どうしてマッチョなデザイナーはいないのか?
マッチョなデザイナーっていなくない?
デザイナーになってから2年くらいほとんど運動をしていなかった私ですが、最近改めて筋トレに励んでいます。
同僚に元ボディビルダーのエンジニアがいて、アドバイスを受けながら日々精進。
そんなある日、そういえばデザイナーでマッチョな人って見たことないな、、と思い、
同僚デザイナーや今まで出会ったデザイナーを思い浮かべたところ、
誰一人マッチョと言える人はいませんでした。
エンジニアやビジネス職には程度こそあれマッチョな人はそれなりにいるのに、どうしてデザイナーにはいない?と夜は眠れるが気になって仕方なくなってしまいました。
そこで今回は、
どうしてマッチョなデザイナーが少ないのか自分なりの見解を示し、
どうしたらデザイナーにマッチョが増えそうかの提案をしたいと思います。
同じ疑問を抱えている人、デザイナーで筋トレを頑張りたい人、
そして今までの自分とは違うことを始めたいという人へのヒントになるのではと思うので是非読んでみてください。
※マッチョなデザイナーが本当に少ないのかについて実際のところはわかりません。(そのうち実際に統計を取りたい、、)
どうしてマッチョなデザイナーは少ないのか?
マッチョとは
マッチョになるためには継続的に筋トレをして筋肉をつける必要があります。
そこで、マッチョ=筋トレを習慣化している人だと定義しました。
この定義から、「筋トレの習慣化」が今回のテーマにおけるヒントになりそうです。
習慣とアイデンティティの関係
書籍「Atomic Habits」では、
「習慣の背後にはアイデンティティがある。自身と矛盾する行動は長続きしない」とし、アイデンティティベースの習慣形成が重要だと主張されています。
また、ある研究では、自己を「健康志向の人」として認識するグループと、単に健康的な行動を取ることを目指すグループを比較し、
前者のグループは自己認識に基づいて行動を強化し、持続的な健康習慣を確立する傾向が強いことが示されました (Habit and Identity: Behavioral, Cognitive, Affective, and Motivational Facets of an Integrated Self)。
このように、習慣には自身の信念やアイデンティティが大きく関係することが示唆されています。
そこで私は、デザイナーにマッチョが少ないのにもアイデンティティが関係しているのでは?と考え、ある仮説を立てました。
「マッチョ(トレーニー)」と「デザイナー」では非常に異なるアイデンティティを持っているのではないか?
それぞれが異なるアイデンティティを持っていることで「トレーニー」であり「デザイナー」であるということの違和感が生まれ、デザイナーをトレーニングから遠ざけているとは考えられないでしょうか?
「トレーニー」と「デザイナー」のアイデンティティの違い
実際にアイデンティティがどれだけ異なるのか、今回はChatGPTを使って簡易的に検証してみることに。
まず、トレーニー、アスリート、アーティスト、デザイナー、エンジニア、サラリーマンの6つのタイプの人間について一般的にどのような性格や価値観がイメージされるか、上位10個ずつ挙げてもらいました。
次に、トレーニーとそれぞれのタイプとの間で性格や価値観にどれくらい相関があるかを算出し、可視化してもらいました。
結果は以下。
エンジニア、サラリーマン(Office Worker)とトレーニーの相関の強さに比べると、デザイナーとトレーニーの相関はかなり弱くなっています。
忍耐強く創造力がない「トレーニー」と創造的で打たれ弱い「デザイナー」
では具体的にどのような部分に違いがあるのか、以下のグラフに価値観カテゴリごとのイメージの強さを表しました。
トレーニーとデザイナーを比べると、Creativity&Originality(創造力と独創性)とEffort&Perseverance(努力と忍耐)に特に違いがあることがわかります。
確かに一般的に想像されるイメージとしては、デザイナーには努力と忍耐は似合わないし、トレーニーには創造力と独創性は似合わないですよね。
こうした想起されるイメージの違い=アイデンティティの違いが、
デザイナーでありトレーニーであることの心理的ハードルを自分でも気付かぬうちに上げてしまい、
結果的にマッチョなデザイナーが生まれにくくなっている可能性はあると言えるのではないでしょうか。
デザイナーにマッチョを増やす3つの戦略
では、どうすればデザイナーとトレーニーのアイデンティティを近づけ、デザイナーがトレーニング習慣を身につけマッチョになりやすくなるのでしょうか?
