサを食べることができないので、巣の幼虫にたべさせてから幼虫が消化した分泌液を摂取しているとか、アリに関わる知識をいろいろと教えてくれた。なんだかこの人と趣味が合いそうな感じである。


問題2つ目

引っ越してきて2日目の夜9時前。部屋のインターホンがピンポン!と鳴った。誰が何の用だろう?
そう思ってドアを開けると、40代ぐらいのおじさんで

「もう少し静かにしてくれよ!このアパート音が響くんだよ!」

下の階の人が苦情を言いに来たのだ。
その時間僕は部屋でラジオを聴いていたし、引越しを手伝いにきた父も母も寝ていたので特別大きな物音をだしていだわけではないのだが。
でも僕はとにかく謝った、こういうときはとにかく低姿勢がいちばんだ。
そして翌日、僕は万年筆をとり謝罪の手紙を認めた。そしてちょっと高そうなお菓子と一緒にドアにぶら下げておいた。こういうときはとにかく高そうなお菓子がいちばん。

数時間にお菓子は消えていたので、これで問題解決!僕はこれまで以上に静かに生活することを心がけた。

しかし、その数日後に彼はまた怒鳴り込んできた。

「あのさー何遍言ったらかわかるの?」

「はい」

「はいじゃなくて、あんた何しにここに来てるの?」

「仕事で来てます、、」

「社宅で借りてんの?」

「違います、、」

とにかく今度は質問攻めの説教である。相撲の番組をやっていたときに藤田さん(仮名)というベテランディレクターがよくこういう怒り方をしていた。僕が1番嫌いなパターンの怒り方である。どうせなら、「静かにしろ!」「すいません!」の方があと腐れなくてサッパリしている。だがこの人はネチネチ色々言ってくる、、

「24時間物音聞こえるんだけど、あんた仕事してないの?」

「仕事はもうすぐ始まります。」

「とにかく物音が聞こえて響くから!! 今度音聞こえたら、どんだけ響くか天井叩いてやるから!!!
この前もこの部屋に夫婦で住んでたやついて、あまりにもうるさいから追い出したんだよ」

追い出したんだ、、えーやばい、ヤバすぎる。
どうりで前の住人の照明とかそのまま残ってるわけだ(すごくオシャレな照明なので気に入っている)

そう彼は吐き捨てるとガチャン!とドアを閉めて去っていった。しかし、何がうるさくて癇に障ったのかサッパリわからない。この前文句言ってきたのは夜で今回は昼。確かにベッドを組み立てていて多少の音は出たかもしれないが、彼が文句言いにきたのはベッドを組み立て始めてすぐである。段ボール開封してすぐぐらい。それからはというもの、歩くのも超慎重に、テーブルや椅子を動かすときなんか国宝を扱うようにして物音を立てないようにした。こんなことを続けていたらこちらの神経が参ってしまう。

とにかく管理会社に相談だ!ということで管理会社に電話した。

「かくかくしかじかで、下の階の人にはクレームを直接言いに来ないようにと前の入居者を追い出した事実があるのか確認してほしいんですけど。。」

「わかりました。下の階の入居者さんにもお伝えします」

それから2日たっても3日たっても進展がない。僕は毎日のように管理会社に電話をかけ続けた。管理会社も下の階の住人に電話をかけ続けているが、一切応答がないのだという。
そして4日たった日の夕方、管理会社から電話があった。

「ようやく下の階の人と連絡が取れました。どうやら上の階の足音がうるさいという主張みたいなんですが、今後は絶対に直接クレームを言いにいかないように言っておきました。
あと、笹川さんの前にその部屋に住んでた人とも騒音で揉めていて、、結果的にその方は別な理由で退去されたんですが、、」

なるほど、、前も同じことで因縁つけてたんだったらやっぱり向こうがクレーマーだよなぁ
こういうのなんていうんだろう?なんとかハラスメントって名前ないのかな。

それから1週間が経ったが、下の階の人は何も言ってこない。これで問題解決だといいんだけど、、



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笹川アキオ
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