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10月家計調査・実質消費支出・前年同月比は3カ月連続減少か。10月景気動向指数・一致CIは2カ月連続前月差上昇に。基調判断は「下げ止まり」から「上方への局面変化」に上方修正の見込み。―日本の主要経済指標予測(2024年11月29日)―

10月家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲1.8%程度と3カ月連続減少を予測。(12月6日発表)


 9月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は前年同月比▲1.1%と2か月連続の減少になりました。

 私立大学などの「授業料等」は実質・前年同月比+16.3%増加しました。また、前年に比べ祝日が多かった影響などが出て和食などの「外食」は実質・前年同月比+9.8%増加しました。

 一方、自動車購入などの「自動車等関係費」が実質・前年同月比▲20.1%の減少になりました。台風や秋雨前線の影響で客足が伸びなかった可能性があります。給排水関係工事費などの「設備修繕・維持」は実質・前年同月比▲9.0%減少しました。

 実質・季節調整済み前月比は、実質▲0.3%と2カ月ぶりの減少になりました。デフレーターの全国消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比は+2.9%になりました。

 財・サービス別の前年同月比をみると、財は実質・前年同月比▲1.9%と19カ月連続の減少。サービスは、実質・前年同月比▲0.5%と2カ月連続の減少になりました。

 10月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲1.8%程度と9月の▲1.1%から減少率が拡大すると予測します。前月比は▲0.9%程度と 2 カ月連続の減少になるとみました。

 家計調査で実質化に使うデフレーターである全国消費者物価指数は、日本銀行が2%の目標に使用している「生鮮食品を除く総合」ではなく、「持家の帰属家賃を除く総合」です。「持家の帰属家賃を除く総合」の前年同月比は1月+2.5%、2月+3.3%、3月+3.1%、
4月+2.9%、5月+3.3%、6月+3.3%、7月+3.2%、8月+3.5%、9月+2.9%、10月+2.6%と推移しています。デフレーターは、10月の家計調査・実質消費支出・前年同月比に関しては9月から0.3ポイントの増加要因になります。

 関連の消費統計をみると、新車新規登録届出台数(乗用車)の前年同月比は9月+0.8%から10月は+1.0%と増加率が0.2ポイントと僅かに改善しました。前月比は+2.1%です。商業販売額指数・小売業の前年同月比は、10月速報値+1.6%で、9月+0.7%から増加率が0.9ポイント増加しています。 一方、全国百貨店売上高・前年同月比は9月+2.3%の増加から10月▲0.7%減少へと3.0ポイント悪化しています。また、日本チェーンストア協会のスーパー売上高の前年同月比は9月+1.0%から10月▲1.3%へと増加率が2.3ポイント悪化しました。

 景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状水準判断 DI・季節調整値は、23年10月 50.4、11月49.8、12月50.0、24年1月47.9、2月49.3と推移してきましたが、3月48.3、4月46.2、5月43.8と2カ月連続で低下したあと、6月46.6、7月45.9、8月47.5、9月47.4、10月45.0と推移しています。

 こうした様々なデータを総合的に判断して予測しました。

※24 年10月は筆者予測


10月景気動向指数・速報値・一致CIは、2カ月連続前月差上昇を予測。(12月6日発表)

 10月速報値の一致CIは前月差+2.2程度の上昇と予測します。前月差上昇は 2 カ月連続です。

 一致系列で、速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の6系列が前月差寄与度プラスになり、鉱工業生産財出荷指数、輸出数量指数の2系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

 一致CIの第1系列である鉱工業生産指数・10月速報値・前月比は+3.0%と、2 カ月連続の上昇となりました。全体15業種のうち、生産用機械工業や自動車工業など11業種が上昇した一方、電子部品・デバイス工業など4業種は低下という結果になりました。

 10月の先行CIは前月差▲0.1程度と2 カ月ぶりの下降になると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、マネーストック、東証株価指数の3系列が前月差寄与度プラスに、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの6系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

※24 年 10 月は筆者予測


10月の先行DIは55.6%程度、一致DIは62.5%程度とどちらも景気判断の分岐点50.0%を上回ると予測。

 10月の一致DIは62.5%程度と景気判断の分岐点の 50%を上回ると予測します。10月の一致DIでは、データが利用可能な8列中、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、有効求人倍率、輸出数量指数の5系列がプラス符号に、鉱工業生産財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業の3系列がマイナス符号になると予測します。

 10月の先行DIは55.6%程度と景気判断の分岐点の 50%を上回ると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、新設住宅着工床面積、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号に、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数の4系列がマイナス符号になるとみました。


12月6日公表の10月速報値で、景気の基調判断が「下げ止まり」から「上方への局面変化」に上方修正へ。

 景気判断が「下げ止まり」から「上方への局面変化」に上方修正されるには、「7カ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分以上、かつ、当月の前月差の符号がプラス」になることが必要です。 10月速報値の一致 CI の前月差が予測通り+2.2のプラスになると、7カ月後方移動平均前月差3カ月累積プラスが+1.00と1標準偏差の+0.88を上回り、景気判断が「上方への局面変化」になります。

1月10日公表の11月速報値で、景気の基調判断が「上方への局面変化」から「改善」に上方修正となる条件は一致CI前月差+0.1の上昇だが・・・。

 景気判断が、景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」になる可能性が、早ければ1月10日発表の11月速報値の景気動向指数で出てきます。「改善」になる条件は、一致CIの「原則として3カ月以上連続して、3カ月後方移動平均が上昇。かつ、当月の前月差の符号がプラス」です。10月速報値の一致 CI3カ月後方移動平均の前月差は+0.10程度のプラスが見込まれ、9月・10月と2か月連続でプラスになるとみられます。

 過去の数字が大きく変わらないという条件下、11月速報値で、一致CIが0.1でも前月差プラスにさえなれば、3カ月後方移動平均の前月差が3カ月以上連続してプラスとなり、景気判断が「改善」になります。

 但し、鉱工業生産指数の10月速報値と同時に発表された製造工業生産予測指数の11月前月比は▲2.2%の低下で、経産省の先行き試算値最頻値は同▲4.1%、90%の確率に収まる範囲は▲5.3%~▲3.0%と、マイナスになる見込みです。生産指数からみると、判断の上方修正は難しいかもしれません。他の採用系列の動向にもよりますが、11月の景気判断が「改善」に戻るかどうかは、生産指数以外の採用指標の動向によるところが大きい状況です。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。