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「死にたいあなたへ」(詩)

死にたいあなたへ
自分には 価値がないとか
何にもできないだとか
ひとつとして意味がないなどと
思い込んでいるわけでもないのに
ひたと はりついた不安と不信に
胸は塞がれてしまう

脳はすきまを奪われる
目だけが 必死に現状を見ている
動くことのない絶望だらけだ

いったい何だって言うんだろう
死にたいなんて
唐突だ
いや分かってる 本当は心の中でずっと
種が あたためられていたこと
それでも 重い石があったから
少し時間が必要だっただけ

死にたいと声が出ないまま叫び
死なせてくれと 動かない体はのたうつ
もれていく息に 追いすがっても
後悔ばかりが 振り返って来る

小さな石のつぶてが雨になり
こまかな痛みが切りつける

ああ 嫌になる
もう 嫌になる

それがあなたの今ならば
私は心から称えよう
先ほどまでの私と似ている
それでもここまで目はついてきた
私が文字を追ったように

ありがとう

あなたを心から称えたい
一秒が苦しかったのに
一瞬が落ちていく最中だったろうに
ここまで来てくれたこと
あなたの死を ここまで引っ張った
あなたの力を信じて欲しい
ありがとうで両手を包んで
あと一行
生き延びて

大袈裟で笑い出してしまうくらいの
ありがとう

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