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【2024年10月 6府県旅行記】⑥島根 美郷バリフェス~なぜか島根でガムラン初体験

10月に5日間で6府県、総移動距離2500キロを回るダイナミックな旅をしてきました。
こちらはその旅行記です。

旅程

10月11日 退勤後羽田発―広島泊 
10月12日 広島→島根→広島泊 →今回
10月13日 広島→大阪→名古屋泊
10月14日 名古屋→岐阜泊
10月15日 岐阜→金沢→帰宅

美郷町とガムラン

もともと島根県美郷町に興味を持ったのは、最近まで通っていた大学院の研究で「音楽のまちづくり」について調べていて、その中で美郷町がバリ島マス村との交流の中から町をあげてガムランをやっているというユニークな事例が目に留まったからであった。日本にガムランをやっている団体は数あれど、幼児から90代まで40名もの団員を擁する美郷町の「ミサト・サリ」は国内最大級である。日本におけるガムラン音楽の第一人者である静岡文化芸術大学教授の梅田英春先生がガムランの楽器セットを町に寄託し、指導も行っている。また、このバリフェスティバルの実行委員長も務められていて、この日も、挨拶に、ガムランに、と忙しく動き回られていた。

ガムランワークショップ

私はプログラムに乗っているタイムテーブルを見て、小学校の体育館でガムランワークショップが行われると知ってリエさんと参加することにした。
そのワークショップの講師は、これまた著名なガムラン演奏家である皆川厚一先生。以前東京藝大でも教鞭を取っておられ、藝大出身の友人が皆川先生のガムランの講義はとても面白かったと言っていた。第一人者と言われる先生方が島根の小さな町に集結しているというのも、なんだか豪華である。
体育館に楽器が並べられており、とりあえずどれでも好きなのを選んでいいというので私は鉄琴の大きなもののような楽器をまずは選んで座った。

皆川厚一先生
最初に選んだ楽器。ジェゴガンというらしい。低音担当。

ガムランには楽譜や指揮者というものはない。
という知識はあったものの、やってみて「なーるほど」と思うことがたくさんあった。
西洋音楽はそれなりに仕事で関わってきたので、なんとなく音楽の「お作法」のようなものはわかっているつもりだけれど、ガムランのそれは全然違う。この鉄琴のような楽器だって、一人で叩いててもよくわからない。たくさんの楽器のいろんな音程とか波長のようなものが混ざって初めて音の形ができる感じ。独特のリズムの反復の中で、指揮者のような身振りや楽譜のような目で見えるものではなく音でいろんな合図が出され、音量を大きくしたり、下げたり、終わりに向かっていったりする。しかも4ビートみたいなわかりやすい感じでもなくて、独特のリズムの反復とバリエーションがあってその合図を受けとるのがなかなか難しい。しかもぴったり合わせるのがいいわけではなくて、微妙なズレが特徴的な響きを生んでいる。「これは数値化できるものではないんですよ」と皆川先生がおっしゃっていた。日本人が盆踊りのリズムや演歌の節回しを習わずともだいたい分かるように、身体に染み込んだものを表現する音楽なのだろう。簡単な基本パターンのあとバリエーションも習ったけれど、そう簡単にはついていけなかった。でも繰り返し繰り返しやっているうちにレンゴンレンゴンと鳴る独特の響きとリズムの中でトランス状態になり、途中聞きすぎて自分が何やってるかわからなくなって落ちたりしつつも、ずっと高揚して楽しいのであった。なかなかガムランの楽器を演奏する機会はないので、その面白さにちょっとでも触ることができたのは貴重な体験だった。

銅鑼のような楽器。強そう。大小2つ叩けるのがお得感
ウガール。テーマを担当。周りに惑わされずに、ずっと同じパターンを叩き続けてベースを作る。右手でハンマーでたたいた後、素早く左手で鍵盤の端をつまんで響きを止めるのだが、これが難しかった。上手い人は高速でその動きができる。

美郷町には技能実習生などで来ているインドネシアの方も住んでいる。ミサト・サリに参加している方もいるそう。仕事だけの関わりではなく、地域の人たちと文化で交流するのも、一緒に暮らすうえでとても大切なことだと思う。しかも、仕事は教わるほうだとしても、音楽は教えるほうになれる。ガムランを介して、そういう共助ができるのも素敵なこと。
音楽って、演奏する側(プロ)と鑑賞する側(一般市民)で役割が固定化されるものが一般的だけれど、参加することに目的がある音楽にもいいところがたくさんあって、私はまちづくりの中でそういう実践を増やしていくことをいつも考えているのだけれど、今回の美郷でのガムラン体験からもたくさんの気づきをいただいた。

短い滞在の中で、町のみなさんとお話をしたりバリの文化に触れたり、名物の山くじら(猪)を食べたり、お土産も買ってほんとに満足。お世話になったお礼もかねて、川崎に戻ってからふるさと納税もさせていただいた。返礼品のしいたけが最高すぎたので知人におすそ分けしたら、その人も早速ふるさと納税したらしい。

返礼品のしいたけ。肉厚で大きくて味も歯ごたえも最高。おすすめすぎる。
お世話になりました。遠くから「バリの町」づくりを応援しています!
次回はもっとゆっくり滞在したい。

今回の移動

なし

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