休職日記#3 生きていれば、死にたくなる日もあるし、目玉焼きを食べたくなる日もある。
最近、朝食が食べられるようになった。
多くの人にとってはあたり前のことかもしれないけれど、私にとってはもはや奇跡に近い。
休職に入った頃は胃腸の調子が悪くて、朝から食事を摂ることもできなくなっていた。そもそも、朝に起きることすらままならなかった。
朝起きて、太陽を浴びて、好きな物を食べて、身支度をして、仕事へ行く。
今まで普通にできていたことができなくなってしまった自分が情けなくて、立ち止まっている自分に反して今日も働いている同僚たちのことを考えては、「どうして生きているんだろう」と自分を責める日々。
これからの人生を生き抜くにはあまりにもしんどくて、死んでしまえば楽になれるのに、と生きることを放棄したくもなった。
でも、人間休めば回復するもので。
一日20時間寝ていた時期を超え、少しずつ動けるようになり、夜に寝て朝に起きられるようにもなり。できることが増えてきて、じわりじわりと回復の兆しを感じる。
「とにかく寝ることが回復への道」とは本当なんだな、と妙に納得した。
朝ご飯は、和風の時期と洋風の時期が交互にくる。
最近は洋風の時期で、目玉焼きをブレッドの上にのせて食べることにはまっている。
”めっちゃいい感じ”の目玉焼きができると、良い一日が始まる予感。
私が考える”めっちゃいい感じ”とは、
・白身はしっかりと火が通って固めの食感
・裏は少し焼き目がついている
・黄身は噛むととろ〜り溶けてくるやわらかさ
この3つの条件をクリアしている目玉焼きのことだ。
黄身が固いとダメで、火を通しすぎた日は「あちゃ〜」となる。
これをくるみ(もしくはレーズン)が入った四角いブレッドにのせて食べるのが最高なのだ。
思えば、休職前はこんな風に朝食を楽しむ余裕がなかったように思う。
目覚めとともに仕事のことが頭を埋め尽くし、ため息と共に身支度をする日々だった。
一日を乗り切るので精一杯で、「今」という時間を味わうこともままならず、終わりの見えない仕事にまみれて「次、次、次」と先へ先へ進むことばかり考えていた。
今の心穏やかに時間が流れていく心地が気に入っている。まぁ、この先どうするかという不安がないこともないんだけど。
休職に入って、自分のペースというものを知ることができた。
立ち止まって自分に向き合って、「今この瞬間」を味わう時間。
休職期間は、未来へのチューニング。
とろ〜り溶けてブレッドから垂れていく黄身を堪能しながら、「今」を楽しむのだった。