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「ほめない子育て」、こんな風に考えてみた

こんにちは、元保育士ライターのあきです。
今日は現役保育士時代に、どう「ほめない子育て」と向き合っていたかについて、書いてみようと思います。

「ほめない」代わりに「認める」・・・認めるって何!?

「ほめない子育て」について本を読んでいると、子どもの行動は「ほめない」代わりに「認める」と表現しているものがあります。
アドラー心理学でも、「認める」という表現が使われますね。
ただ「ほめない」と言われただけでは、じゃあどうやって子どもに接したらいいの?と迷うばかりなので、代わりにどうすればいいのか書かれているのはありがたいと思いました。

思いましたが。

今度は「認めるって何!?どういうこと!?」という新たな迷路に。
個人的に、「認める」という言葉ってちょっと上から目線に感じるので、それも迷路に入り混んだ一因だった気がします。
あくまで私が「認める」という言葉から受ける印象の話なんですけどね。

保育関係の仕事をしている方は、結構「認める」という表現を目にするかもしれません。
子どもの記録などを書いている時に、よく出てくる言葉の一つですよね、「認める」。
書類仕事をする上で私自身結構使っていた言葉ではあるんですが、納得して使えるようになるまで、結構モヤモヤしていました。
なんでこんなに上から目線で子どものこと書いているんだろうと。
言葉から受ける印象に影響を受けやすい私だからこその悩みかもしれません。

「認める」は、見えたもの、聞いたものをそのまま受け止めること、かもしれない

「認める」という言葉に対して、私なりに納得のいく落としどころをみつけることができました。
以前noteで会話について書いたことがあるんですが、子どもと会話をする上でネタに困ったらどうするか、という、その考え方も根っこは同じです。

何か特別なことを言ったり、やったりするのではなく、目の前の子どもがやっていることをそのまま言葉にする、大人が見えたものをそのまま言葉にする。
「認める」とは、そういうことなんじゃないかと考えています。

以前のnoteでは、絵を描いている子どもとのやりとりを例に挙げてみましたが、それは私が「認める」のが難しいと感じていた場面だから。
子どもが絵を描いたり、何か作ったりすると、「ほめてあげなくちゃ!」と条件反射のように考えてしまいます。
せっかく頑張っていたのに、ほめてあげないとがっかりさせてしまう、やる気がなくなってしまう・・・だから、上手にほめなくちゃ!と意気込んで、難しく考えてしまう。
難しいと感じていることだから、「ほめない」でいいと言われると、ほっとして何も言わなくなってしまう。
完全な負の連鎖です。

「ほめない」とは、何も言わなくていいことではありません。
そこだけは忘れないでいただきたいと思います。

子どもはほめられたいわけではない

よく子どもは、自分が作ったものを見せに来たり、お手伝いしたことを得意げにアピールしたりしますよね。
そういう姿に対して、大人は「ほめる」対応をしがちなんです。
私自身もそうでしたが、ほめると子どもが嬉しそうにするから、それが正解だと信じて疑ったこともありませんでした。
子どもが嬉しそうに笑うとこちらも嬉しくなるから、その顔が見たくてほめていたような気さえします。

でも、実のところ、子どもはほめてほしいわけではないんです。

ほめられることに慣れた子どもは別です。
ほめられることを求めて、大人の反応を求めて、大人の元に向かいます。
つまり、ほめられるために行動しているので、子ども自身の気持ちは二の次になっているんですね。

もっと幼い子どもは、ほめられたくてやっているわけではないんです。
ただただ自分が楽しいからやっている。
自分がやりたいと思ったからやっている。
自分の気持ちが最初にあって、大人の反応は二の次なんです。
「あ~楽しかった!」「うまくできた!」、そんな感情を誰かに知ってほしくて、受け止めてほしくて、大人の元に向かうんです。

だから大人は、「すごいね!」「上手だね!」とほめる必要はなくて、「そう、楽しかったんだね」「うまくできたの、嬉しいね!」と、子どもが向けてくる感情をそのまま受け止めるだけでいいんです。

大人がほめることで、子どもの行動にちょっと不純物が混ざってしまうなと感じてから、できるだけ「すごいね」「上手だね」という言葉は使わないようにしてきました。
子どもには、大人からの反応なんて気にせずに好きなように楽しんでほしくて。
大人がすごいとかうまいとか言わなくても、自分がやりたいと思ったことを楽しんでほしくて。

ほめ言葉はコミュニケーションの潤滑油ではあるけれど

大人同士の会話でもそうですが、コミュニケーションに困るととりあえず相手を褒める、という方法があります。
ほめておけば、少なくとも相手が気を悪くすることはないだろうし、場の空気が悪くなることもないし、下手なことを言うより確実な気がします。
子ども相手でもそれは同じで、ほめておけば子どもは気を良くするし、スムーズに動いてくれることもあるし、良いことばかりな気がします。

でも、中身のないほめ言葉って、言われた時に気づきませんか?
「あ、この人、話に困ったからとりあえずほめてくれたんだな」って。

子どもも同じで、中身のない言葉は見抜いてきます。
子どもの機嫌をとろうとか、大人にとって都合がいいように動いてほしいとか、そういう裏側の目的に気づけるんですよ。
だから、ほめられても別に嬉しくないし、心に響かなくなっていってしまうんです。

保育園で、1人の子どもと保育士数人のやりとりを見ていると、「あ~この子、分かってるなぁ」と感じることがよくあります。
とりあえずほめる保育士と、子どもの発信を受け止めている保育士とでは、全然反応が違うんです。
とりあえずほめる保育士は、言い方は悪いですが、ほめておだてて子どもを動かそうとしています。
ほめ言葉が道具として使われていて、子どもはそれを聞き流している。
だから全く子どもに響かず、子どもの行動は変わりません。

子どもの発信を受け止めている保育士は、子どもの行動から、その子が何を伝えたがっているのか、その子が今どういう気持ちなのかをまず理解します。
求めていることが分かるから、どんな言葉をかけると伝わるのかも分かります。
子どもは、ちゃんと自分に向けられている言葉は受け止めますし、ほめられなくても行動が変わっていきます。

ほめなくても、子どもは成長していきます。
ほめるより、大人がたくさん見て、聞いて、考える方がずっと効果があるんです。
ただ、ほめるよりずっと時間がかかるし、手間がかかるので、ハードルが高いように見えてしまうんですよね。

でも、「ほめない」と決めて子どもと向き合うようになったら、前よりずっと子どもから信頼してもらえるようになりました。
泣いて騒いで大変!と思われている子と、数ヶ月ガチンコでやりあって、信頼を勝ち取ったことが何回もあります。
ほめなくても、大丈夫でした。

信頼関係があれば、子どもの行動って根本的に変わってきます。
時間はかかるし、正直大変ですが、子どもとの関係を見直したい、変えたいと思う方には、ぜひ一度「ほめない」と決めて子どもと向き合ってみていただきたいと思います。

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