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夫婦別姓「選択制だから問題はない」は本当?

石破政権になって、あらゆるものがおかしくなりつつある。
選択的夫婦別姓もそうだ。
石破首相は推進派のようだし、立憲も賛成らしい。
これは大変なことになりそうだ。
今こそ、選択的夫婦別姓とは何なのか?
どんな結果をもたらすのか? 
きちんと理解しておかなければいけないと思う。

 この夫婦別姓は、3、4年前にも大変問題になりました。
 その時、私は3、4冊の本を読みました。
 今回紹介する「夫婦別姓、選択制だから問題はないは本当か?」も読み、 この本は薄い本だけれど、簡潔に纏められていていい本だと思いました。
 だから、その時、私は友人のユウーチューブに出してもらい、その内容を話しました。
 ところが、今、その動画を捜すと、何処にも見当たらないのです。
 それで、再度、文章でこの本を紹介しておこうと思うのです。

◎「選択制だから何も問題はない」のでしょうか?

■ 見落とされる二つの問題点
 
 賛成派は、「選択的」だから、別姓を希望する夫婦がただ別姓を選べるようになるだけで、誰も損しないと主張します。
 ただ、こういう主張は、「選択的」といえ、別姓制度が日本の家族にもたらす二つの重大な問題を見落としています。

 別姓制度は、日本の家族制度の根幹を支えてきた「ファミリーネーム」(家族の共通の姓)の消滅を意味することであり、
 夫婦別姓は、実は「親子別姓」でもあり、「子供の利益」のためになるとはいいがたいことです。

① 別姓制度で、「ファミリーネーム」がなくなる
■ 同姓制度を前提とする「ファミリーネーム」
 
 現行の夫婦同姓制度の下では、姓は「個人の名称」であると同時に「家族共通の名称」でもあります。
 最高裁判所は平成27年、同姓制度を定めた民法750条を合憲と判断した際、日本人の姓は「家族の呼称」でもあると認めています。さらに、「家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性がある」「子が両親と同氏である仕組みにも意義がある」と述べ、家族や子供にとっての「ファミリーネーム」の存在意義を評価しています。

 「選択的」といえ、別姓制度を導入すると、姓は純然たる「個人の名称」に変質し、「家族共通の名称」(ファミリーネーム)は制度として意味を失うのです。

■ 「家庭の一体感」はどうなる

 当然ながら、直接的・間接的問題が予測されます。
 そもそも、「ファミリーネーム」は、家族の一体感やまとまりを表すシンボルといえるものだから、それが「個人の名称」になると、家族の絆や一体感が希薄化していくという問題が生じてきます。
 もちろん、「家族の一体感」を支えるのは、「ファミリーネーム」だけでないでしょう。愛情や思いやりなどの精神的要素は何より大切でしょう。
 とはいえ、それらは時に揺らぐこともある。日本においては、それをカバーしてきたのが、夫婦や家族がワンチームとしての意識を保ちやすい「ファミリーネーム」だと言えなくもないのです。

② 別姓制度は、「子供の利益」に反する
■ 見落とされる「子供の利益」

 二つ目に見落とされるのは「子供の利益」です。

 別姓を選んだ夫婦の子供にとって、夫婦別姓は父母いづれかとの「親子別姓」を意味します。

 そもそも、子供にとって両親はワンセットという意識が強い。子供が精神的に健やかに成長する上で、「家族の一体感」が重要なことは異論が少ないと思われ、子供は父母と同じ姓を名乗ることによって、同じ家族の一員としての自覚とアイデンティティを自ずと、より確かなものとしていくことができると思われる。

 夫婦同姓を合憲とした最高裁判決も、「子供が両親と同氏である仕組みにも意義がある」と、親子が同姓であることの意義を認めています。

■ 子供の姓をどうするか

 別姓夫婦の場合、結婚や出生の際に、子供の姓をどうするかという悩ましい問題も出てきます。 

 制度の組み立て方によっては、親の恣意で子の氏が振り回される恐れが多分にあります。したがって、子の氏をどうするかについては、極めて慎重な制度設計が必要であって、少なくとも無責任な親が子の姓をもてあそぶことがないように、歯止めを掛けなければいけないのです。