3つの戦略を提案したいと思います。
①筋トレにデザイナーの要素を加える
筋トレというトレーニーが行う行為と、デザイナーの持つアイデンティティを近づけることが有効だと言えます。
つまり、
筋トレから努力と忍耐の要素を減らし、創造力と独創性の要素を増やすことが重要です。
そのために、「追い込む」筋トレをやめて、筋トレをより創造的な活動にすることを提案します。
ある研究では、筋トレを追い込みまで行うグループと行わないグループで、筋肉量の増加に大きな差はなく、ほぼ同じ効果が得られると報告されています(Want to Maximize Muscle Gains? New Study Finds Training to Failure is Key) 。
ある程度のトレーニング量は必要ですが、ギリギリまで追い込まなくても十分に筋肉はつくようです。(個人的には自分の限界の8割くらいでやめるのが気持ちよく終われると感じます)
その代わりに、
筋トレを創造的な活動の一部に変えましょう。
アイデアに詰まったら筋トレして頭に血を巡らせる、筋トレ中はAudibleを流してインプットの時間にするなど、筋トレを仕事のルーティンとして組み込むのも一つですし、
筋トレをする中で生まれる疑問や課題に対するアイデアを妄想したり試したりして、筋トレをHackしてみてもいいかもしれません。
このように、よりデザイナーらしい筋トレを意識することで筋トレがデザイナーにとって違和感のない行動になり、続けやすくなるのではないでしょうか。
②筋トレをする空間・人にこだわる
デザイナーが筋トレを始めようとしてジムに行くと、場違い感を感じて気後れしてしまうことは多いのではないでしょうか?
それも、ジムの雰囲気やジムにいるトレーニーたちと、デザイナーとしてのアイデンティティが合わないことが関係していると言えます。
Katharine H. Greenawayらの研究では、デスクの周囲に自分のアイデンティティを反映した装飾を施すことで、仕事のパフォーマンスが向上することが示されています (Psychology Today)。
筋トレも同様で、筋トレをする空間にアイデンティティを反映させることは大切です。
筋トレ中にお気に入りの音楽を流したり、お気に入りのトレーニングウェアやボトルを見つけたりすることで、ジムを「自分の空間」に近づけるよう工夫してみましょう。
また、一緒に筋トレをする人のアイデンティティを近づけることも重要です。
ありきたりですが、同僚や友人など共通の趣味や価値観を持つ人と一緒にトレーニングができると良さそうです。
(ちなみに、アメリカではナード・フィットネスというオタクだけが集まるジムがあるらしいです。デザイナーが集まるジムを作るのもアリ?)
③呼び名を変える
「個人は、あだ名を持つことにより、自分の行動の特徴や、話すアクセントや体型や日常の習慣を変えようとすることがある。」(あだ名─アイデンティティと社会管理─)
とあるように、あだ名=呼び名がアイデンティティや行動に与える影響は示唆されています。
であれば、デザイナーとトレーニーを掛け合わせた呼び名を作ることで、2つのアイデンティティを共存させやすくできるのではないでしょうか?
デザイナーでトレーニングを始めたいあなた。
今日から自らをデザイニーと名乗ってみましょう。
最後に
今回は、
デザイナーにマッチョが少ない理由をアイデンティティと絡めて考え、
筋トレにデザイナーの要素を加える、筋トレをする空間・人にこだわる、呼び名を変える、という3つの戦略を提案しました。
「デザイナー」で「マッチョ」に限らず、本当は興味があるけど自分には向いてなさそうと諦めていることがある人は多いのではないでしょうか?
「医者」で「ダンサー」、「エンジニア」で「パティシエ」など、一見かけ離れたアイデンティティを形成したいあなたにも、きっと今回の考え方が役に立つのではと思っています。
今回の記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
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