今月の1冊~2020.08
びっくりするほど暑かった8月。
そしてびっくりするほど忙しく、全然本は進まず。
それでも、あぁこれはと思える本に出会える幸せ。
読む本は数あれ、ぐっとくる1冊にはそんなに簡単に出会えない。
そんな中でも毎月1冊もしあれば2冊、自分のなかでこれは・・と思ったものの感想を書いていこうと思います。
本の要約ではないと思うので気になる方は是非ご自身で読んでください!
今月は
上海フリータクシー フランク・ラングフィット著
園部 哲訳
その土地のリアルを知るにはどうする?の問いに対し、ユニークで鮮やかな解を導き、その実践の記録。タダでタクシーに乗せる代わりに、身の上話を聞かせてもらう。そして上海の、中国の今を紐解いていく。ドライバーであり、フィールドワーカーであり、ジャーナリストでもある作者自身の人柄もありつつ、中国のリアルがここにはある。そんな興味深い1冊でした。
昨年たまたま、中国は深センとおとなりの香港に行く機会があって、中国のパワーを感じていたところでした。そんなこんな過ごしていたら、色々なことが起こって、今は海外に行くなんて夢なんじゃないかという感じですが、なんというかこう、どうしたらあんなかんじのパワーが湧き出てくるんだろうかと、ずっと不思議に思っておりました。わたしの生まれた頃の深センなんて、こういっては怒られるかもしれないですがただの田舎町。それがあれよあれよと若い街になって、テクノロジーの浸透率なんで日本と比べものにならない。でも食堂に行けば、レトルトなんてなくて、小さなお店でたくさんの人が一から料理している、そんなハイテクなのかレトロなのかもわからない、でもすごいパワーあるという印象でした。
今回読んだ舞台は上海。とにかく一番大きい都市。そこにいる人々は一体何を考え、どう暮らしているのか。上海出身の友達の話をきいているような、まるで友達の、友達の話をきいている感じで本は進んでいきます。私にも上海出身の友達がいて、色々な話を聞くことがありますが、その話だけでもえ?そんなに違うの?って思っていましたが、今回の本でさらに違いを目の当たりに。もう違うというか、一緒にはしてはいけない、そんな気さえします。日本に生まれ、日本で暮らしたら、生きるってそんなに意識することないような気がします。もちろん事件は起こるけれど、みんなまぁまぁのところで生かされている感じの方が強いんじゃないでしょうか。ところが、上海は、きっと中国はもっと「今」を生きないといけない。きっとそんな感覚なのだと思います。人が多いから競争も大変、、なんてそんな話ではなく、こどもがおもちゃの貸し借りをめぐって、激闘を交わしているような、そんな感覚が毎日にあるんじゃないかなと思います。いいことも100倍でくるけれど、ショックも100倍でくる。極彩色なんだと思います。明日はどうなるのか?を本当に自分が選択していかないといけない、そんなリアルがあるのかな、とこの本を読んで改めて思いました。
よく、日中関係を書いた本があって、私も時々読みます。歴史として、政治として複雑な関係を続けてきた日本と中国。たしかにそういう分析的な見方も必要だと思います。でも、この本を通して、やっぱり国をつくるのは人だなと改めて感じ、国を知りたいなら人を知らないと、とこの本を読んで強く思いました。歴史をつくっているのは、人ですから。
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