 夫婦の姓をどうするか、だけを決めればいいとはならないのです。
 「子供の利益」を見落としてはいけないのです。

■ 経過措置における「選び直し」で社会は大混乱

 夫婦別姓制度が導入されると、すでに結婚している同姓夫婦も、同姓か別姓かの選び直しの問題にも直面することになります。
 例えば、法務省案は、「経過措置」として、改正法の施行日から一年間、結婚前の姓に戻ることができるとしています。

 新たに別姓に変更しようとする夫婦の場合、戸籍の筆頭者を夫婦のどちらにするかという問題や、子供の姓をどうするかという問題に直面します。
 選び直しの経過措置は、一年ほど設けられるでしょうが、その一年の間に、大混乱になります。
 夫婦別姓は、選択した人だけの問題だけでなく、全国民的な大問題なのです。


◎ 別姓制度を導入すべき積極的な理由はあるのでしょうか?
■ 別姓制度に賛成する人々が掲げる6つの理由
 
別姓導入に賛成する人々は、色々な理由を上げています。

。改姓による不便や不利益の解消
。アイデンティティの喪失感の解消
。同姓制度は女性差別だから
。同姓の義務化は日本だけだから
。家名を継承するため
。少子化対策としても必要

果たして、これらは本当の事なのでしょうか。
別姓を導入しなければ解決出来ない問題なのでしょうか。

① 「改姓による不便・不利益」は旧姓使用で解決できる。

 今では、マイナンバーカード、住民票、印鑑証明などの公的証明書は、
旧姓併記が可能となって旧姓が公証に役立つようになり、また、税理士や弁護士などの仕業、医師・看護師などの師業と呼ばれるほとんどの資格で旧姓の併記・使用が可能となりました。

 さらに判決文や令状などの裁判関係文書にも旧姓使用が認められるようになる一方、民間企業でも旧姓使用容認の動きが着実に広がり、平成13年の30・6%から、30年は67・5%へと大幅に増加しています。   (労務行政研究所調査)

 この改姓による不利益の問題について、
最高裁は先に触れた合憲判決の際、「氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得る」と指摘しています。

■ 旧姓使用に根拠を与える法整備を!

 戸籍に「婚姻前の氏を通称として使用する」旨を記載するとともに、国や自治体や事業者に「通称使用のための必要な措置」を講ずることを義務付ける法律も提案されています。(高市早苗衆議院議員による)

 結婚後も旧姓をあらゆる公的場面で使用することや、戸籍名との併記が可能になれば、研究者が結婚改姓に対して、「キャリア断絶の危機」などと大騒ぎする必要もなくなるはずです。

 そうすれば、「ファミリーネーム」消失や「子供の利益」を損なわずにすむという事になります。

② 「アイデンティティ喪失感の解消」はどうすべきか。
■ 夫婦は話し合って解決すべき

 確かに、結婚改姓にアイデンティティの喪失や苦痛を感じる人がいることは理解できないわけではありません。
 しかし、この問題も、旧姓の併記・使用が法的に裏付けられることで、かなり解決できるものと思われます。

 結婚改姓は夫婦のいづれかでいいわけで、本質的には結婚相手と話し合って解決すれがいい問題だと思われます。
 こうした問題を解決するために、「ファミリーネーム」や「子供の利益」を犠牲にしてまで法改正をする考え方が、多くの国民に支持されるとは思えないのです。

③ 夫婦同姓は「女性差別的」なのか。
■ 日本の夫婦同姓が体現する「男女平等」

 「国連の是正勧告にもかかわらず、未だに夫婦同姓を民法で定めている国は日本だけ」と訴える女性もいます。
 ちなみに、「国連の是正勧告」というのは、国連の女子差別撤廃委員会が、わが国の同姓制度を「差別的な規定」と批判して、是正を勧告していることを指すものです。

 まず、夫婦同姓を規定している民法750条は、結婚時に夫婦が話し合いの上、夫か妻の氏(姓)のどちらかを選択するという規定であり、夫の姓に強制的に統一することを求めるものではないという事です。
 いわば「選択的同姓制度」であり、「男女平等という近代的家族法の理念に適うもの」(井戸田博史帝塚山大学名誉教授)とされ、最高裁も「男女間の形式的な不平等が存在するわけではない」と指摘しています。

