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10月景気動向指数・一致CIを使った、景気の基調判断は7カ月連続「改善」継続に。 10月家計調査・実質消費支出・前年同月比は8カ月連続減少か。―日本の主要経済指標予測(2023年12月1日)―

10月の景気動向指数・一致CI前月差+0.2程度で3カ月連続前月比上昇の見込み。(12月7日発表)

 景気動向指数の基調判断は、4月改定値で景気拡張の可能性が高いことを示す「改善」に、それまでの景気拡張の動きが足踏み状態になっている可能性が高いことを示す「足踏み」から、上方修正されました。その後5月~9月では速報値、改定値とも「改善」になり、6カ月連続「改善」となっています。
 
 景気動向指数では、一致CIを使っての基調判断が機械的に行われています。当月の一致CIの前月差が一時的な要因に左右され安定しないため、3カ月後方移動平均と7カ月後方移動平均の前月差を中心に用い、当月の変化方向(前月差の符号)も加味して行われます。基調判断は「改善」「足踏み」「局面変化(上方へのor下方への)」「悪化」「下げ止まり」の5つがあります。
 
 一致CI前月差・9月速報値は+0.1の上昇でした。上昇は2カ月連続です。9月改定値で労働投入量が前月差寄与度▲0.11とマイナス寄与で加わりましたが、生産指数が上方修正されるなどプラス寄与のものもあり、前月差は+0.1で変わりませんでした。また、9月改定値で先行CI前月差は▲0.3と2カ月ぶりの下降でした。
 
 10月速報値の一致CIは前月差+0.2程度の上昇と予測します。一致系列で、速報値からデータが利用可能な8系列では、生産指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・小売業、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の5系列が前月差寄与度プラスに、鉱工業生産財出荷指数、耐久消費財出荷指数、輸出数量指数の3系列が前月差寄与度マイナスになると予測しました。
 
 一致CIの第1系列である鉱工業生産指数・10月速報値・前月比は+1.0%の増加となりました。全体15業種のうち、電子部品・デバイス工業や自動車工業など10業種が上昇、鉄鋼・非鉄金属工業など5業種が低下となりました。
 
 10月の先行CIは前月差▲0.5程度の下降と予測します。2カ月連続の下降になるでしょう。速報値からデータが利用可能な9系列では、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、新規求人数、消費者態度指数、マネーストックの4系列が前月差寄与度プラスに、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル) 、新設住宅着工床面積、日経商品指数、東証株価指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列が前月差寄与度マイナスになると予測します。

※23年10月は筆者予測

10月の先行DIは55.6%と一致DIは62.5%とともに4カ月ぶり50%超か。

 10月の一致DIは62.5%程度と4カ月ぶりに景気判断の分岐点の50%を上回ると予測します。10月の一致DIでは、データが利用可能な8列中、生産指数、耐久消費財出荷指数、投資財出荷指数、商業販売額指数・卸売業、有効求人倍率の5系列がプラス符号に、鉱工業生産財出荷指数、商業販売額指数・小売業、輸出数量指数の3系列がマイナス符号になると予測します。
 
 10月の先行DIは55.6%程度と景気判断の分岐点の50%を4カ月ぶりに上回ると予測します。速報値からデータが利用可能な9系列中、最終需要財在庫率指数(逆サイクル) 、鉱工業生産財在庫率指数(逆サイクル)、新設住宅着工床面積、日経商品指数、中小企業売上げ見通しDIの5系列がプラス符号に、新規求人数 、消費者態度指数、マネーストック、東証株価指数の4系列がマイナス符号になるとみました。

10月・11月も景気基調判断は「改善」継続の可能性が大きいか

 10月でも景気の基調判断は7カ月連続で「改善」になると予測します。景気拡張の動きが足踏み状態になって いる可能性が高いことを示す「足踏み」に下方修正されるための条件は、「当月の前月差の符号がマイナス」かつ、「3カ月後方移動平均(前月差)の符号がマイナスに変化し、マイナス幅(1カ月、2カ月または3カ月の累積)が1標準偏差分(1.16)以上」です。一致CIの前月差は+0.2の上昇になると予想され、また3カ月後方移動平均の前月差が+0.23程度のプラスになると予測され、2カ月と3カ月の累積も小幅マイナスにとどまるため、10月では景気の基調判断は「改善」が維持される可能性が高いと思われます。
 
