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今月の1冊2021.02

まさかこんな年になっているとは誰も思わなかった2021年も着々と時は進んで2月。そろそろ寒いのもおしまいにならないかな、春が待ち遠しいです。春と聞くだけで、ちょっとだけ嬉しくなるので。
読む本は数あれ、ぐっとくる1冊にはそんなに簡単に出会えない。
そんな中でも毎月1冊もしあれば2冊、自分のなかでこれは・・と思ったものの感想を書いていこうと思います。
本の要約ではないと思うので気になる方は是非ご自身で読んでください!

今月は
オスマン帝国英傑列伝
600年の歴史を支えた 売る単、芸術家、そして女性たち  小笠原弘幸  

オスマン帝国と聞くと、中世にすごく大きかった強い国くらいのイメージ。そしてトルコのあたりときくと、アジアとヨーロッパとアフリカといろんな文化交流の地。そのくらいの感覚しか持っていませんでした。
同じ時代のヨーロッパはルネサンス真っ只中だったり、宗教改革だったりそれはそれで目白押し。日本は戦国時代真っ只中だったり江戸時代なんていう時代だったり。なにせ600年!!世界が揺れ動くなかでの600年は本当にいろいろな感性がぶつかりあったんだろうなとこの本を読んで改めて気づきました。

領土の拡大にはじまり、最盛期から滅亡まで、栄枯盛衰とはこういうことなんだなとしみじみと思いました。イスラム教がベースのこの国は、たしかにスルタンの絶対的存在が国を大きくしていたのは間違いないと思いますが、とても寛容な世界で、だからこそいろいろな文化が混ざって混沌としているにも関わらず600年も続いたんだなと思います。宗教ちがったら相容れないことも多そうだし、文化圏がそもそも違うから常識が違うだろうし、言葉もちがうし、、、そんな中、多様性をみとめあう何かがオスマン帝国にあった。そういうことなんだろうと思います。それがゆるぎないオスマン帝国の文化になったからこそ600年の月日が流れたのでしょう。

そしてこの文化、生きる人々の価値観は、芸術によって素晴らしいものに昇華したんじゃないかなと思います。数々の建築もだし、まさに文化が混ざりあって進化した絵画、踊りだったりそれこそ様々なものが日常や非日常のなかに自然に溶け込むことで、その文化の輪郭をはっきりさせていった、そう思えてならないです。今よりももっと自然に人々の暮らしと隣合わせで存在していたのかなとも思います。今はあ~なにか公共の施設が建つのねくらいにしか思わないことも、この時代ではそれこそ一丸となって建っていったのだろうし、建ったあとも大事な場所としてまさにそこで「暮らし」ていたのじゃないかなと。素晴らしいモノが芸術という衣装をまとってそれが当たり前にあるということだったのだろうなと思います。ひとつひとつがオスマン帝国を、それはそれは鮮やかに彩っていたのでしょうね。もちろん今では考えられないことも多かったとは思いますが、こう芸術という新たな提案をみんなで目の当たりにして、多様性と向き合っていたのかもと思いました。

昨今、特に日本になかでは、多様性のはなし、とても気になるトピックスだと思います。日本は島国だし、文化の交流は海を超えないと起きえない事情もあったかとは思いますが、デジタル化の波でそんなこともいってられないのも事実。国ひとつではなく世界があたかもひとつのオスマン帝国のようになったときに、私たちはどう考えていけばよいのか。
そのひとつが、芸術になるのかなと。はやり価値観って体感してこそ。だからこそモノという具体的なものがこれからキーワードになったりしていくのかなと。芸術はそこにとても良い影響があるんじゃないでしょうか。オスマン帝国、しばらく目がはなせないです。

今の時代だと、モノじゃない体験だというのも確かにそうだとは思います。でもなんというかモノの定義が今とは違うような気がしています。いまモノというと大量生産された、「何か」という側面が強いからモノの価値なんて云々となるけれど、誰かががんばってつくったものをはるばる誰かが運んできたというようなモノは体験と同じくらいか、もしかしたら人の手が多く関わっている分それ以上の価値があるんじゃないかと。だから、私はモノ、大好きです。その話はまた今度じっくり書いてみようと思います。

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