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それぞれの家庭事情を推しはかれる人が増えますように

家族のケアをする高校生3人の日常を描いた
オムニバス短編映画『ツナガル』

ご縁あり、先日完成試写会に行ってきました。

▼2分ほどの予告編
オムニバス短編映画『ツナガル』予告編

実話を元にした3つの物語で、
長時間画面を見続けるのが苦手な私でも約10分×3本と、
とっつきやすい長さ。

感想を記しておきたいと思います。


◆十人十色どころではないパターンの多さ

それぞれの境遇の中で
少しずつ自身の生活が変わっていく/変えていく、高校生3人の物語。
祖父の、きょうだいの、親の、身体的/精神的ケア。
その形は十人十色どころではありません。

私は7つ下の弟が自閉症なので、
「この部分わかる〜!」と自分に当てはめてみたり、
「自分は経験してないけど、よく聞く介護ってこういうことか…」と
想像してみたり。

まずはこういう現実があるよ、
知る・触れるには良い形・ボリュームだなと感じました。

◆「カラ元気」という「防衛本能」

「防衛本能がはたらくみたいに、カラ元気になってしまう」
役者さんが舞台挨拶でおっしゃっていたのが印象的で、
首がもげるほどうなづきました。

等身大以上に強がったり、笑ってごまかしたり、
さらっと振る舞ったり…

確かにどの主人公にも共通しているんですよね。
本来の感情を押し殺す…ことも時には必要ですが、
そんな振る舞いも、ずっと続いたら苦しい。
けど、なかなかその加減が難しい。

◆カミングアウト問題

私は弟が自閉症だけども、グレーであること、オープンな家庭であること、などから「カミングアウトする」という選択肢はないに等しかった。
7つ離れてるけど、小学生の頃から同級生なんかはうちに出入りしてるし、
親同士も仲いいので家庭事情ダダ漏れ(笑)

それでもやはり、あとになって知り合った友人・知人・仕事関係の人と
「兄弟(姉妹)いるの?」なんて他愛のない会話で、
言葉がつっかえたりフワフワ答えてんな〜と感じる場面は
大人になった今でもあります。
(そんな自分が嫌だったりもする)

言ったら意外とあっさり受け入れてくれた!
ってパターンしか今のところないですが、
「防衛本能がはたらくみたいに、カラ元気になってしまう」現象は起きてる。

言いづらい事情を、言う/言わないカミングアウト問題。

この短編映画では、グラデーションのように描かれていますが、
言わないでいく選択も大事にしたい。

言いたくなったら受け入れてくれそうな人に漏らせばいいし、
そんなタイミングをじっくり待つのもいいし、
ずっと隠す、のもアリだと思う。

言う・言わないは過程であって、
自分が心地よく過ごせたらそれでよし。

◆改めて考えるきっかけに

「あれ、もしかして身近なあの子もこういうケアしてるのでは…?」
と気付くきっかけにも。
でも、直接的に何かできるわけではない。
普段きょうだいの啓蒙・啓発活動をしていますが、
じゃあ自分が支援(とまではいかなくても)できることってなんだろう?と、立場を変えて考えるきっかけにもなりました。

◆さいごに

製作総指揮の持田恭子さんが
「映画だからと思ってほしくない・オチや解決策があるわけではない」
とおっしゃっていましたが、
本当に脚色せずに描いたんだろうな〜という印象。
あえて「ヤングケアラー」とか「きょうだい」というワードも使わずに広報しているのにも、意図を感じます。

それだけ、あまねく人に観てもらいたいだろうし、
私もそう思います。(一応タグは付けますが!(笑))

これから自主上映していくとのことなので、ご協力いただける教育機関や企業の方がいらっしゃいましたら、ぜひこちらからお問い合わせしてみてくださいね。

▼短編映画の自主上映や講演についてのお問い合わせ
一般社団法人ケアラーアクションネットワーク協会

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