スワンプ先生は悪者か

ここ数日、8歳三女が英語の授業中とても不機嫌でした。

どうも、読んでいる本のストーリーが気に入らないらしいのです。

学校はIB(国際バカロレア)のPYP(プライマリーイヤーズプログラム)に基づいた授業をしいているので、英語も他の教科も、一定の期間ひとつのテーマに沿って、またはひとつのテーマから広がる話題で勉強しています。

今の時期はどうもテーマが「ルール」みたいです。

英語の授業で「Miss Nelson is missing」という本を読み始めたのですが、この内容を簡単に説明すると、

授業中先生の話を聞かずに、紙ひこうきを飛ばしたり、こそこそしゃべったり、変な顔をしたりしている子どもたちに困ったネルソン先生が、何かしなければならないとつぶやいた翌日学校に来ず、その代わりに魔女のようなスワンプ先生が来た。ネルソン先生はピンクのワンピースをきてにっこり笑う優しい先生だったのに、スワンプ先生はしっかり話を聞くように言いつけ、宿題を出したり、お話時間をなくしたりと厳しい。子どもたちはネルソン先生が恋しくなる・・・。

という話。

授業中に、先生がネルソン先生はどんな先生か、スワンプ先生はどんな先生かを簡単な英語で子どもたちに聞いたのだけど、わかりやすく簡単にしたせいか・・・

・ネルソン先生はナイス

・スワンプ先生は醜い(本の中にはugly black dressと書かれている)

・スワンプ先生は悪い

・ネルソン先生はピンクのドレスを着ている

というような、文が並んでいました。

本の結末は、実はネルソン先生はスワンプ先生に変装していたということがわかるようになっているので、子どもたちもネルソン先生とスワンプ先生が同一人物であることは承知なのですが、娘は、ネルソン先生が自分自身のまま子どもたちを注意せず、スワンプ先生が悪者になっているのが納得できないようです。

授業中にみんなから出された文章がパソコン上に書かれますが、娘はノートに写すのを拒否し、書きかけた文章をぐちゃぐちゃに塗りつぶした上に、先生に抗議しようと手を挙げました。

先生がひとりずつ質問している中、質問には答えず

「I think Miss Swamp is not bad.」

と言い、先生がちょっと困りつつも否定はせず、あなたはそう思うのね、といなしたのがまた気に入らなかったのか、他の子に話を聞いている間もずっとぴんと手を伸ばして挙げ続け、

再び

「Children bad. Miss Nelson no say. Miss Nelson is bad.」

と怒りの剣幕で抗議しました。

娘からしたら、日本の、厳しくも愛情あふれた先生が大好きな思い出もあるので、宿題を出したりふざけている子を注意したりすることが悪いとくくられてしまったことが、大好きだった先生を否定されたようで悔しかったのだと思います。

確かに、私も、魔女のような(あごが大きい、鼻先がとがっている)容姿、黒い醜いワンピースと強調されたり、宿題を出したり叱るのが悪いと決めつけてしまうのはどうかなと思っていました。

それに、厳しい魔女のような先生が嫌で、クラスメイトはネルソン先生を恋しがり、戻ってきたネルソン先生の言うことを聞くと言うのは、ルールに従う理由としてはなんだかおかしい。

授業内ではうまく伝えられることができず、娘は画面を睨みつけたままmeetが終わりました。

その後怒りの涙を流しながら日本語で猛抗議した様子をビデオに撮って、学年の先生全員に送り付けたのです。

I think Miss Swamp is not bad. Black dress is not ugly. Miss Swamp is not ugly.

という文と一緒に。先生には内容はわからないと思うのですが、数時間後には全員の先生から返信がありました。

「新しい視点をありがとう」「自分の意見を伝えることを誇りに思う」「あなたの言う通り、悪いと決めつけるのは間違っている」「好きな色の服を着ていい」

と。わたしは娘の激しい気持ちにも、勇気を持って手を挙げたりメールを送ったことにも胸を打たれて涙が流れっぱなしだったのですが、先生からの返事でさらに涙が止まらず。

娘はと言うと、動画を撮って先生たちに送った時点でかなりすっきりしていたようで、返事にはあまり興味を持っていませんでした・・。そんなものかもしれません。

大きな成長になった授業でした。


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あきうみ
好きなことを書いて好きな写真をあげているだけですが、サポートしてくれたら張り切っちゃいます。