12・9(日記 文芸会のこと)
びっくりした。
まさか、先月は文芸会のこと書いていなかったなんて、、、
ちゃんと参加していました笑
第二土曜日。
いつものように向かうと、
前回お休みされていたKさんが来られていて、
体調のことを聞く。
どうやら喘息かもしれないとのこと。
改善策をいろいろ模索中というところがらしくておかしかった。
病院に行って検査しよう、とか、薬貰おうではなく、
自分の体のことなのだから、きちんと自分の体に聞こう、というスタンスなのだと思う。
自分の感覚や、体を信用しているのだなぁ。
さて今回はお一人初参加の方がいました。
図書館の張り紙を見て来てくれたのだそう。
本当はこの文芸会の発案者である方が、
文芸会の方とは別に、もっと文章に携わってこなかった人向けの講座をはじめようとされていて、彼女はその張り紙を見たのでした。
けれどそれに申し込む人が他におらず、
じゃあ、と文芸会の方へスライドしてきてくれたのでした。
とても上品な方で、手書きの原稿のまろい形の文字が人柄を表しているように感じました。
本題。
今日は再び紀行文の名手のYさんが司会役に。
それでは、と自己紹介もかねた近況報告を回し、
今日も文芸会ははじまりました。
ひとりめは、司会役のYさん。
今回は「詩」。
それもいつもの哀愁の感じるものとはまた違う、
Gをモチーフというのか、視点に定め社会を見やるような作品で、
その締めがよかったのです。
「学習」が好きなくせに、ひとつも自分たちの歴史から学びを得ないひとが、いつか自身の生み出した兵器に殺されたそのとき、
Gはその兵器から漏れる毒によって巨大化し、
怪獣ゴキラになってひとをたくさん食べるだろう、と。
それを楽しみにしている、という、なんともじとりと恐怖が湧くような後味を残した詩は、とても軽妙で、鋭くて、意地悪で、Yさんの人という生き物へ持っている燻ぶる怒りのようなものを感じましました。
二人目は、古時計シリーズから女子高生シリーズに移り、それもどうやら終了したOさん。
今回は「ハルさん」という叔母さんについてのエッセイ。
バイタリティお化けのようなハルさんのエピソードを連ね、
その彼女を尊敬しつつ、どこか微笑ましく見つめてしまうOさんの視点はやさしく、明るく、そして愛情が感じられました。
コミカルな会話や、描写で描かれたハルさん。
そんなひととの関わりが、この文章にも現れているのかもしれない。
Oさんの書く明大な文章が好きな私は、
その文章の生まれた一端を、勝手にハルさんに感じ、
更に勝手に「ありがとうございます」と思ったのでした。
それにしても、彼女の文章は小説でも、エッセイでもほとんど変わらないのです。すごいなぁ。いつでも、土俵が何であっても、彼女の立ち方は変わらないのです。
三人目は、初参加の方。
平成12年に書かれていた作品だそう。
お家のお風呂が壊れたために、近所の昔からあるお風呂屋さんへ行った時のことを書かれていたのですが、
湿気に乗った木の匂いや、人の肌に乗った湯気の匂いが伝わるような、
あのぼんやりとした照明を見つめるような、
味わい深く、やわらかで、大切に思い出を取りだしてくださったことが分かる文章でした。
他の作品も是非読みたい!
四人目は私。
文芸会の「今年のしめくくり」とか、「ふりかえり」などをテーマに、
ということだったので一応考えていたのですが、
そうやって浮かんだ詩を二つ。
noteにはもう上げていたものですが、更に手を加えました。
さて、どこが違っているでしょう?
