【読書感想文】星の王子さま サン=テグジュペリ 内藤濯訳
いつか、どこかで、この本に出てくる『大切なものは目に見えない』という言葉を目にしたことがありました。
でもどういう場面でどういう物語の展開があってなのかはわからず、ずっと気になっていたので、読んでみました。
目次
1.物語
2.かけがえのない存在
3.たいせつなことは目に見えない
4.違和感の答え
1.物語
サハラ砂漠に不時着してしまった飛行士が、"とてもようすのかわったぼっちゃん"と出会ったことを、振り返りながら語られていく。
そのぼっちゃんがどうしてそこにいたのかということが、中盤頃から様々な星で様々な人と出会ったことも語られる。
最後は『一本の木が倒れでもするように、しずかに倒れました』と終わる。
2.かけがえのない存在
正直、物語冒頭の"うわばみがえじきをのみこんだ絵"の話から、ソワソワとした違和感がありました。
この本の書かれた時代や作者のことは何も知らなかったので、「この本は、かわいいイラストとひらがな多めで童話風に書かれた風刺作品なんだろうな。ていうか、句読点とひらがな多いな」としょうもないことやあてずっぽうなことを思って読み進めましたが、その不思議な違和感はずっとありました。
正直、今も残っています。
その違和感が解消できないかと、パラパラとまた部分部分を読み返したり。
きっとこの違和感は、この作品のことが理解しきれていないからなんだと思います。
(その他に読んでる本を全く理解しているわけじゃないのですが)
物語の中で、ともだちのキツネが王子さまに『あんたが、おれを飼いならすと、おれたちは、もう、おたがいに、はなれちゃいられなくなるよ。あんたは、おれにとって、この世でたったひとりのひとになるし、おれは、あんたにとって、かけがえのないものになるんだよ』と言う場面があります。
そのキツネの言葉を読んで、「すごいな」と思いました。
「今までなんでもなかったことが、知り合って仲良くなって関係性ができることで、存在の仕方が変わる」と言いたいのかなと私は解釈しました。
また、そこから、「そんなふうに人や色んな物事との存在の仕方が変わることで、自分と世界との有り様も変わるのではないないか」とも思いました。
他の人たちにとっては世界に何億人もいる人間のうちの一人でも、自分自身にとってはかけがえのないパートナーや友達がいるように、自分以外の他人にもそういう存在があるだろうし、そう考えていくと、誰かにとって特別でない人なんかいないのではとふと思いました。
みんなが誰かのかけがえのない存在、イェーイ、ラブ&ピース。
そして、そんな世界って素敵だなとも思いました。
実際は、そこまで誰かや何かをたいせつに思うことなく、"じぶんの威光に、きずかつかないことがなによりもたいせつ"、とか"まあ、とにかく、おれに感心してくれ"という人達もいて、「まったく変わった人たちだな」と思うよりない時もありますが。笑
それでも「自分にとってはいくつもある取るに足らないものでも他の誰かにとっては違う、かけがえのないことかもしれない」と、何かや誰かに触れた時にそう思えたら、もっと違う関係性が生まれて違う未来になることもあるんじゃないかと思いました。
他人がこんなこと思ってなくても、自分はこの言葉を忘れないようにしたいなと思います。
3.たいせつなことは目に見えない
『心で見なくちゃ、ものごとはよく見えない。かんじんなことは、目には見えない』キツネが王子さまに大事なことを言うね、といって伝えたことです。
その人が本当に考えている・感じていることは、言動よりも、仕草や表情や動作などのほうがよく現れるのと似ていたりするのかな。諺にも目は口ほどにものを言う、とあるように。
職業柄、血圧の値や検査結果などの、可視化でき客観性のあるものさしで患者さんの状態を評価をしていますが、それだけでは患者さんの理解が不十分であるなとは思います。
内臓や神経・ホルモンなどの働きだけで、人間は生きているわけではないので。
別に私はスピリチュアル系看護師ではないですけどね!はい。
仕事だけじゃなく私生活でも色んな場面で、目に見えることだけに囚われないことって、自分や他人に振り回されがちな私としては、忘れないようにしないといかんなと思いました。
4.違和感の正体
長々とこの本について語っておきながら、こんなこと述べるのもなんじゃそらってかんじですが、違和感の正体はきっと「自分の中で王子さまやキツネの言葉を理解して落とし込めてないから」だと思います。
他人から見た自分に自意識過剰に反応したり、自己肯定感がなくてすぐに自己嫌悪に陥ることが習慣になっていたり、誰かを大切にすることができているのか自分に疑問を抱いたり。
でも私はこの作品に出会えたのて、たいせつにしなきゃいけないことや大事な言葉に出会ったので、これを忘れないようにまた毎日生活していきたいと思います。
拙い文章でしたが、もし読んで頂けた方がいらっしゃったら超嬉しいです。
ありがとうございました。
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