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売れる戦略の本質とは何か?──『新マーケティング原論』 著者 津田 久資(2023)
1. あなたの商品が売れない理由
「どうして自分の提案は響かないんだろう?」 「なぜ、あの商品は売れているのに、自分のは売れないのか?」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
マーケティングに関わる人なら、一度は考えたことがある問いだと思います。
本書『新マーケティング原論』は、そんな疑問に対する明確な答えを示してくれる一冊です。特に、マーケティング初心者や若手ビジネスパーソンにとって、戦略の基礎を理解し、実務に活かすためのヒントが満載です。
2. 売れる戦略とは?──マーケティングの本質
本書では、マーケティングを次のように定義しています。
「一定費用の下で、適切な買い手群にとってよりコストパフォーマンス(CP)の高い商品を生み出し、その存在を認知させ、その内容を理解させ、これを送り届けることによって、粗利を最大化する総合活動」
つまり、マーケティングとは単に「売る技術」ではなく、「顧客に価値を届けながら、企業の利益を最大化する戦略的な活動」だということ。目の前の売上だけでなく、長期的な成功を見据える視点が求められます。
3. フレームワークを活用し、戦略的に動く
では、どうすれば効果的なマーケティング戦略を立てられるのでしょうか?
本書では、マーケティング戦略を立案するためのフレームワークが紹介されています。
フレームワークの活用方法
市場調査 ─ 顧客のニーズや競合の動向を分析する
既存顧客の分析 ─ 購買履歴やフィードバックを解析し、潜在ニーズを見つける
戦略立案 ─ 潜在ニーズに応じた商品やプロモーションを設計する
このようなフレームワークを活用することで、マーケターは思考を整理し、より的確な戦略を立てることができます。しかし、著者は「フレームワークはあくまで補助ツールであり、最終的に必要なのはマーケター自身の思考力である」と強調しています。
4. 潜在ニーズを見極め、競争優位を築く
本書で特に印象的なのが、「潜在ニーズの発掘」の重要性です。
例えば、健康志向の高まりをキャッチした飲料メーカーが、いち早く野菜ジュース市場に参入した事例が紹介されています。
競争優位を築くためのポイント
市場の変化を先読みする ─ 顧客の「まだ気づいていないニーズ」に着目
競合よりも早く動く ─ 先行者利益を獲得し、市場をリードする
最近の消費者行動を見ても、SNSやデジタルマーケティングを活用したニーズ分析がますます重要になっていて、本書の内容は、こうした現代のマーケティングトレンドにも通じるものがあります。
5. 実践につなげるマーケティングの知恵
本書は単なる理論書ではなく、様々な角度からマーケティングの本質を学べるのが特徴です。
マーケティングは「売ること」ではなく、「価値を届けること」だと理解できる
フレームワークを活用して戦略的に考えられるようになる
潜在ニーズの発掘を通じて、競争優位を築く視点を身につけられる
マーケティングの基礎をしっかり学び、実務に活かしたい方にとって、本書は頼れるガイドとなるでしょう。