【わたしの文章】
私は私の文章を知らなかった
私の中で
私の文章は
面白味が薄く
ありきたりの風景の連続を
どうにか整えて色を感じることができる程度の
文章だと思っていた
はじめて視るときには疑問に浸され
じっくり見つめると ぼんやりと影が捕えられ
そっと覗いてやると やっと中心の輪郭を見る
そんな分かりにくいものだったとは
一切 横切りもしなかった
そういった私に
ひとは驚いた目
ひとの目に反射するさまを追った
どんな世界が飛び込むのか
様々に揺らして
少しずつ この角度 この言葉と気づいた
私は知らなかった
私は私の文章を
私のままで読んでいたこと
本物の客観性を持つには
あまりにひととの間にある山は険しかったこと
私は知った
私の文章はもっと もっと面白くなること
私の目が 私の耳が 私が吐き出す彩りが増えていく
反響する瞳孔を通して深く
私の文章は
たしかに私と血を分け合い
そして私より遥か遠くへと
ずっと遠く渡っていくことを知った
【春へ】
春の頭を撫でる
神さま
落しものをしましたね
明るい色は種に成る決心のもと
こんな花になりました
夏の背を撫でる
神さま
悔いることが川にうつりましたねけれど
その重たさが流れを押して
ほら 今 海を 泳ぐ
秋の前髪を上げる
神さま
日によく抜けた鮮やかなその目は
それぞれの正しさを愛したのです
育つ土を分け合う影が見えますか?
冬の肩をたたく
神さま
どこまでも どこまでも 降り包んで
安らかな眠りに寄り添ってくれました
その線を静かに ぬくもりでなぞりましょう
それぞれに それぞれの
いたわりや いとおしみをつらね
神さまは うるむ
誰かをこの身にかえしたのです
神さま
私の中では分かりやすい詩だと思ったのですが、
やっぱりぱっと分かる!という詩ではなかったようです笑
でもOさんが
「あなたの書く文章は、
分からないような、分かるような、やっぱり分からないような、
となるけれど、分かりたいと思う。そして噛めば噛むほど癖になる」
と言ってくださり、
隣で「私には全く分からない」と困惑する初参加の方に
「大丈夫ですよ。みんなそこから出発するんです」
と声を掛けて下さっていました笑
今でも私の文章を読む前はちょっと緊張するのだと言われました。
そしてそれがいい、と。
ありがたいなぁ。
五人目は、kさん。
いつものお店番シリーズは今回お休みで、
この前図書館への愛を綴ったiさんに続いてご自身の図書館への気構えのようなことを書かれていました。
図書館という場所を好きだという気持ち以外に、
その場所をそういう場所たらしめてくれている人たちへの、
感謝と尊敬の気持ちが感じ取れる言葉たちでした。
六人目は、文芸会の発起人さん。
どうやらこの方は野球がお好きなのそう。
座右の銘の話から、
野球の話、
阪神の監督さんの座右の銘の遍歴、
ご自身の座右の銘の発案、からのセルフ突っ込み的な落ち。
と、今回も楽しく、真摯に文章を書くことに向き合っている背中が見えるようなエッセイでした。
七人目は、iさん。
エッセイの多い方ですが、今回は詩。
前にも詩を書かれてきたことがあるのですが、
その時は絵本にそのままできそうな詩で、
どちらかというと可愛いらしい空気があったように思います。
今回は今までにない形の発表になっていまして、
バンプオブチキンの『車輪の唄』の歌詞がいっしょに配られていまして、
この歌を下敷きにした詩を書きました!
ということで、まず歌を流してからの詩の発表になりました。
『車輪の唄』で別れたふたりのように、
道を分けた二人の、彼女の方の目線で、
「自分が変わっていくことでは君の生活は変わらない」
なんていう彼を、
それでも忘れられない彼女の気持ちが描かれていて、
キュンとされている方と、全く思い描けない方とがきっぱりと別れていて面白かったです笑
最後は、ちょっと遅れてこられたMさん。
毎回千文字内でよくこんなにお話が作れるなぁと驚くほど、
きちんと起承転結があって、
時々はどんでん返しがあったりもする方なのですが、
今回は、
年末の空気と、積み重ねる生活感と、
そこで主人公が掴み取る“一等賞”の正体に、
いい感じにほっこりするお話でした。
テーマにも沿っていて、すごい。
今回も、
楽しい文芸会でした。
そしてもちろん二次会へ。
次が今年最後の文芸会は、
やっぱり小説を書きたいなと思います。