■ まずは、「現実の不平等と力関係」の除去を目指すべき

 そのためには、民法750条の正しい趣旨を啓発するなど、国民の意識改革に取り組むべきでしょう。
 いきなり、「ファミリーネーム」や「子供の利益」という重要な法益を損なう別姓制度を導入せよというのは、論理の飛躍すぎです。

④ 「選択制」は「世界の流れ」なのか。
■ 多様性に満ちた世界の「夫婦の姓」の実態

 別姓を推進する人たちは、「同姓の義務付けは日本だけ」とも主張しています。しかし、姓名のあり方は、国によって全く違います。

 実際は、スペインを除くと、「ヨーロッパのほとんどの国では、今日大多数の女性が夫の姓を単独で、あるいは自分の姓と並べて名のっている」のが現状だと言われます。(『地図とデータで見る女性の世界ハンドブック』)

 ドイツでは、今も夫婦同姓が原則で、別姓は例外的に認められている。
実は、ヨーロッパでは、別姓夫婦の大半も結合性だと言われ、イギリスのように、夫婦の姓について法律がない国もあります。
 かつて法務省が公表した民法改正案のような同姓と別姓の単純な選択制を採る国は、むしろ、スエーデンやデンマークなど、世界でも限られています。

 他方、中国や韓国は、あるいはベルギーやモロッコなどは、完全別姓で、同姓は選択できません。

 中には、イスラム圏の国々や、仏教国でも、ミャンマーのような姓自体を持たない国もあります。
 そうしたなか、同姓制度は、日本の他にもジャマイカやインド(ヒンズー教)でも見られます。(平成22年、衆議院調査局法務調査室資料)。
 両国とも、夫か妻の姓のいづれかを選べる日本と違って、夫の姓への改姓しか認められていません。
 ただ、ジャマイカの場合、法律でなく慣習法に基づくものですが、妻は旧姓を夫の姓の前に置くことができるとされます。

 トルコも夫の姓が原則です(最近は、申請すれば、妻は旧姓を夫の姓に加えることが可能となりました。
 ともあれ、「同姓の義務化は日本だけ」は事実に反しています。

 結局、夫婦の姓のあり方に関する世界各国の法制度や慣習はきわめて多様性に満ちていて、ですから、「選択制は世界の流れ」ではありません。

■ 夫婦同姓は、「庶民の慣行」から始まった

 さらに言うと、日本の同姓制度は、近代日本建設のプロセスで、政府でなく一般庶民が選択した「家族の一体感」を強めるための日本独自の優れた仕組みとさえ言えます。

 林道義氏は、「世界の家族は絆を強める仕掛けをそれぞれに持っている。日本の家族の絆を強めている重要な特徴の一つが家族同姓である。夫婦同姓は日本の家族が長い歴史をかけてたどり着いた一つの到達点である」と。
(「家族の復権」)

 そもそも、日本に同姓制度が導入されたのは、明治三十一年にできた明治民法にさかのぼります。明治政府は当初、武士階級の慣習から夫婦別姓を布告・指導しましたが、しかし明治民法の成立前から、夫婦同姓の意義や慣行が庶民の間に定着していたのです。

 その結果、各地方から政府の別姓政策に対して異議申し立てが続出する一方で、明治初期の不平等条約の改正という外交課題を受けて、明治民法の編纂においては、キリスト教的な夫婦一体論に立つ欧米の法典が参考にされることになり、そうした二つの動きを受けて、明治民法は夫の姓を優位とする夫婦同姓の原則を採用しました。
 さらに、戦後の民法改正によって、夫優位の夫婦同姓から、夫か妻の姓のどちらかを選べる男女平等に基づく制度になったのです。

■ 世界に誇り得る日本の夫婦同姓と戸籍制度

 日本独自の同姓制度を支えているのが、家族単位で氏(姓)を編製原理とする戸籍制度です。

 「1戸籍1姓」の日本の戸籍制度は民法が定める結婚や家族のあり方を補完するためのシステムであると同時に、「世界に冠たる」(大森政輔元内閣法制局長官)公示登録手続きでもあります。

