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空き家予防の優等生 from 佐渡島!
空き家問題が注目されるようになってから,結構な月日が流れました。
最近は,問題が発生する前の予防が注目されています。
そんな中,当団体への相談者に,「こういう人がもっと増えたら,空き家問題は減るんだろうな」という方がおられたので,そのエピソードをご紹介します。
先々のことを考えて
その方は,ご主人さん名義のご実家が,空き家になるかもしれないということを危惧しておられました。
そのご実家は,佐渡島の端っこにありました。
ご主人は,東京の大学を卒業後,そのまま東京で就職し家族を設けたので,少なくとも現役時代に実家に戻るという選択肢はなかったようです。
とはいえ,長男だったので,親御さんが亡くなった時にご実家を相続されました。
残念なことに,ご主人は完全リタイヤする前に病気で倒れ,数年間の闘病生活の後,逝去されました。
幸い,その実家はその方の叔母さんという方が住んでくれるようになったものの、その方も90代になり,万が一のことが起きたらどうなるか,ということで相談にこられました。
奥さんご本人は,佐渡島出身ではないので,叔母さんが亡くなった後の活かし方が分からないし、地元の業者との関係もありませんでした。
それで、万が一の時を想定して、今から準備をしておきたいということで,当団体に現地調査と役所を訪問して、方策を検討してほしいとの依頼がありました。
調査という名の旅行へ
私は,佐渡島は行ったことがないので,今回の依頼はとても楽しみでした。
調べてみると,飛行機は飛んでいないということで,新潟港から船で行くしかないことが分かりました。
飛行機での出張というのはありますが,船での出張は初めて,ということでテンションが上がります。
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佐渡島側の港になる両津港から,調査物件まではかなりの距離がありますし,バスも本数が少ないようなので,港からレンタカーを借りての移動となりました。
対象の物件は,島の西側にあるのですが,地元の人に聞くと,佐渡島は真ん中を横断する道が広くなく,島を周遊するのが一番安全と言われたので,結局は島の西側部分をほぼ1周することになりました。
とはいうものの,やはり海岸線の道も結構狭く,すれ違うのも大変な箇所もありました。
それでも,風光明媚な場所もあり,楽しい「旅」になりました。
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物件調査開始
1時間くらいかけて,ようやく物件に到着しました。
私が来ることは,相談者から電話で聞いていたようで,叔母さんという方が待っていてくださいました。
建物や土地の説明を受け,写真を撮らせてもらいました。
海岸から歩いて1-2分なので,海好きの人にはたまらないロケーションです。
近所を歩いてみると,バス停も近くにあったのですが本数が少なく,車がないと食料などの日常生活品は移動スーパーで買うしかないようでした。
周囲も空き家が多かったので,近所の人との付き合いに気を遣うことも少ないかもしれませんし,キャンプのイメージで別荘代わりということでしたら。まだまだ使えそうな感じです。
物件調査を終え、法務局,市役所,解体業者などを訪問し,様々な情報を入手しました。
雑木林等もあるので所有不動産全部に相続土地国庫帰属制度は使えないこと,居住中でも市の空き家対策の対象に含めてもらえること,解体する場合のおおよその費用などが分りました。
やはり相手は地元の方々なので,地図を見せるとすぐにイメージが湧くようで,話が早かったです。
また,対面での相談ですので,情報を伺いながらさらに突っ込んだ質問もしやすかったというのもありました。
全ての予定を終え,島を後にしました。
一日雨模様でしたので,晴れた時に佐渡にはまた来てみたいと思いました。
調査を終えて
突然に人が亡くなり,葬儀や相続手続きをこなし,それから残った家をどうするか,と考えて取り組むのはとても大変な課題になります。
自宅の近くや,かつて住んでいたところであれば別かもしれませんが,そうでなければ,相当のエネルギーや時間がかかります。
でも,この報告からお分りいただけたかと思いますが,利用できそうなサポート制度,行政の連絡先,費用の概算など,事前に把握しておくだけでもスタート地点を自分にとって少しでも有利な位置に変えることは可能です。
空き家問題は,事後の解決から事前の予防に力を入れることに変わりつつあります。
もし気になる物件があり,どんな対策が取れるのか,お知りになりたい方は,どうぞお気軽に当団体にお問い合わせください。