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11月家計調査・実質消費支出・前年同月比は4カ月連続減少か。11月景気動向指数・一致CIは3カ月ぶりに前月差下降に。基調判断は「下げ止まり」継続の見込み。―日本の主要経済指標予測(2024年12月27日)―

11月家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲0.7%程度と、減少率は縮小するものの4カ月連続減少を予測。(1月10日発表)

 10月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は前年同月比▲1.3%と3カ月連続の減少になりました。

 葬儀関係費などの「諸雑費」は実質・前年同月比+13.4%増加しました。「電気代」は実質・前年同月比+16.3%増加しました。また、一部自動車メーカーの販売再開の影響などで自動車購入など自動車等関係費が実質+1.4%増加しました。

 一方、外壁・塀等工事費などの「設備修繕・維持」が実質・前年同月比▲17.1%の減少になりました。私立大学などの「授業料等」は実質・前年同月比▲13.8%減少しました。また、10月の気温が前年に比べ高かったことによる秋冬物衣料の需要減の影響で、背広服、婦人用コートなどの「洋服」は実質・前年同月比▲18.4%減少しました。

 実質・季節調整済み前月比は、実質+2.9%と2カ月ぶりの増加になりました。デフレーターの全国消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)の前年同月比は+2.6%になりました。

 財・サービス別の前年同月比をみると、財は実質・前年同月比▲1.4%と20カ月連続の減少になりました。半耐久財が実質▲7.9%の減少になったことが影響しました。サービスは、実質・前年同月比▲1.7%と3カ月連続の減少になりました。

 11月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲0.7%程度と10月の▲1.3%から減少率が縮小すると予測します。前月比は+1.8%程度と2カ月連続増加になるとみました。気温が低下したことで冬物衣料などが動いたことなどが影響したと思われます。

 家計調査で実質化に使うデフレーターである全国消費者物価指数は、日本銀行が2%の目標に使用している「生鮮食品を除く総合」ではなく、「持家の帰属家賃を除く総合」です。「持家の帰属家賃を除く総合」の前年同月比は1月+2.5%、2月+3.3%、3月+3.1%、
4月+2.9%、5月+3.3%、6月+3.3%、7月+3.2%、8月+3.5%、9月+2.9%、10月+2.6%、11月+3.4%と推移しています。デフレーターは、11月の家計調査・実質消費支出・前年同月比に関しては10月から0.8ポイントの減少要因になります。

 関連の消費統計をみると、新車新規登録届出台数(乗用車)の前年同月比は10月+1.0の増加から11月は▲3.9%減少へと4.9ポイント悪化しました。前月比は▲6.4%の減少です。商業販売額指数・小売業の前年同月比は、11月速報値+2.8%で、10月+1.3%から増加率が1.5ポイント増加しています。 一方、全国百貨店売上高・前年同月比は10月▲0.7%の減少から11月+3.4%増加へと4.1ポイント改善しています。また、日本チェーンストア協会のスーパー売上高の前年同月比は10月の▲1.3%減少から11月+3.5%へと増加率が4.8ポイント改善しました。

 景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状水準判断 DI・季節調整値は、23年10月 50.4、11月49.8、12月50.0、24年1月47.9、2月49.3と推移してきましたが、3月48.3、4月46.2、5月43.8と2カ月連続で低下したあと、6月46.6、7月45.9、8月47.5、9月47.4、10月45.0、11月48.2と推移しています。

 こうした様々なデータを総合的に判断して予測しました。

※24 年11月は筆者予測


11月景気動向指数・速報値・一致CIは、3カ月ぶりに前月差下降を予測。(1月10日発表)

 11月速報値の一致CIは前月差▲1.5程度の下降と予測します。前月差下降は3カ月ぶりです。

 一致系列で、速報値からデータが利用可能な8系列では、有効求人倍率1系列が前月差寄与度プラスになり、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、輸出数量指数の7系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

 一致CIの第1系列である鉱工業生産指数・11月速報値・前月比は▲2.3%と、2 カ月ぶりの低下となりました。全体15業種のうち、生産用機械工業、自動車工業、金属製品工業など11業種が低下した一方、汎用・業務用 機械工業、輸送機械工業(除.自動車工業)、石油・石炭製品工業の3業種は低下、窯業・土石製品工業1業種は横這いという結果になりました。

 11月の先行CIは前月差▲2.2程度と3カ月ぶりの下降になると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列では、マネーストック、東証株価指数の2系列が前月差寄与度プラスに、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、新設住宅着工床面積、消費者態度指数、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの7系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

11月の先行DIは55.6%程度、一致DIは87.5%程度とどちらも景気判断の分岐点50.0%を上回ると予測。


 11月の一致DIは87.5%程度と景気判断の分岐点の 50%を上回ると予測します。11月の一致DIでは、データが利用可能な8列中、生産指数、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率、輸出数量指数の7系列がプラス符号に、商業販売額指数・小売業1系列がマイナス符号になると予測します。前月差マイナスのCIとは逆にDIはほとんどの系列がプラスになると思われます。

 11月の先行DIは55.6%程度と景気判断の分岐点の 50%を上回ると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新設住宅着工床面積、日経商品指数、東証株価指数の5系列がプラス符号に、新規求人数、消費者態度指数、マネーストック、中小企業売上げ見通しDIの4系列がマイナス符号になるとみました。


1月10日公表の11月速報値では、景気の基調判断が「下げ止まり」継続に。


 景気判断が「下げ止まり」から「上方への局面変化」に上方修正されるには、「7カ月後方移動平均(前月差)の符号がプラスに変化し、プラス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分以上、かつ、当月の前月差の符号がプラス」になることが必要です。11月速報値の一致 CIの前月差が予測通り▲1.5のマイナスになると、7カ月後方移動平均前月差3カ月累積プラスが+0.60と1標準偏差の+0.88を下回り、景気判断は「下げ止まり」のままになると思われます。

 2月7日公表の12月速報値で、景気の基調判断が「下げ止まり」から「上方への局面変化」への上方修正は、一致CI前月差+5.6もの大幅上昇が必要なので、まず無理か。

 過去の数字が大きく変わらないという条件下、「7カ月後方移動平均の3カ月の累積が1標準偏差分以上のプラス幅、かつ、当月の前月差の符号がプラス」になるためには、2月7日公表の12月速報値で、一致CIが前月差+5.6の大幅プラスになることが必要です。

 但し、鉱工業生産指数の11月速報値と同時に発表された製造工業生産予測指数の12月前月比は+2.1%の上昇で、経産省の先行き試算値最頻値は同▲0.3%、90%の確率に収まる範囲は▲1.6%~+1.0%の見込みです。生産指数からみると、判断の上方修正は難しい状況です。

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。