 戸籍によって、国民は結婚相手が重婚でないことを知ったり、近親婚のチェックや相続権者の範囲の調査など親族間の諸問題を知ることができます。

 それに対して、欧米諸国での身分関係の登録は個人単位であり、しかも、一般的に出生・結婚・離婚・死亡などの届け出は、その都度その場所で、バラバラになされます。
 当然、重婚のチェックは出来ませんし、子供の共同相続制も取り得ません。欧米では、遺言相続が一般的になっているのはそのためです。

 このように、同姓制度と戸籍制度はコインの裏表の関係にあり、いずれも、「家族の一体感」を強めるための世界に誇り得る制度であることが分かるのです。


⑤ 夫婦別姓で「家名」を残すことができるか
■ 根本的な「自己矛盾」を抱えた主義

  別姓導入で「ファミリーネーム」が消滅すれば、「家名」という概念自体が、いずれ消滅してしまいます。

⑥ 別姓制度は「少子化対策」となるのか。
■ 別姓導入で結婚・出産がしやすくなる?

 要は、結婚改姓が嫌で結婚をためらっている人たちが、別姓導入をすべきといっているようです。
 しかし、結婚しようとする大多数の国民にとって、逆に、別姓導入によって結婚や出産のハードルが上がり、結果として、少子化を助長してしまいかねません。

■ 「名字は別々よね! 今は別姓の時代なんだから」

 しかし、別姓は「負の影響」を日本社会にもたらしてしまう可能性が高いのです。
 いったん別姓制度が導入されれば、国民の1割どころか、全ての国民が結婚に際し、同姓にするか、別姓にするかの選択を突き付けられることになります。その結果、これから結婚しようとする男女にとって、結婚のハードルが一段と高いものなります。

 その上、子供の姓をどうするかという親や親族を巻き込みかねない問題が加わります。一段も二段も結婚のハードルが上がることになるでしょう。

◎ 別姓導入は、家族単位から個人単位の社会への「一里塚」

 「選択制夫婦別姓を認める民法改正には、戸籍制度の改革という次のステップがある。・・・個人の自立と尊厳という視点に立てば、個人単位こそ適合的である」(民法学者の二宮周平氏、『エコノミスト』2000年11月24日号)。

 「『別姓の先』には色々ある。・・・『家』のなごりを民法から一掃すること。法律婚と事実婚を限りなく等価に置き、どちらのスタイルも自由に選択できるようにすること」
(別姓訴訟原告側弁護団長の榊原富士子氏、『結婚が変わる。家族が変わる。--家族法・戸籍法大改正のすすめ』)。

 「夫婦の同居・協力・扶養義務の規定もいらない」
 (福島瑞穂参議院議員)

「選択的」という言葉によって、国民を油断させて別姓制度を導入して、それによって「ファミリーネーム」を廃して、「家族の一体感」を弱め、さらに家族単位の戸籍を個人籍に変えることによって、家族観念を破壊し、その上で、「夫婦の同居・協力・扶養義務」を排除して、法律婚と事実婚の区別をなくしてしまうーー。これは、事実上の「家族解体計画」とでも、言うべきものでしょう。

おわりに・・。
家族と社会の存立を守るため、今こそ別姓反対の声を!
ーーーーーと、この本は結んでいます。

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家庭は女性差別の温床とか、家族は嫌いだとか、家族はいらないとか、
左の方々は声高に叫び、その先は、世界に冠たる日本の戸籍の破壊を企んでいる人が多くいるようです。
彼らの声の奥に隠された意図(家族解体、戸籍の破壊、子供の利益を考えない)を見抜いて、別姓制度の先に何が起こるのかを、私達は冷静に見つめて、騙されない様にしないといけないと思います。

もっと書くと、韓国の別姓制度は、近代的なものでなく、血縁主義であって、妻は夫の姓を名乗れない。どちらかというと妻は排除されてとか、スエーデンなどは、日本に比べて、子供の犯罪率が高く、離婚率も高くとか、悪口になってしまいそうで、猛批判がきてしまうので、ここで、終わりにしたいと思います。

長い文章に、お付き合い下さり、ありがとうございました。
 

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