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キキョウ:秋吉台の花
秋吉台には秋の七草うち、フジバカマが自生しません。
秋の七草は万葉集巻八に山上憶良が「萩の花 尾花 葛花 瞿麦の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」と詠んだのが始まりのようですがキキョウが見えません。
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朝貌はアサガオなのですが今日のアサガオは遣唐使が種を薬として渡来した平安時代以降の生薬で、万葉集の朝貌は桔梗(キキョウ)か槿(ムクゲ)と言われます。
ところが巻十に「朝貌は朝露負ひて咲くといへど夕陰にこそ咲きまさりけれ」と夕方の花を愛でているのに、槿は夕には萎んでいますから朝貌とは桔梗と推定されています。
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時代が下がって901年頃に編纂された「新撰字鏡」に「桔梗は阿佐加保(アサガオ)のこと」ともあります。
漢字の「桔梗」を充てることで「きちこう、きっこう」が訛り、キキョウに落ち着きます。
枕草子や源氏物語にもキキョウは現れます。
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キキョウ自体は東アジアに広く分布し、「橘のような真直な茎」なので「桔梗」としたようです。
漢方ではおなじみで根を喉の薬にしています。
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秋吉台では5ヶ所程度の自生地があり早い時期は白花のキキョウも咲くようですから七草の時期を待たずに鑑賞したいものです。
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盛夏の花なので真面目に探すと秋吉台上は日陰も水場もないので危険ですが。