 一致CI採用第1系列の生産指数(鉱工業)の先行きを製造工業予測指数でみると、11月前月比▲0.3%の低下の見込みです。なお、過去のパターン等で製造工業予測指数を修正した経済産業省の機械的な補正値でみると、11月分の前月比は先行き試算値最頻値で▲1.9%の低下になる見込みです。90%の確率に収まる範囲は▲3.0%~▲0.8%となっています。総じてみれば、生産指数は前月比低下になると予測されます。
 
 生産指数からみて、11月の一致CIの前月差はマイナスになる可能性もありそうです。ただ、10月が予測どおりだとすると、一致CIの3カ月後方移動平均(前月差)の3カ月累積のマイナス幅が振幅目安の標準偏差▲1.16超になるためには、11月の前月差が▲3.6以上の大幅マイナスになる必要があります。そのため11月も景気の基調判断は「改善」にとどまる可能性が大きいと思われます。
 

10月家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は9月から減少率が拡大、8カ月連続の減少か(12月8日発表)

 9月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は前年同月比で▲2.8%と7か月連続の減少になりました。半導体不足の緩和による自動車の販売増を背景に、「自動車等関係費」が実質・前年同月比+22.1%、電気・ガス価格激変緩和対策事業により価格は低下したものの猛暑による需要増で「電気代」が実質・前年同月比+10.6%、外出した人が増加したことや物価上昇などによる内食需要の縮小傾向で「外食」が実質前年同月比+9.3%と増加しました。
 
 一方、携帯電話通信料は低廉な料金プランへ移行した人の増加で、固定電話通信料は契約数の減少で「通信」が実質・前年同月比▲7.1%、トマト、さやまめなどの生育不良による価格高騰の影響で「野菜・海藻」が実質・前年同月比▲8.5%の減少となりました。
 
 実質・季節調整済み前月比は+0.3%と2か月連続の増加になりました。ちなみに名目消費支出の前年同月比は+0.7%で2カ月連続の増加です。デフレーターの全国消費者物価指数(持家の帰属家賃を除く総合)は+3.6%でした。
 
 財・サービス別の前年同月比をみると、財は実質・前年同月比▲2.9%と7か月連続の減少。サービスは、実質・前年同月比+0.3%、4か月ぶりの増加になりました。
 
 10月の家計調査・二人以上世帯・実質消費支出の前年同月比は▲4.3%程度と減少率は9月の▲2.8%から拡大し、8カ月連続の減少になると予測します。前月比は▲0.8%程度の減少になるとみました。
 
 家計調査で実質化に使うデフレーターである全国消費者物価指数は、日本銀行が2%の目標に使用している「生鮮食品を除く総合」ではなく、「持家の帰属家賃を除く総合」です。「持家の帰属家賃を除く総合」の前年同月比は9月+3.6%、10月+3.9%と推移しています。デフレーターは、10月の家計調査・実質消費支出・前年同月比に関しては9月から0.3ポイントの減少要因になります。
 
 関連の消費統計をみると、10月新車新規登録届出台数(乗用車)の前年同月比は+13.1%で9月の+11.8%から増加率が1.3ポイント拡大しています。また、日本チェーンストア協会のスーパー売上高の10月の前年同月比は+3.3%と9月+2.8%から0.5ポイント増加率が拡大しました。一方、10月全国百貨店売上高・前年同月比は+6.1%で9月の+9.2%から3.1ポイント鈍化しています。なお、商業販売額指数・小売業の前年同月比は、10月速報値+4.2%で、9月+6.2%から2.0ポイント鈍化しています。
 
 景気ウォッチャー調査の家計動向関連の現状水準判断DI・季節調整値は、1月44.2、2月50.2、3月50.1、4月50.7、5月50.7、6月50.0、7月52.8、8月52.7、9月49.6、10月49.2と最近は7月をピークに緩やかに低下しています。
 
 こうした様々なデータを総合的に判断して予測しました。

 ※23年10月は筆者予測

※なお、本投稿は情報提供を目的としており、金融取引などを提案するものではありません。