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「なんで言った通りできないの?」と言う前に自分の伝え方を見直すべきだったという話

私はかつて、学校の先生を目指して教員養成系の大学に進学しました。
でも、新卒採用が少なく、教員採用試験の倍率は50倍とか100倍がザラにあった時代。早々に諦めて別の道に進みました。
・・・というのは表向きの理由で、先生になりたければ私学でも塾でも、なにかしらの方法はあったはずです。私が先生に「なれなかった」のは、教育実習でも塾のアルバイトでも、とにかく教え方がへたくそだったからです。

なんで言った通りみんな動いてくれないのか

子どもの頃から、少しは勉強のできた私はいつもリーダー的な役割を学級や学校で先生に任命されていました。ところが、やりはじめるといつも同じ壁にぶつかります。「なんで、みんな言うこと聞いてくれないの?」
人が動かず、結局は自分で全部やるはめになり、なんで私ばっかり・・・と思うことも多々。

しかもこれ、いま現在もそう。
お恥ずかしい話ですが、人を育てるのが超苦手。
自分なりにマニュアルも作って、やることはこんなにシンプルで、これとこれだけやればいいんだよ!と説明しても、どうやらそのマニュアルはあまり役に立っていない様子・・・。
思うように動けない部下にいつもいら立ち、ストレスを溜めていました。

先日受けた人材開発マネジメントの講義で、こんな課題が出ました。
ペットボトルからコップに水を注ぐという業務手順を、できるだけ詳しく書いてください」
私の答えはこちらになります。

  1. ・ペットボトルを平らなところに立てます

  2. ・ペットボトルを左手で握り、支えます

  3. ・右手の親指、人差し指、中指で蓋をつかみます

  4. ・そのまま、反時計回りに3~4回ひねります

  5. ・蓋が取れます

  6. ・蓋を置きます

  7. ・ペットボトルを左手から右手に持ち替えます

  8. ・コップを左手で持ちます

  9. ・右手に持ったペットボトルの口を、コップに近づけます

  10. ・ペットボトルの右側を斜め上に上げて、中の水をコップに注ぎます

  11. ・コップのふちから1センチぐらいのところでとめます

  12. ・左手でコップを平らなところにおきます

  13. ・右手に持ったペットボトルをおきます

  14. ・右手で蓋を持ち、締めます。

グループワークでは、これでも結構書けたほうで、他のかたは5~10個ぐらいまでしか分解できていませんでした。
正解はちなみに27個!
詳しくは、下記ご参照ください(こちらの記事を書かれた石田淳先生の講義でした)

言葉にできてないことが多すぎた

(私がそうだというわけではなく)ハイパフォーマーであればあるほど、人に教えるのが雑になっていく傾向があるのだそうです。特に、職人系。
ある料理人は、仕事を一切、言葉で教えないそうです。
「料理は、魂だ」
そんな抽象的なことを言われても弟子はどうしていいかわかりませんよね。
音楽の世界でもあるあるな気がします。
素晴らしいヴィルトゥオーゾが、素晴らしい教師とは限らない。
だって、できちゃうから。
相手の困りごとがわからない。
さっきのペットボトルの例は、つまり「当たり前と思っていることもすべて一回書き出してみる」ということなんです。
私にとっての当たり前が、教えられる人の当たり前とは限らない。
言われてみればそうなんですが、意外とやっていない、意識しないとやれないんです。
自分がなぜ、これをできているのか。他の人はなぜできないのか。
全部のステップを見える化して、スモールステップを踏ませるようにすれば、どこでつまづいているのかが明確になる。解決策もわかる。

私はこれまで良かれと思って、ゴールだけ示して業務指示をしたり教えたりすることが多かったように思います。細かいことは言わないから、あとは自分の好きなようにしていいよ、という善意のつもりで。
それで動けなかった場合、相手にやる気がないとか理解度が浅いのではと考えてしまっていました。その人が見えていない手順をきちんと説明できることが必要で、そのためには自分の行動を分解して理解できていなければいけなかったんです。

職場だけの話ではなくて、家庭内で言えば子どもに対しても同じだと思いました。「片付けて!」だけでは、具体的に何をしていいかわからないんです。どこに何をしまうかが明確になっていて、さらにそれをわかるように指示しなければ、子どもは動けないですよね。

ペットボトルの話、結構深いです。
職場の研修とかでやってみても面白いかなと思いました。


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