ファーストペンギンの代表になった話
※2022年8月より菅井のみ代表となっております。
2022年4月より、西村と共に20〜30代のきょうだい会・ファーストペンギンの共同代表になりました。
と言っても、事業ではないし、今後法人化するつもりもないので......まあ、サークルの部長的な感じですね。
そして早速矛盾するようですが、代表になりながらも、極論この会がなくてもいい世界を望んでいます。
今回は
◯わたしが共同代表になるまでの経緯
◯ファーストペンギンのこと
◯きょうだい会がなくてもいい世界になるってどういうこと?
というのを綴っていこうと思います。
◆きょうだいって?
障がいや病気のある兄弟姉妹がいる人のことを、ひらがなで「きょうだい」といいます。
わたしも7つ下の弟が自閉症なので、きょうだいということになるのですね。
どうやらこれが特殊?な環境であって、中には生きづらさに繋がっている方もいるようなのです。
◆「きょうだい」とは自覚せず育ったものの
我が家の場合、弟は小さい頃から落ち着きがなく、親は検査を受けさせたりしたものの、普通学級で過ごしていました。
わたしは好き勝手学生時代を過ごし、やりたい事もあったので、大学卒業後は迷う事なく一人暮らしを始めライブハウスに就職。
そんな中、私が25歳の時に弟が障害者手帳を取得したと母から連絡が。これまで「自閉症スペクトラム」とか「広汎性発達障害」とかは聞いていたけれど、ふーんと流していました。
手帳を取ったと聞いた時は
「ちゃんと?ついに?診断されたんだ...」
「私の家族が障がい者?」
「でもきっとこれで生きやすくなるのよね...?」
と複雑な気持ちになり、すぐにそれにフタをしたような感覚を覚えています。
◆「きょうだい」と自覚しはじめた20代後半
それから3年後、28歳の時に父の難病(脳腫瘍)が発覚。治療法も確立されていない、予後も悪い=数年以内に亡くなる可能性が高い。最悪な事実を突きつけられます。
そして、絶望の次に襲ってきたのは「弟どうしよう?」なのでした。
今まで弟の状態を見て見ぬフリをして、やりたい事だけやってきたわたし。母はまだ元気だけど、その後は私が背負うことになるかもしれない...これまでのツケかもしれないな.....なんて思いながら。
また当時、パートナーとうまくいっていませんでした。相手に求めまくり、何かと人のせいにしたり。当然、しんどい。
このよくわからないしんどさを辿っていくと「自己肯定感が低い」とか「アダルトチルドレン」とか「インナーチャイルド」とか「機能不全家族」とかいうワードが出てきました。
機能不全家族とは、虐待を受けていたり、片親だったりすると、幼少期を子供らしく生きられず、大人になっても生きづらさを抱えてしまう、というもの。
「いや、うちそんなことないしむしろ明るく仲良い家庭だったし......
ん、待てよ?思い返せば弟の様子が周りとは違ったよな......。」
そこから色々と検索し、「きょうだい」という概念にたどり着きます。
◆ファーストペンギンとの出会い
父の件もあったので「今からでも私にできることをやろう」と、色々なきょうだいの集いに顔を出しました。
その中で出会ったのが、20〜30代に特化したきょうだい会のファーストペンギン。
「ここなら今の私の悩みを聞いてもらえそう」
「近い立場の人からアドバイスをもらえるかも」
「同年代だし話しやすそう」
そんな期待と緊張と共に参加したのを覚えています。
参加して話してみると、今まで自分の感じてきたことや遭遇した場面に共感してもらえたことに驚きというか、私だけではないんだという安堵感と、心強さと、緊張していた糸が切れたような...なんとも言えない気持ちに包まれてました。少しシリアスな本編が終わった後の二次会では、気付いたらがはがはと笑っていました。自然と打ち解け、きょうだい以外の話もたくさんしていたのです。
また、制度や施設のことに詳しい方もたくさんいて、知識も増えていきました。
◆気付いたら運営に
会の終了後はファーストペンギンの立ち上げ人である山下のぞみと連絡先を交換し、やりとりを重ねるうちに運営に誘われ、次の大きなイベントを手伝うことに。
自分の勉強や経験のためでもあるし、自分のように、近い環境の仲間と出会うことで安心感が得られる人がいるならばそのお手伝いがしたい......そんな想いで運営への参加を決めました。
この想いは、今も変わりません。
◆大切なのは自分らしく生きること
きょうだい会に参加することで、一定の安心感は得られます。が、何か「コレ!」という解決方法が見つかるわけではありません。
最初は藁をもすがる思いで参加するという気持ちはわたしにもありましたし、わかるのですが......
結局、
○自分がどうしたいか
○自分の人生の責任は誰も取ってくれない
ということに尽きます。それでも一筋縄にはいかない、まだまだそうしたくても声をあげにくい環境にいるきょうだいさんもいると思います。
とは言え、私から教えられることはありませんし、そんな大それた立場でもありません。
ただ、立ち上げ人の山下からは「生き方を見せてほしい」と言われています。
それでよければ。
私が生きたいように生きて、もし誰かの背中を、結果、押すことになればお互い嬉しいよね。でも別に無理強いはしないし、離れたければ追わないし、必要な時にフラっと立ち寄るのでいい、そんなスタンスです。
◆周りに理解があればきょうだい会は必要ない
きょうだい会に参加してびっくりしたのは、感じてきた些細なことが「きょうだいあるある」だったこと。
○「兄弟(姉妹)いるの?何してるの?」こんなありふれた質問にうまく答えられない。本当のこと(障がいがあることや施設に通っていることなど)を伝えたら場の空気を悪くするのではないか、などとても気を遣う。中には一人っ子と嘘をついて自分を守るきょうだいも。
○家族で出かけた時、障がいのある本人が騒いでしまい恥ずかしくなる。周りの人に白い目で見られるから。
これ、きょうだいで感じたことない人はいないんじゃないか?ってくらいのあるあるです。
ただこれらは、周りの理解があれば......本当のことを言っても受け止めてくれたら、白い目で見ずに色んな人がいるよね〜とサラッと対応してくれたら。複雑な気持ちを抱かなくてよくなるんですよね。
すると、モヤモヤした気持ちを共有する場=きょうだい会も必要なくなる。
綺麗事に聞こえるかもしれませんが、これが私の考えです。
◆最後に
理想を描きつつも、まだまだきょうだいのクッションというか、シェルターというか、そんな場は必要かと思います。
その中でファーストペンギンの立ち位置は、
○自分らしく・自分の選択で生きていいことを感じてもらう
○経験を共有
○時には勉強会などで知識をつける
○20〜30代に特化
という軸で運営していきたいと思います。
今までと変わりありません。
また、私にはやりたいことが他にもたっくさんありますので、きょうだいのことを仕事にするつもりはありません。
仕事は多岐にわたっているので、どこかの領域で被ることはあるかもしれませんが、自分では立ち上げないつもりです。自分らしく、のコンセプトに反してしまうから。
それと、代表ってのも恐れ多いので(笑)、今まで一緒に運営をしてきた西村と共に「共同代表」ということに相成りました。
そんな意味でファーストペンギンは法人化せず、サークル的な温度感で運営していきます。
今後とも、よろしくお願いいたします!
※Twitterも新しく立ち上げまして、最新の情報はこちらから流そうと思います。ご興味ある方はぜひに!
※父の看取りの際に書いた記事も。軸は変わってませんね。
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